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「苦味」や「甘味」の強い漢方生薬一覧
2025年6月23日
漢方薬の原料となる生薬のほとんどは植物が起源で、他には動物由来のものや鉱物などもあります。
「良薬は口に苦し」と言われるように、苦味を持つ生薬は、熱を冷ましたり、排泄を促進したり、消化を助ける作用があるとされています。
特に苦味が強いとされる代表的な生薬には、大黄(だいおう)、黄柏(おうばく)、黄連(おうれん)などがあります。
ただし、漢方薬では「苦くてまずい薬」と一般に言われることもありますが、体質に合っていれば意外と飲みやすいと感じることもあります。
体質に適した漢方薬は、服用しにくいと感じることなく飲むことができ、また、苦味そのものが体調を整える作用を持つこともあります。漢方薬の味や匂いは治療において重要な要素とされています。
苦味の強い漢方生薬一覧(例)
漢方薬の中には炎症を抑えたり解熱作用のある「清熱薬」などに、黄芩、黄柏、黄連、苦参など苦みの強い生薬が含まれています。
- 大黄(だいおう)
- 黄柏(おうばく)
- 黄連(おうれん)
- 黄芩(おうごん)
- 苦参(くじん)
- 呉茱萸(ごしゅゆ)
・大黄(ダイオウ)は、タデ科などの根茎で麻子仁丸や防風通聖散、治打撲一方などの漢方処方に配合されており、味は僅かに渋くて苦く、通便作用や清熱作用、駆お血作用などがある。センノシドを含有している。
・黄柏(オウバク)は、ミカン科キハダの周皮を除いた樹皮で黄連解毒湯や滋陰降火湯、知柏地黄丸などの漢方処方に配合されており、味は極めて苦く、健胃・消炎作用などがある。
・黄連(オウレン)は、キンポウゲ科オウレンなどの根をほとんど除いた根茎で黄連解毒湯や黄連阿膠湯などの漢方処方に配合されており、味は極めて苦く、止瀉作用、健胃・消炎作用、精神安定作用などがある。
・黄芩(オウゴン)は、シソ科コガネバナの周皮を除いた根で黄連解毒湯や竜胆瀉肝湯、小柴胡湯をはじめ多くの漢方処方に配合されており、僅かな苦みを有し、清熱作用、止瀉作用、安胎作用、止血作用などがある。
・苦参(クジン)は、三物黄芩湯(さんもつおうごんとう)や消風散(しょうふうさん)の構成生薬で、清熱し利尿をはかる作用や湿熱性の皮膚炎に用いて炎症や痒みを止める作用があります。味は極めて苦く、残留性がある。
・呉茱萸(ゴシュユ)は、ミカン科の果実で呉茱萸湯や当帰四逆加呉茱萸生姜湯、延年半夏湯などの漢方処方に配合されており、苦みや辛味を有し、鎮痛作用や止嘔作用などがある。
生薬的には、どの生薬も苦みの強いのが良品といわれ選品されます。
甘味のある漢方生薬一覧(例)
漢方に配合された生薬は、苦いものだけではなく「補気強壮薬」など気を補い体力を補うような薬には甘みのある生薬が配合されています。
- 甘草(かんぞう)
- 黄耆(おうぎ)
- 大棗(たいそう)
・甘草(カンゾウ)は、約72.8%の漢方処方に配合されており、甘味が強く、肝機能改善作用や緊張緩和作用・鎮痛作用、去痰作用・咽痛治療作用、健胃・強壮・止瀉作用などがある。
グリチルリチン酸を含有している。
・黄耆(オウギ)は、マメ科の根で補中益気湯や十全大補湯、防已黄耆湯などの漢方処方に配合されており、甘味があり止汗作用や排膿作用、利水・消腫作用などがある。
・大棗(タイソウ)は、クロウメモドキ科ナツメの果実で苓桂甘棗湯や補中益気湯、甘麦大棗湯などの漢方処方に配合されており、甘味があり精神安定作用や健胃作用などがある。