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疾患・症状と医薬品
自閉症・自閉スペクトラム症(ASD)の特徴と治療薬・漢方薬

自閉症・自閉スペクトラム症(ASD)は、人とのコミュニケーションや対人関係、興味や行動の特徴などに違いがみられる神経発達症の一つです。音や光への敏感さ、強いこだわり、予定の変更への不安などが現れることもあります。
基本となるのは、本人の特性に合った環境調整や発達支援です。また、強いかんしゃくや興奮、攻撃的な言動などに対してはアリピプラゾールなどの医薬品が使用されます。神経過敏やイライラ、不眠などを伴う方には、抑肝散加陳皮半夏などの漢方薬も選択肢となります。
自閉症・自閉スペクトラム症(ASD)とは
自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:ASD)は、生まれつきの脳の発達の違いが関係する神経発達症です。以前は「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」などに分類されていましたが、現在はこれらを含めて自閉スペクトラム症という名称が使われています。
症状や特性の現れ方には大きな個人差があり、言葉の発達や知的機能、日常生活で必要とする支援の程度も人によって異なります。
主な特徴・困りごと
- コミュニケーション:会話のやり取りや、相手の表情・気持ちを読み取ることが難しい場合がある
- こだわり・反復行動:同じ動作を繰り返す、決まった手順や予定の変更が苦手
- 感覚の過敏さ:音・光・におい・衣服の感触などに強い不快感を覚えることがある
- 生活上の症状:強い不安、かんしゃく、興奮、睡眠の問題などを伴うことがある
ASDの特性は幼少期からみられますが、成長して学校や職場などの環境が変わったときに、困りごとが目立つようになる場合もあります。
診断では、幼少期からの発達や行動の特徴、現在の生活状況などを総合的に確認します。ADHD(注意欠如・多動症)、知的発達症、不安症、睡眠障害などを併せ持つ方もいます。
自閉症・自閉スペクトラム症の治療と支援
ASDでは、本人の特性を理解し、生活しやすい環境を整えることが基本です。コミュニケーションや日常生活を支える支援に加え、生活に支障をきたす興奮や不安、不眠などには、必要に応じて薬物療法も検討します。
| 支援・治療方法 | 内容 |
|---|---|
| 環境調整・発達支援 | 予定を分かりやすく伝える、感覚刺激を調整するなど、本人の特性に合わせて生活や学習を支援します。 |
| 行動面への支援 | かんしゃくや自傷行動などが起こる背景を確認し、本人に合った対応方法を検討します。 |
| 薬物療法 | 強い興奮、攻撃性、自傷行動などに対し、アリピプラゾールやリスペリドンなどを使用することがあります。 |
| 併存する症状への治療 | ADHD、不安症、不眠症、てんかんなどを併せ持つ場合には、それぞれの症状に応じた治療を行います。 |
予定を分かりやすく伝え、感覚刺激などに配慮して生活や学習を支援します。
かんしゃくや自傷行動などの背景を確認し、適切な対応方法を検討します。
強い興奮、攻撃性、自傷行動などに対し、医薬品を使用する場合があります。
ADHD、不安症、不眠症、てんかんなどに必要な治療を行います。
自閉症・自閉スペクトラム症に使われる主な薬
ASDに用いる医薬品は、主に強い興奮やかんしゃく、攻撃性など、日常生活に影響する症状を和らげることを目的としています。
| 薬・成分 | 特徴・位置づけ |
|---|---|
| アリピプラゾール エビリファイなど |
脳内のドパミンやセロトニンの働きを調節する薬です。小児期のASDに伴う易刺激性(強い興奮、攻撃性、自傷行動など)に使用されます。 |
| リスペリドン リスパダールなど |
ドパミンやセロトニンの働きを抑える薬で、小児期のASDに伴う易刺激性に使用されます。 |
| その他の医薬品 | 不眠症状に対する睡眠薬や、併存するADHD・不安症・てんかんなどに対する治療薬が、症状に応じて使用されます。 |
ドパミンなどの働きを調節し、小児期のASDに伴う強い興奮や攻撃性などに使用します。
ドパミンやセロトニンの働きを抑え、小児期のASDに伴う易刺激性に使用します。
不眠や併存するADHD、不安症、てんかんなどに応じた薬が使用されます。
アリピプラゾールは原則6歳以上18歳未満、リスペリドンは原則5歳以上18歳未満の小児期ASDに伴う易刺激性について、国内で承認されています。本人の状態や症状の程度に合わせて治療薬が選択されます。
これらの薬では眠気、体重増加、代謝の異常、身体の動かしにくさなどに注意し、定期的に効果と副作用を確認します。ASDのコミュニケーションやこだわりなどの特性そのものを薬でなくす治療ではなく、生活上の困りごとを軽減するために使用します。
自閉症・自閉スペクトラム症と漢方薬
漢方薬は、ASDという診断名だけで選ぶのではなく、神経過敏、イライラ、かんしゃく、不眠、不安、疲れやすさ、胃腸の状態など、実際に現れている症状や体質を考慮して選びます。
特に、刺激に敏感で興奮しやすい、気持ちの切り替えが難しくイライラする、夜なかなか眠れないといった悩みには、神経の高ぶりや睡眠に関わる症状に用いられる漢方薬が選択肢となります。
抑肝散(よくかんさん)
抑肝散は、神経が高ぶりやすく、イライラ、興奮、怒りっぽさ、不眠などを伴う方に用いられる代表的な漢方薬です。
もともと小児の神経過敏や夜泣き、ひきつけなどに用いられてきた処方で、現在も小児疳症や神経症、不眠症などに使用されています。
釣藤鈎(チョウトウコウ)・柴胡(サイコ)などが神経の高ぶりを鎮め、当帰(トウキ)・川芎(センキュウ)などが身体の状態を整える構成です。
ASDに伴うイライラや興奮などに対する臨床的な応用例もあり、これらの症状に悩む方で検討されることがあります。
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
抑肝散加陳皮半夏は、抑肝散に陳皮(チンピ)と半夏(ハンゲ)を加えた漢方薬です。
神経過敏、イライラ、興奮、不眠に加え、胃腸が弱い、食欲が落ちやすい、胃の不快感を伴う方などに用いられます。
陳皮・半夏は胃腸の働きを整える生薬で、神経の高ぶりを鎮める抑肝散の特徴に、胃腸症状への対応を加えた処方です。
小児疳症(神経過敏)、神経症、不眠症、歯ぎしりなどの効能・効果を持ち、刺激に敏感でイライラしやすい方や、睡眠の乱れを伴う方にも検討されます。
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
桂枝加竜骨牡蛎湯は、刺激に敏感で驚きやすい、緊張しやすい、不安が強い、眠りが浅いといった方に用いられる漢方薬です。
桂皮(ケイヒ)・芍薬(シャクヤク)などが身体の状態を整え、竜骨(リュウコツ)・牡蛎(ボレイ)が神経の高ぶりや不安を鎮める処方です。
神経過敏や不眠症、小児夜泣き、夜尿症などに用いられ、ASDの方でも不安や睡眠の問題が目立つ場合などに検討されます。
そのほかの不安・興奮・不眠に用いられる漢方薬
イライラ、不安、興奮、不眠、動悸などが強く、落ち着かない方に。
感情が不安定になりやすく、突然泣き出す、強い緊張や不安がある方などに。
これらの漢方薬は、主に神経過敏・不眠などの関連症状や体質に応じて用いるものです。ASDの中核特性を改善する効果については十分な根拠が確立しているわけではありません。小児への使用では製品ごとの対象年齢・用量を守り、甘草を含む漢方薬の重複などにも注意します。
カミツレ薬局で相談・購入できる漢方薬
カミツレ薬局では、神経過敏、イライラ、不安、不眠などに用いられる漢方薬を取り扱っています。お子さまから成人の方まで、具体的な困りごとや年齢、現在の治療内容を確認しながら、適した処方をご相談いただけます。
抑肝散加陳皮半夏エキス細粒G「コタロー」
よくかんさんかちんぴはんげ
神経過敏、イライラ、不眠、小児疳症などに。神経の高ぶりを鎮めながら胃腸の働きも整える漢方薬です。興奮しやすく、睡眠の乱れなどを伴う方に。
商品情報・購入ページを見る桂枝加竜骨牡蛎湯エキス細粒「分包」
けいしかりゅうこつぼれいとう
神経過敏、不安、不眠、夜泣きなどに。刺激に敏感で驚きやすい、緊張しやすい、疲れやすく眠りが浅い方に用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見る柴胡加竜骨牡蛎湯エキス細粒「分包」
さいこかりゅうこつぼれいとう
イライラ、不安、不眠、動悸などに。精神的な緊張や興奮が強く、落ち着かない、気持ちが高ぶって眠れないといった方に用いられる漢方薬です。
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神田橋処方と不安・精神症状に用いられる漢方薬 ― 不安、興奮、緊張などに関連する漢方薬の情報。
自閉症・自閉スペクトラム症の薬は通販・処方箋なしで購入できる?
アリピプラゾールやリスペリドンなど、小児期のASDに伴う易刺激性に使用される処方箋医薬品は、医療機関での診察・処方箋が必要です。
一方、抑肝散加陳皮半夏や桂枝加竜骨牡蛎湯、柴胡加竜骨牡蛎湯などには、神経過敏・神経症・不眠などに用いられ、処方箋なしで通販・オンライン購入できる一般用漢方薬があります。
カミツレ薬局では、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を店舗で対面販売する場合もありますが、医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。
強い興奮や自傷行動、急激な行動の変化がある場合は、安全の確保と原因の確認が重要です。また、現在使用している医療用医薬品がある方は、自己判断で中止・変更せず、漢方薬との併用についても確認してください。
神経過敏・イライラ・不眠に用いられる漢方薬のご相談
「かんしゃくやイライラが気になる」「抑肝散と抑肝散加陳皮半夏の違いは?」「子どもでも服用できる?」「病院の薬と併用できる?」など、お薬についてお気軽にご相談ください。

参考文献・情報源
執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。



