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疾患・症状と医薬品
ADHD(注意欠如・多動症)の症状と治療薬・漢方薬

ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意、多動性、衝動性などの特性によって、学校や仕事、日常生活で困りごとが生じる神経発達症です。子どもだけでなく、大人になってから診断される方もいます。
治療・支援では生活環境の調整や心理社会的支援を基本とし、必要に応じてコンサータ、アトモキセチン、インチュニブなどの医薬品を使用します。また、イライラ、不眠、神経過敏、疲れやすさなどの関連する悩みには、症状に応じて漢方薬を検討することもあります。
ADHD(注意欠如・多動症)とは
ADHDは、注意や行動の調整に関わる脳の働きの特性によって、不注意や落ち着きのなさ、衝動的な行動などが続く状態です。特性の現れ方は人それぞれで、不注意が中心の方もいれば、多動性・衝動性が目立つ方もいます。
主な特性・困りごと
- 不注意:忘れ物やケアレスミスが多い、整理整頓や時間管理が苦手
- 多動性:じっと座っていることが難しい、そわそわして落ち着かない
- 衝動性:順番を待つのが苦手、思いついたことをすぐに行動に移す
- 大人のADHD:仕事の段取りや締め切り、家事・金銭管理などで困りやすい
診断では、子どもの頃からの特性、家庭・学校・職場など複数の場面での困りごとを確認します。不注意や落ち着きのなさは、睡眠不足、不安、うつ病などでも起こるため、症状だけでADHDと判断するわけではありません。
自閉スペクトラム症(ASD)、チック症・トゥレット症、不安症などが併存する場合もあります。困っている症状だけでなく、生活環境や併存する症状も考慮することが大切です。
ADHDの治療と支援
ADHDの治療では、特性を理解し、生活しやすい環境を整えることが重要です。薬物療法は必要に応じて組み合わせ、学校生活や仕事、家庭での困りごとを減らすことを目指します。
| 治療・支援 | 主な内容 |
|---|---|
| 環境調整 | 予定の見える化、作業の小分け、刺激の少ない環境づくり、リマインダーなどを活用します。 |
| 心理社会的支援 | 子どもではペアレント・トレーニングや学校との連携、大人では認知行動療法などを検討します。 |
| 薬物療法 | 不注意、多動性・衝動性による生活上の困難に応じて、ADHD治療薬を使用します。 |
| 併存症状への対応 | 不眠、不安、気分の落ち込みなどがある場合、必要に応じてそれぞれの症状にも対応します。 |
予定の見える化や作業の小分けなど、日常生活の工夫を行います。
ペアレント・トレーニング、学校・職場との連携、認知行動療法などを活用します。
ADHD治療薬で不注意、多動性・衝動性による困りごとの軽減を目指します。
不安や不眠などがある場合は、その症状も合わせて確認します。
ADHDに使用される主な治療薬
| 薬・成分 | 特徴・位置づけ |
|---|---|
| メチルフェニデート徐放錠 コンサータ |
ドパミン・ノルアドレナリンの働きを調整する中枢刺激薬。不注意や多動性・衝動性の改善に用います。登録された医師・薬局・患者による管理制度があります。 |
| アトモキセチン ストラテラなど |
ノルアドレナリンの再取り込みを抑える非中枢刺激薬。小児・成人のADHDに使用されます。 |
| グアンファシン徐放錠 インチュニブ |
脳内のα2A受容体に作用する非中枢刺激薬。小児・成人のADHDに用いられ、眠気や血圧低下などに注意します。 |
| リスデキサンフェタミン ビバンセ |
小児期のADHDに使用する中枢刺激薬です。6歳未満や18歳以上には有効性・安全性が確立しておらず、厳格な管理のもとで使用します。 |
不注意や多動性・衝動性に用いる中枢刺激薬。登録管理制度があります。
小児・成人のADHDに使われる非中枢刺激薬です。
小児・成人に用いられる非中枢刺激薬です。
小児期のADHDに使用する中枢刺激薬です。
ADHD治療薬は、いずれも医師の処方が必要です。薬によって食欲低下、不眠、眠気、動悸、血圧変化などがあり、年齢や持病、チックなどの併存症状も考慮して選択します。自己判断で中止・増減しないでください。
ADHDに伴う悩みと漢方薬
漢方薬は、ADHDそのものの不注意・多動性を治療する標準薬ではありません。一方、ADHDの方にみられることのあるイライラ、神経過敏、不眠、疲れやすさ、胃腸の不調などについては、症状や体質から漢方薬を選ぶことがあります。
国内ではADHD治療薬に抑肝散・抑肝散加陳皮半夏・小建中湯を補完的に追加した29例の後方視的研究が報告されています。比較試験ではありませんが、医療機関での治療と組み合わせ、日常生活で困っている症状に着目する考え方です。
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
イライラしやすい、怒りっぽい、神経が高ぶって眠れないといった方に用いられる漢方薬です。小児疳症(神経過敏)や不眠症などに効能があり、気持ちが高ぶりやすく胃腸も弱い方などに検討します。
抑肝散を基本に、陳皮・半夏を加えた処方です。釣藤鈎・柴胡など神経の高ぶりに関わる生薬と、茯苓・陳皮・半夏など胃腸に関わる生薬を組み合わせています。
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
疲れやすい、腹痛を起こしやすい、神経質で落ち着かないなど、身体の不調も気になるお子さまに用いられる漢方薬です。小児虚弱体質、夜泣き、神経質、疲労倦怠などに効能があります。
桂皮・芍薬・大棗などに膠飴を組み合わせ、胃腸の働きを整えながら体調を支える処方です。ADHD治療薬に補完的に用いた国内報告があります。なお、カミツレ薬局で取り扱う「ショーケン分包」は7歳未満を対象とする小児用製品です。
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
疲れやすく、神経過敏で、ちょっとした刺激に興奮しやすい方の不眠や神経症などに用いられる漢方薬です。竜骨・牡蛎を配合し、神経の高ぶりや不安感、眠りに関する悩みなどを考慮する際に検討します。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
イライラや不安が強く、動悸、不眠、便秘などを伴う方に用いられる漢方薬です。柴胡・黄芩などに竜骨・牡蛎を組み合わせた処方で、精神的な緊張や不眠などが目立つ場合の選択肢です。
ADHDの特性と、小児疳症・神経過敏は別のものです
「落ち着きがない」「かんしゃくを起こす」といった様子が似ていても、ADHDの不注意・多動性と、漢方薬が対象とする神経過敏や夜泣きは同じではありません。漢方薬は、実際に現れている症状や体質から選びます。
子どものイライラやかんしゃくに関する説明は、疳の虫・小児疳症の解説ページも参考になります。
カミツレ薬局で相談・購入できる漢方薬
カミツレ薬局では、神経の高ぶり、不眠、神経過敏、胃腸が弱く疲れやすいといった症状に関連する漢方薬を取り扱っています。ADHDの治療中の方も、現在の薬や実際の困りごとを確認しながらご相談いただけます。
抑肝散加陳皮半夏エキス細粒G「コタロー」
よくかんさんかちんぴはんげ
イライラや神経過敏、不眠などに。気持ちが高ぶりやすく、胃腸の不調も伴う方に用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見るショーケン分包「小児用」(小建中湯)
しょうけんちゅうとう
疲れやすく、腹痛や神経質なども気になるお子さまに。胃腸の弱さや疲労倦怠に着目した小児用漢方薬です。
商品情報・購入ページを見るサンワ桂枝加竜骨牡蛎湯エキス細粒「分包」
けいしかりゅうこつぼれいとう
神経過敏で興奮しやすく、不眠や神経質な傾向が気になる方に。竜骨・牡蛎を配合した漢方薬です。
商品情報・購入ページを見るサンワ柴胡加竜骨牡蛎湯エキス細粒「分包」
さいこかりゅうこつぼれいとう
精神不安、動悸、不眠や便秘などを伴う方に。緊張やイライラが強いときの関連症状に用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見る漢方薬を複数併用すると甘草などの生薬が重なることがあります。また、ADHDの治療薬と併用する場合も、使用中の薬や年齢、体調を確認して選びます。なお、掲載の「ショーケン分包」は7歳未満向けです。使用できる年齢は商品ごとに異なります。
ADHDの薬は通販・処方箋なしで購入できる?
コンサータ、アトモキセチン、インチュニブ、ビバンセなどのADHD治療薬は、医師の処方箋が必要な医薬品です。市販薬や通販で購入することはできません。特にコンサータやビバンセには、適正使用のための管理制度があります。
一方、抑肝散加陳皮半夏や桂枝加竜骨牡蛎湯などの一般用漢方薬には、神経症、不眠症、神経質、小児疳症などの承認効能に対して、処方箋なしで通販・オンライン購入できる製品があります。
カミツレ薬局では、こうした関連症状に用いる漢方薬をご案内しています。医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。
ADHDの不注意や多動性を改善する目的で、処方薬を漢方薬に置き換えるものではありません。強い不眠や気分の落ち込みなどが続く場合には、併存する症状も含めて治療方針を確認することが大切です。
ADHDに伴う不眠・イライラなど、お薬のご相談
「ADHDの薬と漢方薬は併用できる?」「子どもの神経過敏やイライラに使える漢方薬は?」「疲れやすさや不眠も気になる」など、お薬についてお気軽にご相談ください。
参考文献・情報源
執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。



