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ベーチェット病の症状と治療薬・漢方薬

ベーチェット病は、口内炎、陰部潰瘍、皮膚の発疹、目の炎症などを繰り返す全身性の炎症性疾患です。症状が良くなったり悪くなったりする特徴があり、国の指定難病にも含まれています。
治療にはコルヒチン、アプレミラスト(オテズラ)、ステロイド、TNF阻害薬などが用いられます。また、日本ではベーチェット病に対する漢方治療の臨床報告もあり、洗肝明目湯・温清飲・竜胆瀉肝湯・桂枝茯苓丸などが使用されてきました。
このページでは、ベーチェット病の標準治療に加え、眼症状や皮膚・粘膜症状、口内炎などに関連する漢方薬についても解説します。
ベーチェット病とは
ベーチェット病は、免疫や炎症の働きに異常が生じ、口腔粘膜、外陰部、皮膚、目などに繰り返し炎症が起こる病気です。全身の血管にも炎症が生じることがあり、関節、消化管、神経などに症状が現れる場合もあります。
原因はまだ十分に解明されていませんが、遺伝的な体質や免疫反応、環境要因などが関係すると考えられています。主に20〜40代で発症することが多く、症状や重症度には幅があります。
ベーチェット病の主な症状
- 口内炎:痛みのあるアフタ性潰瘍を繰り返す
- 外陰部潰瘍:陰部に痛みを伴う潰瘍やただれができる
- 皮膚症状:赤く痛むしこり、にきびに似た発疹、皮膚の過敏反応など
- 眼症状:ぶどう膜炎による充血、眼痛、まぶしさ、かすみ、視力低下など
- その他:関節痛、腹痛、下血、血管や神経の症状など
口内炎は特に頻度の高い症状ですが、すべての方に同じ症状が現れるわけではありません。口腔内や皮膚の症状が中心の方もいれば、眼や内臓に炎症が起こる方もいます。
ベーチェット病の眼症状(ぶどう膜炎)
ベーチェット病では、目の中のぶどう膜や網膜などに炎症が生じることがあります。目の充血や痛み、まぶしさ、飛蚊症、視力低下などが代表的な症状です。
特に網膜など目の奥に炎症が及ぶ場合には、繰り返す発作によって視力が障害されることがあります。現在はTNF阻害薬などの治療によって、以前より視力を守れる可能性が高まっています。
皮膚や粘膜の過敏な症状
ベーチェット病では、口内炎や外陰部潰瘍に加え、結節性紅斑に似た赤く痛むしこりや、にきびのような発疹が現れることがあります。
また、皮膚が刺激に反応しやすく、ひげそりや採血・注射などの後に赤みや腫れ、小さな膿疱が生じる場合があります。こうした皮膚の過敏な反応も、ベーチェット病の特徴の一つです。
腸管型・血管型・神経型ベーチェット病
腸管に潰瘍が生じる腸管型、血管に炎症や血栓・動脈瘤が生じる血管型、脳や神経に炎症が起こる神経型などがあります。
診断は症状の組み合わせや経過、眼科検査、血液検査などをもとに行い、クローン病や感染症など、似た症状を示す病気との区別も行います。
ベーチェット病の治療
ベーチェット病の治療では、炎症を抑えて症状を改善するとともに、再発や臓器障害を防ぐことを目指します。どの部位に炎症が起こっているかによって、治療方法が異なります。
| 主な症状・病型 | 治療方法 |
|---|---|
| 口内炎・外陰部潰瘍 | ステロイド外用薬などによる局所療法、コルヒチン、アプレミラストなどを使用します。 |
| 皮膚症状・関節炎 | コルヒチンを中心に、必要に応じて消炎鎮痛薬や免疫抑制薬などを使用します。 |
| 眼症状・ぶどう膜炎 | 眼科で炎症を評価し、ステロイド点眼薬、免疫抑制薬、TNF阻害薬などを使用します。 |
| 腸管・血管・神経病変 | ステロイドの全身投与、免疫抑制薬、生物学的製剤などを病状に応じて使用します。 |
| 日常生活の管理 | 口腔内の衛生管理、十分な休養、禁煙などを行い、病状の変化を確認します。 |
ステロイド外用薬、コルヒチン、アプレミラストなどを使用します。
コルヒチンを中心に、必要に応じた薬物療法を行います。
ステロイド点眼薬、免疫抑制薬、TNF阻害薬などを使用します。
ステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤などが中心です。
口腔ケア、休養、禁煙などを心がけます。
ベーチェット病に使われる主な医薬品
| 薬・成分 | 特徴・位置づけ |
|---|---|
| コルヒチン | 炎症に関わる好中球の働きを抑える薬。口腔・外陰部の潰瘍、皮膚症状、関節炎などに使用されます。 |
| アプレミラスト オテズラ |
PDE4を阻害する内服薬。局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍に使用されます。 |
| ステロイド トリアムシノロン、プレドニゾロンなど |
口腔潰瘍には局所療法、眼や臓器の炎症には病状に応じた局所・全身治療を行います。 |
| 免疫抑制薬 アザチオプリン、シクロスポリンなど |
眼や内臓の炎症を抑え、再発による障害を防ぐ目的で使用されます。 |
| TNF阻害薬 インフリキシマブ、アダリムマブなど |
炎症に関わるTNFαを抑える生物学的製剤。重い眼病変や難治性の臓器病変などに用いられます。 |
口腔・外陰部の潰瘍、皮膚症状、関節炎などに使用されます。
局所療法で十分に改善しない口腔潰瘍に使用します。
症状や炎症の部位に応じて外用薬・点眼薬・内服薬などを使用します。
眼や内臓の炎症を抑える目的などで使用します。
難治性や重症の病変に使用する生物学的製剤です。
コルヒチン
コルヒチンは、ベーチェット病の皮膚・粘膜症状や関節炎などに使用される代表的な治療薬です。炎症に関係する好中球の働きを抑え、症状の再発を減らす目的で用いられます。
2025年改訂の欧州リウマチ学会(EULAR)推奨でも、再発性の皮膚・粘膜病変や関節炎に対する第一選択の全身治療として位置づけられています。
アプレミラスト(オテズラ)
アプレミラストは、炎症に関係するPDE4という酵素を阻害する内服薬です。日本では、局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍に対して承認されています。
口内炎が繰り返し現れ、痛みで食事や会話がしづらい方などに、症状の改善を目的として使用されます。
眼・内臓の炎症に対する専門治療
ぶどう膜炎や消化管・血管・神経の炎症では、免疫抑制薬やTNF阻害薬などが重要な治療となります。特に視力に関わる眼の奥の炎症では、インフリキシマブなどによる治療を早期に検討する場合があります。
眼の炎症を繰り返す場合、ステロイドだけでは再発の抑制が十分でないこともあり、適切な免疫抑制療法を組み合わせます。
神経型ベーチェット病ではシクロスポリンが神経症状を悪化させる場合があるため、病型による薬剤選択が重要です。医薬品の使用条件や国内承認効能は製品によって異なります。
ベーチェット病と漢方薬
ベーチェット病に対しては、日本でも以前から漢方薬を用いた臨床研究や症例報告が行われてきました。
1991年の日本東洋医学雑誌には、ベーチェット病患者68例に対する漢方治療の報告があり、洗肝明目湯・半夏瀉心湯・竜胆瀉肝湯などが頻用されていました。
さらに2012年には、ベーチェット病のぶどう膜炎24例を振り返った長期観察の報告があり、洗肝明目湯、温清飲、竜胆瀉肝湯、桂枝茯苓丸などを症状や経過に合わせて使用した症例が紹介されています。
これらは漢方治療を考えるうえで参考になる臨床報告です。ただし、現在の免疫抑制療法や生物学的製剤に代わる治療として有効性が確立しているわけではないため、病状に応じて適切に位置づけることが大切です。
眼症状と漢方薬
洗肝明目湯(せんかんめいもくとう)
洗肝明目湯は、目の充血、目の痛み、目の乾燥などに用いられる漢方薬です。
目に赤みや炎症が現れ、痛みや熱感を伴う状態に使用され、慢性的な目の乾燥や不快感にも用いられます。
ベーチェット病に対する漢方治療の臨床報告では、洗肝明目湯は特に重要な処方の一つです。1991年の68例の報告で頻用されており、2012年のぶどう膜炎の報告でも、洗肝明目湯を基本とした加味処方が使用されています。
ベーチェット病で目の症状が続いている方に対して、症状や体質を確認しながら漢方薬を検討する際の選択肢となります。
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
竜胆瀉肝湯は、炎症による熱感や痛みなどを伴う症状に用いられる漢方薬です。
1991年のベーチェット病に対する漢方治療の報告では頻用処方の一つであり、2012年のぶどう膜炎の臨床報告でも、小太郎漢方製薬の竜胆瀉肝湯を使用した症例が記載されています。
また、漢方では外陰部の炎症や排尿症状などに用いられる処方であり、ベーチェット病で外陰部の症状を伴う場合にも、臨床的に検討されてきました。
ただし、国内の一般用製剤は処方構成によって効能・効果が異なります。カミツレ薬局で取り扱うコタロー製品の正式効能は、排尿痛、残尿感、尿の濁り、こしけです。
皮膚・粘膜症状と漢方薬
温清飲(うんせいいん)
温清飲は、皮膚の乾燥、赤み、慢性的な湿疹・皮膚炎などに用いられる漢方薬です。
黄連解毒湯と四物湯を組み合わせた処方で、炎症を鎮める働きと、乾燥しやすい皮膚を整える働きの両面を持つことが特徴です。
ベーチェット病では、皮膚や粘膜に炎症を繰り返す方や、乾燥を伴う皮膚症状のある方などに検討されてきました。
2012年のベーチェット病のぶどう膜炎に対する臨床報告でも使用されており、眼症状や皮膚症状の経過に応じた漢方治療の選択肢として紹介されています。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
黄連解毒湯は、口内炎、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、のぼせなどに用いられる漢方薬です。
比較的体力があり、顔の赤みや熱感が強く、イライラしやすい方などに選ばれます。
ベーチェット病では、口腔粘膜や皮膚の炎症が強い場合などに漢方的な応用が検討されてきました。2012年のぶどう膜炎の臨床報告にも黄連解毒湯の使用例が含まれています。
特に、口内炎や皮膚炎という正式な効能・効果を持つため、これらの症状が現れている方に対する関連処方としても検討できます。
甘露飲(かんろいん)
甘露飲は、繰り返す口内炎や舌の荒れ・痛み、歯茎の腫れなどに用いられる漢方薬です。
口の中が乾燥しやすく、粘膜が荒れたり、口内炎を繰り返したりする方に検討される処方です。
ベーチェット病そのものを対象とした臨床効果が確立した処方ではありませんが、口内炎や舌の荒れなど、実際に現れている症状を対象に選択できます。
桂枝五物湯(けいしごもつとう)
桂枝五物湯は、口の中の痛み、ただれ、荒れを伴う口内炎などに用いられる漢方薬です。
口腔内に痛みやただれがあり、食事や会話の際に不快感が強い方などに検討されます。
口内炎のほか、歯根炎や歯槽膿漏などに伴う口臭も効能・効果に含まれます。ベーチェット病に伴う口腔内の不調についても、症状に着目した選択肢の一つとなります。
その他の関連する漢方薬
口内炎に加え、みぞおちのつかえ、胃もたれ、軟便などがある方に。1991年のベーチェット病の臨床報告でも頻用されました。
湿疹・皮膚炎などに用いられる処方。2009年には、難治性の口腔潰瘍と関節炎が改善したベーチェット病の症例報告があります。
体力低下、疲労倦怠感、食欲不振などがある方に。慢性疾患に伴う全身状態を考慮する際の選択肢です。
皮膚症状や神経過敏などを伴う方に。ベーチェット病のぶどう膜炎の症例報告にも使用歴があります。
ベーチェット病に対する漢方治療の臨床報告
日本東洋医学雑誌では、1991年に68例の漢方治療、2012年にぶどう膜炎24例の長期経過が報告されています。また2009年には、桂枝茯苓丸によって難治性の口腔潰瘍と関節炎が改善した症例も報告されました。
これらの研究では、症状や体質に合わせて複数の処方や加味処方が使用されており、市販の単一製品と治療内容が完全に一致するわけではありません。漢方薬を検討する際には、現在の治療状況と合わせて判断することが重要です。
洗肝明目湯・温清飲・黄連解毒湯・竜胆瀉肝湯などには山梔子を含む製品があり、長期服用による腸間膜静脈硬化症への注意が必要です。また、黄連解毒湯による肝障害が疑われたベーチェット病の症例報告もあります。複数処方の自己判断による併用を避け、服用歴や治療内容を確認します。
カミツレ薬局で相談・購入できる医薬品・漢方薬
カミツレ薬局では、目の充血・痛み・乾燥、皮膚炎、口内炎などに用いられる漢方薬や医薬品を取り扱っています。
ベーチェット病に対する臨床使用報告のある漢方薬から、口内炎などの関連症状に用いられる医薬品まで、現在の症状や治療内容に合わせてご相談いただけます。
洗肝明目湯エキス細粒G「コタロー」
せんかんめいもくとう
目の充血・痛み・乾燥に。ベーチェット病の漢方治療やぶどう膜炎に対する国内の臨床報告でも使用されている処方です。
商品情報・購入ページを見る温清飲エキス細粒G「コタロー」
うんせいいん
乾燥を伴う湿疹・皮膚炎などに。炎症と皮膚の乾燥の両面から考える漢方薬で、ベーチェット病のぶどう膜炎に対する使用報告もあります。
商品情報・購入ページを見る黄連解毒湯エキス細粒G「コタロー」
おうれんげどくとう
口内炎、皮膚炎、皮膚のかゆみ、のぼせに。赤みや熱感が強い方などに用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見る甘露飲エキス細粒G「コタロー」
かんろいん
口内炎や舌の荒れ・痛み、歯茎の腫れに。口腔内の乾燥や炎症を伴う症状などに用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見る桂枝五物湯エキス細粒G「コタロー」
けいしごもつとう
口内炎、口中のただれや荒れ、痛みなどに。口腔内の炎症による不快感が目立つ方に用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見るサンクロン<120ml>
クマザサ由来の医薬品
口内炎、歯槽膿漏、口臭などに。クマザサ由来の成分を使用した医薬品で、口腔内の不調に使用できます。
商品情報・購入ページを見るその他の関連する漢方薬
竜胆瀉肝湯エキス細粒G「コタロー」 ― ベーチェット病の臨床報告にも使用歴のある処方。市販製品の正式効能は排尿痛、残尿感、尿の濁り、こしけです。
半夏瀉心湯Aエキス細粒「分包」三和生薬 ― 口内炎と胃腸症状を伴う方に。ベーチェット病の漢方治療の報告でも使用されています。
桂枝茯苓丸料エキス細粒G「コタロー」 ― 湿疹・皮膚炎などに。ベーチェット病の口腔潰瘍・関節炎への症例報告がある処方です。
繰り返す口内炎や口腔内の痛みについて、漢方薬を詳しく比較したい方は、桂枝五物湯と甘露飲の比較ページもご覧ください。
ベーチェット病の薬は通販・処方箋なしで購入できる?
ベーチェット病の炎症や再発を抑える治療には、コルヒチン、アプレミラスト、免疫抑制薬、生物学的製剤などが使用されます。これらは病状に応じて医療機関で治療方針を決定する医薬品です。
一方、目の充血や乾燥、口内炎、湿疹・皮膚炎などの関連症状に用いられる一般用医薬品には、処方箋なしで通販・オンライン購入できる製品があります。
洗肝明目湯、温清飲、黄連解毒湯、甘露飲などは、カミツレ薬局でも取り扱っています。現在の病状や使用中の医薬品を確認したうえで、症状に合う漢方薬をご相談いただけます。
カミツレ薬局では、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を条件に応じて店舗で対面販売する場合もありますが、医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。
ベーチェット病で急な視力低下、強い眼痛、激しい頭痛や麻痺、強い腹痛や下血、胸痛や喀血などが現れた場合には、眼や内臓の重い炎症が関係していることがあります。こうした症状は速やかな医療機関での評価が必要です。
ベーチェット病に関連する漢方薬・医薬品のご相談
「ベーチェット病の目の症状に使う漢方薬は?」「洗肝明目湯と温清飲の違いを知りたい」「口内炎や皮膚の炎症が繰り返す」「病院で使用している薬と漢方薬を併用できる?」など、お薬についてお気軽にご相談ください。
参考文献・情報源
- 難病情報センター「ベーチェット病(指定難病56)」
- EULAR recommendations for the management of Behçet's syndrome: 2025 update. Annals of the Rheumatic Diseases(2026)
- MSDマニュアル家庭版「ベーチェット病」
- 「Behçet病に対する東洋医学的治療」日本東洋医学雑誌 42巻1号、11〜15頁(1991)
- 山本昇吾・藤東祥子「ベーチェット病のぶどう膜炎に対する漢方治療の有用性」日本東洋医学雑誌 63巻6号、384〜394頁(2012)
- 「経過中黄連解毒湯による肝障害を発症し,桂枝茯苓丸が卓効したベーチェット病の1例」日本東洋医学雑誌 60巻5号、527頁〜(2009)
執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。



