- ホーム
- ぶどう膜炎に使われる治療薬・漢方薬
疾患・症状と医薬品
ぶどう膜炎の症状と治療薬・漢方薬

ぶどう膜炎は、目の内部に炎症が起こる病気の総称です。目の充血や痛み、まぶしさ、かすみ、飛蚊症、視力低下などが現れ、再発を繰り返すこともあります。
治療にはステロイド点眼薬や散瞳薬、免疫抑制薬、生物学的製剤などが使用されます。また、国内ではベーチェット病などによるぶどう膜炎に対する漢方治療の臨床報告もあり、洗肝明目湯・竜胆瀉肝湯・温清飲などが使用されてきました。
このページでは、ぶどう膜炎の原因や標準治療に加え、目の炎症や関連症状に用いられる漢方薬についても紹介します。
ぶどう膜炎とは
ぶどう膜は、目の中にある虹彩・毛様体・脈絡膜をまとめた名称です。血管が豊富な組織で、外から見えない眼球内部に位置しています。
ぶどう膜炎は、この部分を中心に炎症が起こる病気です。実際には硝子体や網膜などにも炎症が広がることがあり、目の見え方に影響します。
ぶどう膜炎の主な症状
- 充血:目が赤くなる
- 眼痛:目の奥や周囲に痛みを感じる
- 羞明:光をまぶしく感じる
- 霧視:霧がかかったように見える
- 飛蚊症:黒い点や糸くずのようなものが浮いて見える
- 視力低下:以前より見えにくくなる
症状は炎症の部位によって異なります。目の前の部分に炎症がある場合には充血や痛みが強く現れやすく、目の奥に炎症がある場合には、充血や痛みが目立たず、飛蚊症や視力低下が中心となることもあります。
ぶどう膜炎の種類
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 前部ぶどう膜炎 | 虹彩・毛様体など目の前方に炎症が起こり、充血、眼痛、まぶしさが目立ちます。虹彩炎・虹彩毛様体炎なども含まれます。 |
| 中間部ぶどう膜炎 | 硝子体周辺などに炎症が起こり、飛蚊症や目のかすみがみられます。 |
| 後部ぶどう膜炎 | 脈絡膜や網膜などに炎症が起こり、飛蚊症や視力低下が現れます。 |
| 汎ぶどう膜炎 | 目の前方から後方まで広く炎症が及ぶ状態です。 |
充血、眼痛、まぶしさなどが目立ちます。
飛蚊症や目のかすみなどが現れます。
網膜や脈絡膜に炎症が起こり、視力低下などにつながります。
目の内部の広い範囲に炎症が及びます。
ぶどう膜炎は、炎症の程度によって白内障、緑内障、黄斑浮腫、網膜障害などを伴うことがあります。視力への影響があるため、症状に応じた眼科での診断と治療が重要です。
ぶどう膜炎の原因
ぶどう膜炎の原因には、免疫の異常に関係する病気、感染症、外傷などがあります。十分に検査しても原因が特定できない場合もあります。
日本では、サルコイドーシス、Vogt-小柳-原田病、ベーチェット病が、代表的なぶどう膜炎の原因疾患として知られています。
| 主な原因・疾患 | 特徴 |
|---|---|
| サルコイドーシス | 肺、リンパ節、皮膚などにも炎症が起こる全身性疾患。ぶどう膜炎や硝子体混濁などを伴うことがあります。 |
| Vogt-小柳-原田病 | 原田病とも呼ばれ、両目のぶどう膜炎に加え、頭痛、耳鳴り、難聴、皮膚や毛髪の色素異常などを伴うことがあります。 |
| ベーチェット病 | 繰り返す口内炎、陰部潰瘍、皮膚症状などを特徴とし、ぶどう膜炎による眼痛や視力低下が起こることがあります。 |
| 感染性ぶどう膜炎 | ヘルペスウイルス、結核、梅毒、トキソプラズマなどが原因となります。 |
| その他 | 強直性脊椎炎などの炎症性疾患、外傷、薬剤などが関係する場合もあります。 |
全身に炎症が生じ、眼にも症状が現れます。
両目の炎症と頭痛・耳鳴りなどを伴う場合があります。
口内炎や皮膚症状とともに眼炎症を繰り返すことがあります。
ウイルス、細菌、寄生虫などが原因となります。
全身の炎症性疾患、外傷、薬剤なども関係します。
ぶどう膜炎の検査
眼科では視力検査、細隙灯顕微鏡検査、眼底検査などを行い、炎症の部位や程度を調べます。
必要に応じて光干渉断層撮影(OCT)や蛍光眼底造影、血液検査、胸部画像検査などを行い、原因となる病気を確認します。
感染性と非感染性では治療方法が大きく異なるため、原因を確認することも重要です。
ぶどう膜炎の治療
ぶどう膜炎の治療は、炎症を抑えて視力を守り、再発や合併症を防ぐことを目的に行います。
治療には、ステロイド点眼薬、散瞳薬、ステロイドの注射・内服、免疫抑制薬、生物学的製剤などが使用されます。感染が原因の場合は、その病原体に対する治療が必要です。
| 治療方法 | 内容 |
|---|---|
| ステロイド点眼薬 | 目の前方を中心とした炎症を抑える基本的な治療です。 |
| 散瞳薬・調節麻痺薬 | 瞳孔を広げ、虹彩の癒着を防いだり、炎症に伴う痛みを軽減したりします。 |
| ステロイド注射・内服・点滴 | 炎症が強い場合や目の奥まで炎症が及ぶ場合などに使用します。 |
| 免疫抑制薬 | 非感染性のぶどう膜炎で、炎症の再発を抑える目的などで使用します。 |
| 生物学的製剤 | 既存の治療で効果が不十分な重症例や難治例などに用いられます。 |
| 感染症に対する治療 | 抗ウイルス薬、抗菌薬、抗寄生虫薬などを原因に応じて使用します。 |
炎症を抑える基本的な治療です。
虹彩の癒着を防ぎ、痛みを和らげます。
炎症が強い場合などに使用します。
非感染性の炎症や再発の抑制に使用します。
難治性の炎症などに使用します。
原因となる病原体に応じた薬を使用します。
ぶどう膜炎に使われる主な医薬品
| 薬・成分 | 特徴・位置づけ |
|---|---|
| ステロイド点眼薬 プレドニゾロン、ベタメタゾンなど |
眼内の炎症を抑えるために使用します。眼圧上昇や感染症の悪化などに注意して管理します。 |
| 散瞳薬・調節麻痺薬 アトロピン、シクロペントラートなど |
虹彩の癒着予防や痛みの軽減に使用します。 |
| ステロイド全身投与 プレドニゾロンなど |
眼の奥の炎症や重症例、原田病などで使用されます。 |
| 免疫抑制薬 シクロスポリン、アザチオプリンなど |
非感染性ぶどう膜炎に対し、病型や治療経過に応じて使用します。 |
| アダリムマブ ヒュミラなど |
既存治療で効果不十分な非感染性の中間部・後部・汎ぶどう膜炎などに用いるTNF阻害薬です。 |
| インフリキシマブ レミケードなど |
ベーチェット病による難治性の網膜ぶどう膜炎などで使用されるTNF阻害薬です。 |
プレドニゾロン、ベタメタゾンなど。炎症を抑えます。
アトロピンなど。虹彩の癒着予防や痛みの軽減に。
重い炎症や原田病などで使用します。
非感染性の炎症に対して病型に応じて使用します。
難治性の非感染性ぶどう膜炎などに使用します。
ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎などに使用します。
ステロイド点眼薬
ステロイド点眼薬は、前部ぶどう膜炎などで炎症を抑えるために使用される代表的な治療薬です。
眼の充血や痛みなどを改善し、炎症に伴う組織の障害を防ぐ目的で用いられます。炎症の程度や経過を確認しながら、点眼回数や使用期間を調整します。
ただし、感染が原因となっている場合には、ステロイド単独で使用すると悪化することがあります。また、眼圧上昇などの副作用にも注意が必要です。
アダリムマブ(ヒュミラ)
アダリムマブは、炎症を引き起こすTNFαの働きを抑える生物学的製剤です。
既存の治療で十分に改善しない非感染性の中間部・後部・汎ぶどう膜炎などに用いられます。
繰り返す炎症や視力への影響が問題となる場合に、炎症を抑える治療の選択肢となります。
インフリキシマブ(レミケード)
インフリキシマブもTNFαの働きを抑える生物学的製剤です。
ベーチェット病による難治性の網膜ぶどう膜炎などに使用され、炎症の再発を抑えて視力障害を防ぐことを目的に治療が行われます。
生物学的製剤は、感染症の有無などを確認しながら専門医の管理下で使用します。
ぶどう膜炎の治療方法は、感染性か非感染性か、炎症の部位や原因疾患によって異なります。医療機関で使用しているステロイドや免疫抑制薬を自己判断で中止・減量せず、眼科で炎症の状態を確認しながら治療を進めます。
ぶどう膜炎と漢方薬
ぶどう膜炎に対しては、日本でも漢方薬を用いた臨床報告が行われてきました。特に、ベーチェット病によるぶどう膜炎では、洗肝明目湯・竜胆瀉肝湯・温清飲などを用いた長期の治療経験が報告されています。
2012年の日本東洋医学雑誌には、ベーチェット病のぶどう膜炎24例について、30年間の診療経験を振り返った臨床報告が掲載されています。この報告では、継続して漢方治療を受けた11例のうち8例で、視力がほぼ正常まで回復したとされています。
一方、この研究は比較対照群のない臨床報告であり、現在の免疫抑制療法などと同等の効果が証明されたものではありません。ベーチェット病以外のぶどう膜炎全般に、その結果をそのまま当てはめることもできません。
洗肝明目湯(せんかんめいもくとう)
洗肝明目湯は、目の充血、目の痛み、目の乾燥などに用いられる漢方薬です。
体力が中等度で、目が赤くなりやすい、痛みや乾燥を感じるといった方に適しています。
ぶどう膜炎の漢方治療では、特に重要な処方の一つです。2012年のベーチェット病のぶどう膜炎に関する臨床報告では、眼内の炎症が強い場合に洗肝明目湯を基本として処方を調整したことが記載されています。
小太郎漢方製薬の洗肝明目湯エキス細粒G「コタロー」も、目の充血・痛み・乾燥が正式な効能・効果に含まれています。
目の不調が続く方や、ぶどう膜炎の治療を受けている方が、症状や体質に合わせて漢方薬を検討する際の選択肢となります。
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
竜胆瀉肝湯は、体内の炎症や熱感を伴う症状などに用いられる漢方薬です。
2012年のベーチェット病によるぶどう膜炎の臨床報告では、洗肝明目湯を使用する状態より炎症が比較的軽い場合に、一貫堂竜胆瀉肝湯を基本として用いたことが記載されています。
また、2014年にはVogt-小柳-原田病に対して、一貫堂竜胆瀉肝湯と五苓散を併用し、改善を認めた症例も報告されています。
ただし、これらは特定の患者を対象とした臨床報告です。カミツレ薬局で取り扱う竜胆瀉肝湯エキス細粒G「コタロー」の正式効能は、排尿痛、残尿感、尿の濁り、こしけです。眼症状への使用は、承認効能とは区別して考えます。
温清飲(うんせいいん)
温清飲は、乾燥を伴う湿疹・皮膚炎や、のぼせ、神経症などに用いられる漢方薬です。
四物湯と黄連解毒湯を組み合わせた処方で、皮膚の乾燥や炎症、熱感などを伴う状態に用いられます。
2012年のベーチェット病のぶどう膜炎に対する臨床報告では、眼の炎症が比較的軽い状態の方に、温清飲を基本とした加味処方が使用されています。
また、皮膚の乾燥や赤み、慢性的な炎症を伴う方にも検討される処方であり、眼以外の症状や体質も含めた漢方的な選択肢となります。
なお、温清飲の一般用製剤の正式効能に「ぶどう膜炎」は含まれておらず、眼症状に対する使用は臨床応用としての紹介です。
そのほかの関連する漢方薬
比較的体力があり、のぼせ、顔の赤み、皮膚炎、口内炎などを伴う方に。温清飲の構成要素でもある処方です。
血の巡りに関係する症状などに用いられる処方。ぶどう膜炎に対する過去の漢方臨床報告でも併用されています。
むくみ、頭痛、めまいなど、水分代謝に関わる症状に用いられる処方。原田病に対する竜胆瀉肝湯との併用症例が報告されています。
目のかすみや疲れ、痛みなどに用いられる漢方薬。ぶどう膜炎自体の治療とは区別し、目の関連症状に応じて検討されます。
漢方治療の臨床報告について
2012年のベーチェット病によるぶどう膜炎の臨床報告では、洗肝明目湯、竜胆瀉肝湯、温清飲などが、眼の炎症所見や体質に合わせて使い分けられていました。
2014年には、Vogt-小柳-原田病に対し、一貫堂竜胆瀉肝湯と五苓散の併用で改善した症例が報告されています。ただし、これは1例の報告であり、原田病に対する標準治療はステロイドなどによる専門的な治療です。
これらの報告は漢方治療を検討する際の参考になりますが、現在の標準治療に代えて免疫抑制薬などを中止する根拠にはなりません。
洗肝明目湯、温清飲、竜胆瀉肝湯、黄連解毒湯などには山梔子を含む製品があり、長期服用では腸間膜静脈硬化症に注意が必要です。複数の漢方薬を併用する場合には、生薬の重複や服用期間も確認します。
カミツレ薬局で相談・購入できる漢方薬
カミツレ薬局では、目の充血・痛み・乾燥などに用いられる漢方薬や、ぶどう膜炎に対する臨床使用報告のある処方を取り扱っています。
目の状態に加え、皮膚症状や全身の状態、現在の治療内容などを確認しながら、漢方薬についてご相談いただけます。
洗肝明目湯エキス細粒G「コタロー」
せんかんめいもくとう
目の充血・痛み・乾燥に。ベーチェット病のぶどう膜炎に関する国内の臨床報告でも用いられている漢方薬です。
商品情報・購入ページを見る温清飲エキス細粒G「コタロー」
うんせいいん
乾燥を伴う湿疹・皮膚炎やのぼせなどに。ベーチェット病のぶどう膜炎に対する漢方治療の臨床報告でも使用されている処方です。
商品情報・購入ページを見る竜胆瀉肝湯エキス細粒G「コタロー」
りゅうたんしゃかんとう
国内のぶどう膜炎に対する漢方治療の臨床報告に関連する処方です。一般用製剤の正式効能は排尿痛、残尿感、尿の濁り、こしけです。
商品情報・購入ページを見る黄連解毒湯エキス細粒G「コタロー」
おうれんげどくとう
口内炎、湿疹・皮膚炎、のぼせなどに。目の炎症とともに皮膚や粘膜の症状が気になる方などで、関連症状に応じて検討される漢方薬です。
商品情報・購入ページを見るその他の関連する医薬品・漢方薬
桂枝茯苓丸料エキス細粒G「コタロー」 ― ぶどう膜炎に対する漢方治療の臨床報告に関連する処方です。
目の充血・結膜炎・結膜下出血の解説 ― ぶどう膜炎とは異なる原因による目の充血や、市販の点眼薬について紹介しています。
洗肝明目湯は目の充血・痛み・乾燥が正式な効能ですが、ぶどう膜炎そのものへの承認効能ではありません。また、温清飲・竜胆瀉肝湯・黄連解毒湯なども、ぶどう膜炎に対する使用は臨床報告や関連症状に基づく紹介です。
ぶどう膜炎の薬は通販・処方箋なしで購入できる?
ぶどう膜炎そのものの治療には、ステロイド点眼薬や免疫抑制薬、生物学的製剤などが使用されます。これらは眼内の炎症の部位や原因を確認し、眼科などで治療方針を決める医薬品です。
一方、目の充血・痛み・乾燥などに用いられる一般用漢方薬には、処方箋なしで通販・オンライン購入できる製品があります。
洗肝明目湯のほか、温清飲・竜胆瀉肝湯など、ぶどう膜炎に関する漢方治療の臨床報告で使用された処方に関連する製品も、カミツレ薬局で取り扱っています。
ただし、これらの一般用漢方薬は、ぶどう膜炎の炎症や視力障害を直接治療する医薬品として承認されたものではありません。現在の治療内容や眼の状態と合わせて適切な使用を検討します。
カミツレ薬局では、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を条件に応じて店舗で対面販売する場合もありますが、医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。
急な視力低下、強い眼痛、充血と強いまぶしさ、新たに現れた飛蚊症などがある場合には、ぶどう膜炎を含む眼内の病気が関係していることがあります。視力に影響する場合もあるため、早めに眼科で確認することが重要です。
ぶどう膜炎に関連する漢方薬・医薬品のご相談
「洗肝明目湯はどのような目の症状に使える?」「ぶどう膜炎の治療中に漢方薬を併用できる?」「洗肝明目湯と温清飲の違いを知りたい」「病院で処方された点眼薬と一緒に使える?」など、お薬についてお気軽にご相談ください。
参考文献・情報源
執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。



