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疾患・症状と医薬品
前立腺炎の症状と治療薬・漢方薬

前立腺炎は、膀胱の下にある前立腺に細菌感染や炎症が起こったり、前立腺周辺に痛みや不快感が生じたりする病気です。会陰部(陰のうと肛門の間)の痛み、頻尿、残尿感、排尿時の違和感などが現れます。
治療には、細菌感染が原因の場合の抗菌薬や、慢性前立腺炎に用いられるセルニルトン錠、痛み・排尿症状を和らげる医薬品などがあります。また、長引く排尿時の不快感や頻尿・残尿感などに対して、竜胆瀉肝湯・五淋散・清心蓮子飲などの漢方薬が、症状や体質に応じて検討されることもあります。
前立腺炎とは
前立腺は男性の膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲むように位置する臓器です。精液の一部となる前立腺液を分泌する働きがあります。
前立腺炎には、細菌感染によって起こるものと、細菌感染が確認されないものがあります。特に慢性前立腺炎では、尿検査で細菌が見つからなくても、会陰部や下腹部などの痛みや不快感が長期間続く場合があります。
前立腺炎の主な症状
- 会陰部(陰のうと肛門の間)、下腹部、腰などの痛み・不快感
- 頻尿、残尿感、尿の出にくさ、排尿時の痛みや違和感
- 陰茎や精巣周辺の痛み、射精時の痛み
- 長時間座っていると、下半身の痛みや不快感が強くなる
- 急性細菌性前立腺炎では、高熱・悪寒・強い排尿痛などが現れる
急性前立腺炎と慢性前立腺炎の違い
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 急性細菌性前立腺炎 | 大腸菌などの細菌感染により急激に発症します。高熱・悪寒・強い排尿痛などを伴い、速やかな抗菌薬治療が必要です。 |
| 慢性細菌性前立腺炎 | 細菌感染が持続したり、同じ細菌による尿路感染を繰り返したりする状態です。症状は急性の場合より軽いこともあります。 |
| 慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群 | 細菌感染が確認されず、会陰部・下腹部などの痛みや排尿症状が慢性的に続く状態です。CP/CPPSとも呼ばれます。 |
細菌感染によって急激に発症し、高熱・悪寒・強い排尿痛などが現れます。
細菌による感染が持続・再発し、排尿時の違和感や痛みなどを繰り返します。
細菌感染が確認されず、会陰部などの痛みや排尿症状が長期間続く状態です。
慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群では、骨盤底の筋肉の緊張や神経の過敏な状態などが関係すると考えられています。必ずしも前立腺そのものに明らかな炎症があるとは限りません。
診断では、症状や経過に加え、尿検査・尿培養検査などを行い、細菌感染の有無を確認します。必要に応じて超音波検査などを行い、尿道炎、前立腺肥大症、膀胱の病気などとの区別も行います。
前立腺炎の治療
前立腺炎の治療は、細菌感染の有無や症状の経過によって異なります。細菌性前立腺炎では抗菌薬が重要ですが、慢性前立腺炎ではセルニルトン錠などの医薬品や、痛み・排尿症状・骨盤底筋の緊張などに応じた治療を組み合わせます。
| 治療方法 | 内容 |
|---|---|
| 抗菌薬 | 細菌性前立腺炎に使用します。尿培養などの結果を参考に薬を選び、必要な期間治療を行います。 |
| 慢性前立腺炎に対する薬物療法 | セルニルトン錠など、慢性前立腺炎に用いられる医薬品があります。症状や治療経過に応じて使用します。 |
| 鎮痛薬・抗炎症薬 | NSAIDsなどを使用し、会陰部や下腹部などの痛みを和らげます。 |
| 排尿症状に対する薬 | 排尿がしにくい場合などに、α1遮断薬などが症状や原因に応じて検討されます。 |
| 骨盤底筋・生活習慣への対応 | 慢性的な痛みでは、骨盤底筋の緊張を和らげる理学療法、温浴、長時間座り続けない工夫なども取り入れます。 |
細菌感染がある場合に使用し、原因菌や経過に応じて治療します。
セルニルトン錠などが、症状や治療経過に応じて使用されます。
NSAIDsなどで会陰部や下腹部の痛みを和らげます。
尿の出にくさなどに対し、α1遮断薬などを検討することがあります。
骨盤底筋の緊張を和らげる理学療法や温浴、長時間の座位を避ける工夫などを行います。
前立腺炎に使われる主な医薬品
| 薬・成分 | 特徴・位置づけ |
|---|---|
| ニューキノロン系抗菌薬 レボフロキサシンなど |
細菌性前立腺炎に用いられる抗菌薬です。原因菌や薬剤耐性、患者の状態などを考慮して選択します。 |
| その他の抗菌薬 セフェム系など |
重症の急性細菌性前立腺炎では、入院して注射用抗菌薬を使用する場合があります。 |
| セルニルトン錠 セルニチンポーレンエキス |
植物花粉由来の成分を配合した前立腺疾患治療薬です。慢性前立腺炎の効能・効果が認められ、抗炎症作用や排尿促進作用が特徴です。 |
| NSAIDs ロキソプロフェンなど |
炎症や痛みを抑える薬です。慢性前立腺炎でみられる痛みへの対症療法としても用いられます。 |
| α1遮断薬 タムスロシン、シロドシンなど |
尿道周囲の筋肉の緊張を和らげる薬です。排尿症状を伴う慢性骨盤痛症候群などで検討される場合があります。 |
| 慢性疼痛に用いる薬 アミトリプチリン、ガバペンチンなど |
痛みが長引く場合に、神経の過敏な状態や慢性疼痛の特徴に応じて専門的に検討されます。 |
レボフロキサシンなど。細菌性前立腺炎の原因菌に対して使用します。
セフェム系など。重症例では注射用抗菌薬による治療が必要になることがあります。
慢性前立腺炎の効能・効果が認められた、植物花粉抽出物を成分とする前立腺疾患治療薬です。
ロキソプロフェンなど。炎症や会陰部などの痛みを和らげます。
タムスロシン、シロドシンなど。排尿のしにくさなどに対して検討されます。
アミトリプチリン、ガバペンチンなど。長引く痛みの特徴に応じて検討されます。
セルニルトン錠(セルニチンポーレンエキス)
セルニルトン錠は、慢性前立腺炎の治療に用いられる医療用医薬品です。植物の花粉から抽出した成分を配合しており、前立腺の炎症を抑える作用や排尿促進作用があることが特徴です。
日本では「慢性前立腺炎」の効能・効果が認められています。また、初期前立腺肥大症による排尿困難・頻尿・残尿感・排尿痛・会陰部不快感などにも使用されます。
抗菌薬とは異なり、細菌を直接殺す薬ではありません。慢性前立腺炎で会陰部の不快感や排尿症状などが続いている場合に、症状や治療経過に応じて検討されます。
慢性前立腺炎・慢性骨盤痛症候群に対する植物花粉抽出物の臨床研究も報告されており、痛みや生活の質の改善を示した試験があります。
セルニルトン錠は処方箋なしで購入できる?
セルニルトン錠は、処方箋医薬品以外の医療用医薬品に分類されています。必要な条件を満たす場合には、薬剤師による薬局での対面販売の対象となることがあります。
ただし、医療用医薬品のため通販・郵送販売はできません。カミツレ薬局での実際の取扱状況や販売可否については、事前にお問い合わせください。
慢性骨盤痛症候群では、細菌が見つからないにもかかわらず症状が続くことがあります。この場合、抗菌薬だけに頼るのではなく、セルニルトン錠を含む薬物療法や、痛み・排尿症状などに合わせた治療が重要です。
慢性前立腺炎で症状が長引く場合
慢性前立腺炎では、治療を受けても会陰部の重苦しさや下腹部の違和感、頻尿・残尿感などが残る場合があります。長時間のデスクワークや運転、自転車などで下半身への圧迫が続くと、症状が強くなることもあります。
そのため、座り続ける時間を短くする、身体を冷やさない、温浴を取り入れる、飲酒や刺激物によって症状が悪化する場合は控えるなど、日常生活での対策も役立ちます。
高熱、悪寒、強い排尿痛、尿が出ないなどの症状を伴う場合は、急性細菌性前立腺炎などの可能性があり、速やかな医療機関での治療が必要です。重症化すると前立腺膿瘍や敗血症を起こす場合もあります。
前立腺炎と漢方薬
漢方薬は、前立腺炎という病名だけでなく、排尿時の痛み・頻尿・残尿感・下腹部の重苦しさ・疲れやすさなど、実際に現れている症状や体質に応じて選びます。
特に慢性前立腺炎では、細菌感染が確認されなくても排尿時の違和感や痛みが続く場合があります。漢方薬には、こうした排尿症状に効能・効果を持つ製品があり、治療経過や身体の状態を考慮して検討することができます。
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
竜胆瀉肝湯は、排尿時の痛みや残尿感、尿の濁り、下腹部の不快感などが気になる方に用いられる漢方薬です。比較的体力があり、下腹部に緊張感や重苦しさを伴う方などに適しています。
泌尿器の炎症に伴う排尿症状に用いられ、繰り返す排尿時の違和感や残尿感などがある場合に検討されます。竜胆・黄連・黄芩などの生薬を含む処方があり、製品によって配合生薬や効能・効果が異なります。
慢性前立腺炎・慢性骨盤痛症候群への応用
竜胆瀉肝湯は、慢性骨盤痛症候群に対する臨床研究の対象にもなっている漢方薬です。
カミツレ薬局で取り扱う小太郎漢方製薬の竜胆瀉肝湯は、排尿痛・残尿感・尿の濁りなどに効能・効果が認められています。慢性前立腺炎に伴ってこうした症状が続く方にも、体質や治療状況を確認しながらご案内しています。
五淋散(ごりんさん)
五淋散は、頻尿・排尿痛・残尿感・尿の濁りなどに用いられる漢方薬です。尿道や膀胱など泌尿器の炎症に伴う症状が気になる方や、排尿後もすっきりしない方などに検討されます。
黄芩・山梔子など炎症に関わる生薬と、茯苓・沢瀉など水分代謝に働きかける生薬を組み合わせた処方です。頻尿や排尿時の痛みが目立つ場合に、症状や体質に合わせて選ばれます。
前立腺炎そのものに対する抗菌作用を目的とする薬ではなく、排尿時の痛みや残尿感など、製品の効能・効果に合う症状に対して検討する漢方薬です。
清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
清心蓮子飲は、頻尿や残尿感、排尿時の違和感に加えて、疲れやすさや胃腸の弱さ、精神的な緊張などが気になる方に用いられる漢方薬です。
人参・黄耆など身体の働きを補う生薬と、茯苓・車前子など水分代謝に関わる生薬を組み合わせています。緊張するとトイレが近くなる方や、慢性的な排尿症状とともに疲労感がある方などで検討されます。
五淋散や竜胆瀉肝湯とは異なり、胃腸が弱く、体力があまり強くない方の排尿症状にも選びやすい処方です。
そのほかの排尿症状に関連する漢方薬
残尿感・排尿痛・頻尿などに。排尿時の不快感が続く場合に、症状に応じて検討されます。
足腰の冷えやだるさを伴う頻尿・残尿感・排尿困難などに。中高年以降の排尿の悩みに用いられます。
漢方薬の選択では、会陰部の痛みが中心なのか、頻尿・残尿感・排尿痛が中心なのかを確認することが重要です。細菌性前立腺炎では抗菌薬による治療を優先し、漢方薬はそれぞれの効能・効果に合った症状への選択肢として検討します。
カミツレ薬局で相談・購入できる漢方薬
カミツレ薬局では、排尿時の痛み・頻尿・残尿感・下腹部の不快感などに用いられる漢方薬を取り扱っています。慢性前立腺炎で症状が続いている方についても、現在の治療内容や排尿症状、体質などを確認しながらご相談いただけます。
竜胆瀉肝湯エキス細粒G「コタロー」
りゅうたんしゃかんとう
排尿痛・残尿感・尿の濁りに。泌尿器の炎症に伴う排尿時の不快感や、下腹部の重苦しさが気になる方に用いられる漢方薬です。比較的体力があり、下腹部に緊張感がある方などに適しています。
商品情報・購入ページを見る五淋散エキス細粒G「コタロー」
ごりんさん
頻尿・排尿痛・残尿感・尿の濁りに。尿道や膀胱などの炎症に伴う排尿時の痛みや、排尿後もすっきりしない不快感などに用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見るその他の関連製品
清心蓮子飲エキス細粒G「コタロー」 ― 胃腸が弱く、疲れやすさや緊張を伴う頻尿・残尿感・排尿痛などに。
猪苓湯Aエキス細粒「分包」三和生薬 ― 排尿痛・頻尿・残尿感などに。
竜胆瀉肝湯Aエキス細粒「分包」三和生薬 ― 下腹部の熱感や痛みを伴う頻尿・排尿痛・残尿感などに。小太郎製品とは配合生薬が異なります。
前立腺炎に伴う症状でも、漢方薬の選択は症状や体質によって異なります。会陰部の強い痛みや発熱がある場合、尿が出にくい場合などは、原因に応じた治療を優先します。
前立腺炎の薬は通販・処方箋なしで購入できる?
前立腺炎の治療に使われる医薬品には、医療機関で処方される抗菌薬や、慢性前立腺炎に用いられるセルニルトン錠、鎮痛薬、排尿症状に対する薬などがあります。
細菌性前立腺炎の治療には、原因菌に合った抗菌薬の選択が重要です。特に急性細菌性前立腺炎では、自己判断で市販薬だけを使用するのではなく、速やかな診断と抗菌薬による治療が必要です。
セルニルトン錠は、慢性前立腺炎に効能・効果が認められた医療用医薬品ですが、処方箋医薬品には該当しません。薬局で必要な条件を満たす場合には、薬剤師による対面販売の対象となることがあります。カミツレ薬局での取扱状況や販売可否については、お問い合わせください。
一方、竜胆瀉肝湯・五淋散・清心蓮子飲などの一般用漢方薬は、排尿痛・頻尿・残尿感などの効能・効果や体質に合う場合、処方箋なしで通販・オンライン購入できます。
カミツレ薬局では、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を店舗で対面販売する場合もありますが、医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。
なお、前立腺炎に伴う排尿症状と、前立腺肥大症や過活動膀胱などによる頻尿は、原因や使用する薬が異なることがあります。頻尿・夜間尿については、頻尿・夜間尿に使われる薬・漢方薬でも詳しく紹介しています。
漢方薬にも副作用や飲み合わせがあります。複数の漢方薬を併用する場合は、甘草などの生薬の重複や現在服用している医薬品との組み合わせを確認することが大切です。
前立腺炎・排尿時の不快感に用いられる医薬品・漢方薬のご相談
「慢性前立腺炎で違和感が続いている」「セルニルトン錠について知りたい」「竜胆瀉肝湯と五淋散はどう違う?」「頻尿や残尿感に合う漢方薬は?」「病院の薬と漢方薬を併用できる?」など、お薬についてお気軽にご相談ください。
参考文献・情報源
執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。



