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疾患・症状と医薬品

副鼻腔炎(蓄膿症)の症状と治療薬・漢方薬

副鼻腔炎(蓄膿症)の症状と治療薬・漢方薬

副鼻腔炎は、鼻の周囲にある副鼻腔に炎症が起こり、鼻づまりや黄色い鼻水、頬や額の痛み、頭重感などが現れる病気です。鼻水が喉に流れる後鼻漏や、においが分かりにくくなる嗅覚障害を伴うこともあります。

治療には、症状や原因に応じて抗菌薬、粘液調整薬、ステロイド点鼻薬などが用いられ、慢性化した場合には手術なども検討されます。また、鼻づまりや濃い鼻汁を伴う副鼻腔炎には、辛夷清肺湯・荊芥連翹湯・葛根湯加川芎辛夷・麗沢通気湯加辛夷などの漢方薬も用いられます。

副鼻腔炎(蓄膿症)とは

副鼻腔は、頬や額、目の周囲などにある空洞で、鼻の中とつながっています。副鼻腔炎では、この空洞を覆う粘膜に炎症が生じ、粘膜の腫れによって鼻水などが排出されにくくなります。

一般に「蓄膿症(ちくのうしょう)」と呼ばれるのは、主に慢性的な副鼻腔炎を指します。ただし、副鼻腔炎のすべてで膿がたまっているわけではありません。

副鼻腔炎の主な症状

  • 鼻づまりが続き、鼻で呼吸しにくい
  • 黄色や緑色の粘り気のある鼻水が出る
  • 鼻水が喉の奥に流れる(後鼻漏)
  • 頬や額、目の周囲が痛む、重く感じる
  • においが分かりにくくなる(嗅覚障害)
  • 頭重感や口臭、痰が絡む咳などを伴う

急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎の違い

副鼻腔炎は、症状が続く期間や炎症の原因によって、急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎などに分けられます。

種類 主な特徴
急性副鼻腔炎 風邪などをきっかけに発症し、鼻づまり・鼻水・顔面痛などが現れます。一般に4週間以内に治まるものを指します。
慢性副鼻腔炎 鼻づまり・粘り気のある鼻水・後鼻漏・嗅覚障害などが長期間続きます。一般に12週間以上持続する状態です。
好酸球性副鼻腔炎 好酸球が関わる炎症によって鼻茸ができやすく、強い鼻づまりや嗅覚障害、再発を繰り返すことがあります。
急性副鼻腔炎

風邪などをきっかけに発症し、鼻づまり・鼻水・顔面痛などが現れます。

慢性副鼻腔炎

12週間以上にわたり、鼻づまり・後鼻漏・嗅覚障害などが続くことがあります。

好酸球性副鼻腔炎

鼻茸や嗅覚障害を伴いやすく、治療後も再発することがあります。

副鼻腔炎の主な原因

急性副鼻腔炎の多くは、風邪によるウイルス感染がきっかけです。鼻の粘膜が腫れて副鼻腔の出口が塞がれると、鼻汁が排出されにくくなり、細菌感染を合併することもあります。

慢性副鼻腔炎では、感染だけでなく、アレルギー、鼻茸(鼻ポリープ)、鼻の構造的な問題、炎症の持続などが関係します。

また、奥歯の炎症や歯科治療などが原因となる歯性上顎洞炎や、好酸球性副鼻腔炎などもあり、原因によって治療が異なります。

副鼻腔炎の診断

診断では、症状が続いている期間や鼻汁の状態、鼻づまりの程度などを確認します。

慢性副鼻腔炎や治療しても改善しない場合には、鼻内視鏡やCT検査などで副鼻腔の炎症や鼻茸の有無を調べます。

黄色い鼻水が出るからといって、必ずしも細菌感染とは限りません。抗菌薬の必要性は、発症からの経過や痛み、発熱、鼻内所見などを総合して判断します。

副鼻腔炎(蓄膿症)の治療方法

副鼻腔炎の治療では、急性か慢性か、細菌感染の有無、鼻茸や好酸球性炎症の有無などによって使用する医薬品が異なります。

急性副鼻腔炎の軽症例では自然に改善することも多く、必ずしも抗菌薬が必要ではありません。一方、慢性副鼻腔炎では、鼻汁の排出や粘膜の炎症を改善する治療を継続的に行うことがあります。

治療方法 内容
抗菌薬 細菌性副鼻腔炎が疑われ、症状が中等症以上の場合などに使用します。急性ではアモキシシリンなどが検討されます。
粘液調整薬 カルボシステインなどを使用し、鼻汁の性状を整え、慢性副鼻腔炎の排膿などを助けます。
ステロイド点鼻薬 鼻粘膜の炎症を抑えます。アレルギー性鼻炎を伴う場合や、鼻茸・好酸球性副鼻腔炎などで検討されます。
鼻洗浄 生理食塩水などで鼻腔を洗浄し、鼻汁や分泌物を取り除きます。
内視鏡下副鼻腔手術 薬物療法で改善が不十分な場合に、副鼻腔の通り道を広げたり、鼻茸を取り除いたりします。
抗菌薬

細菌感染が疑われ、治療が必要な場合にアモキシシリンなどを使用します。

粘液調整薬

鼻汁の性状を整え、慢性副鼻腔炎の排膿を助けます。

ステロイド点鼻薬

鼻粘膜の炎症を抑え、関連する鼻症状の改善を目指します。

鼻洗浄

生理食塩水などで鼻の中の分泌物を洗い流します。

内視鏡下副鼻腔手術

副鼻腔の通り道を改善し、必要に応じて鼻茸を取り除きます。

副鼻腔炎に使われる主な医薬品

薬・成分 特徴・位置づけ
アモキシシリン
サワシリンなど
細菌性の急性副鼻腔炎で、抗菌薬が必要と判断された場合に推奨されるペニシリン系抗菌薬です。
クラリスロマイシン
クラリスなど
慢性副鼻腔炎の一部では、少量を一定期間使用するマクロライド療法が検討されます。好酸球性副鼻腔炎には通常、同様の効果は期待できません。
カルボシステイン
ムコダインなど
鼻汁や気道の分泌物の性状を整える薬です。慢性副鼻腔炎の排膿について承認効能があります。
ステロイド点鼻薬
モメタゾンなど
鼻の炎症を抑える医薬品です。アレルギー性鼻炎、鼻茸を伴う病態などに使用されます。承認効能は製品ごとに異なります。
生物学的製剤
デュピルマブなど
既存治療で十分に改善しない鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎などで、専門医が適応を判断して使用します。
アモキシシリン(サワシリンなど)

細菌性急性副鼻腔炎で、抗菌薬が必要な場合に推奨される薬です。

クラリスロマイシン(クラリスなど)

慢性副鼻腔炎の一部で、少量マクロライド療法として検討されます。

カルボシステイン(ムコダインなど)

鼻汁の性状を整え、慢性副鼻腔炎の排膿を助けます。

ステロイド点鼻薬(モメタゾンなど)

鼻の炎症を抑え、鼻づまりなどの症状の改善を図ります。

生物学的製剤(デュピルマブなど)

難治性の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に使用されることがあります。

厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版」では、成人の軽症急性鼻副鼻腔炎では抗菌薬を使用せずに経過を観察し、中等症・重症例で必要に応じてアモキシシリンなどを検討することが推奨されています。

なお、アモキシシリンについては、日本国内の添付文書に「急性副鼻腔炎」が承認効能として明記されているわけではありませんが、診療指針で推奨され、一定の条件で保険診療上の使用が認められています。

好酸球性副鼻腔炎や鼻茸を伴う場合

好酸球性副鼻腔炎は、通常の細菌感染を主体とする副鼻腔炎とは異なり、好酸球が関係する慢性的な炎症によって鼻茸が形成されやすい病気です。

強い鼻づまりや嗅覚障害が現れ、手術後にも再発しやすいことが特徴です。ステロイド治療や内視鏡手術に加え、難治例では生物学的製剤が検討されます。

鼻茸の治療や辛夷清肺湯に関する臨床研究については、鼻茸(鼻ポリープ)の専門LPでも詳しく紹介しています。

目の周囲の腫れや強い痛み、視力低下、物が二重に見える、激しい頭痛、意識の変化などがある場合は、感染が周囲へ広がっている可能性があるため、速やかな医療機関での対応が必要です。

副鼻腔炎(蓄膿症)と漢方薬

副鼻腔炎に用いる漢方薬は、鼻づまりの程度、鼻水の粘り気、熱感や頭重感、嗅覚障害の有無、炎症が続いている期間などを考慮して選びます。

特に、鼻づまりや濃い鼻汁が続く方、慢性副鼻腔炎を繰り返す方、においが分かりにくい方には、症状や体質に応じて次のような漢方薬が検討されます。

辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)

辛夷清肺湯は、濃い鼻汁や鼻づまりが続き、鼻の奥に熱感や乾燥感がある方に用いられる漢方薬です。

辛夷・黄芩・山梔子・石膏・麦門冬などを組み合わせた処方で、鼻の炎症や熱感を伴う慢性鼻炎・蓄膿症(副鼻腔炎)などに使用されます。

粘り気のある鼻水が出る、鼻の奥がつまる、鼻水が喉へ流れるといった症状に対しても、鼻汁の性状や体質に応じて検討できます。

また、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者を対象とした医療用辛夷清肺湯の臨床研究では、鼻症状の改善や鼻茸の縮小が報告されています。

このように、辛夷清肺湯は鼻づまりや慢性副鼻腔炎に対して特徴的な処方であり、今回のLPでも中心となる漢方薬です。

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)

荊芥連翹湯は、慢性鼻炎や副鼻腔炎を繰り返し、鼻や喉の粘膜に炎症が起こりやすい方に用いられる漢方薬です。

当帰・芍薬・川芎・地黄などを含む温清飲を基本に、荊芥・連翹・桔梗・白芷などを組み合わせています。

慢性的な鼻づまりや蓄膿症のほか、扁桃炎やにきびなどを繰り返す方にも用いられます。

皮膚や粘膜が過敏で炎症を繰り返しやすい方、慢性的な鼻の不調がなかなか改善しない方などに、体質を確認しながら検討する処方です。

葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)

葛根湯加川芎辛夷は、鼻づまりが強く、慢性鼻炎や蓄膿症が続く方に用いられる漢方薬です。

葛根湯に川芎と辛夷を加えた処方で、鼻の通りの悪さや頭重感、首・肩のこわばりなどを伴う場合にも検討されます。

比較的体力があり、鼻の通りが悪い状態が長く続く方などに適した処方で、正式な効能・効果に鼻づまり・蓄膿症(副鼻腔炎)・慢性鼻炎が含まれています。

麗沢通気湯加辛夷(れいたくつうきとうかしんい)

麗沢通気湯加辛夷は、鼻づまりが続き、においが分かりにくい方に用いられる漢方薬です。

辛夷・白芷・黄耆・葛根などを配合し、鼻づまり・慢性鼻炎・蓄膿症(副鼻腔炎)のほか、嗅覚障害・嗅覚異常などにも使用されます。

副鼻腔炎では、鼻の粘膜の腫れや鼻茸によって、においの通り道が塞がれたり、嗅覚に関係する粘膜が影響を受けたりすることがあります。

麗沢通気湯加辛夷は、こうした鼻づまりに加えて、嗅覚障害が気になる方にも検討したい処方です。

鼻づまり・鼻汁・嗅覚障害による漢方薬の選び方

辛夷清肺湯は、濃い鼻汁や熱感を伴う鼻づまりに。

荊芥連翹湯は、慢性鼻炎や副鼻腔炎を繰り返し、鼻や皮膚の炎症が起こりやすい方に。

葛根湯加川芎辛夷は、鼻づまりが強く、比較的体力のある方に。

麗沢通気湯加辛夷は、鼻づまりとともに嗅覚障害・嗅覚異常が気になる方に。

漢方薬は鼻づまり・慢性鼻炎・蓄膿症など、各製剤で承認された効能・効果と体質に基づいて選びます。細菌感染や重い副鼻腔炎に対して必要な標準治療を代替するものではありません。

カミツレ薬局で相談・購入できる漢方薬

カミツレ薬局では、副鼻腔炎・蓄膿症・慢性鼻炎・鼻づまり・嗅覚障害などに用いられる漢方薬を取り扱っています。

鼻水の性状や鼻づまりの程度、嗅覚障害の有無、これまでの治療内容などを確認し、症状に合った処方についてご相談いただけます。

第2類医薬品・オンライン購入可能

辛夷清肺湯エキス細粒G「コタロー」

しんいせいはいとう

濃い鼻汁・熱感を伴う鼻づまり・蓄膿症に。鼻の奥がつまる、粘り気のある鼻水が続くなど、慢性的な鼻の炎症が気になる方に用いられる漢方薬です。

商品情報・購入ページを見る
第2類医薬品・オンライン購入可能

荊芥連翹湯エキス細粒G「コタロー」

けいがいれんぎょうとう

慢性鼻炎・蓄膿症を繰り返す方に。鼻の炎症がなかなか改善せず、皮膚や粘膜の不調も起こりやすい方に用いられる漢方薬です。

商品情報・購入ページを見る

その他の関連製品

葛根湯加川きゅう辛夷エキス細粒「分包」サンワ ― 鼻づまり・蓄膿症・慢性鼻炎などに。

麗沢通気湯加辛夷エキス細粒G「コタロー」 ― 鼻づまり・嗅覚障害・嗅覚異常・蓄膿症などに。

副鼻腔炎が長引く・繰り返す場合は?

急性副鼻腔炎が改善した後も鼻づまりや後鼻漏が続く場合には、慢性的な炎症や鼻茸、アレルギーなどが関係していることがあります。

慢性副鼻腔炎では、薬物療法や鼻洗浄などで症状を管理し、十分に改善しない場合には内視鏡手術などを検討します。

また、治療後も鼻の不快感が残る場合には、鼻汁の状態や嗅覚障害などの症状に応じて、辛夷清肺湯・荊芥連翹湯・麗沢通気湯加辛夷などの漢方薬も選択肢になります。

後鼻漏が続く方は、喉に流れる鼻水の性状や原因を中心に解説した記事も参考になります。

関連する疾患・医薬品の解説

後鼻漏の症状と治療薬・漢方薬 ― 鼻水が喉に流れる症状について。

鼻炎・鼻づまり・蓄膿症に使う漢方薬の比較 ― 鼻症状に応じた漢方薬の違いについて。

副鼻腔炎の薬は通販・処方箋なしで購入できる?

副鼻腔炎に使用される医薬品には、医療機関での処方が必要な薬と、処方箋なしで購入できる市販薬があります。

細菌性副鼻腔炎に対して医師が選択する抗菌薬や、好酸球性副鼻腔炎などの専門的な治療薬は、病状に応じて医療機関で使用されます。

一方、辛夷清肺湯・荊芥連翹湯・葛根湯加川芎辛夷・麗沢通気湯加辛夷などの一般用漢方薬には、蓄膿症(副鼻腔炎)・慢性鼻炎・鼻づまりなどの効能・効果を持ち、処方箋なしで通販・オンライン購入できる製品があります。

カミツレ薬局では、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を条件に応じて薬剤師による対面販売の対象とする場合もありますが、医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。

辛夷清肺湯・荊芥連翹湯には山梔子が配合されており、長期服用では腸間膜静脈硬化症などに注意が必要です。また、葛根湯加川芎辛夷・麗沢通気湯加辛夷には麻黄が含まれるため、高血圧や心臓病などがある方では服用前の確認が必要です。

副鼻腔炎・蓄膿症に用いる漢方薬のご相談

「黄色い鼻水や鼻づまりが続く」「辛夷清肺湯と荊芥連翹湯はどう違う?」「副鼻腔炎でにおいが分かりにくい」「病院の薬と漢方薬を併用できる?」など、お薬についてお気軽にご相談ください。

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参考文献・情報源

執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。