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疾患・症状と医薬品
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状と治療薬・漢方薬

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、肺や気管支に慢性的な炎症や障害が生じ、空気の通り道が狭くなることで、息切れや咳、痰などが続く病気です。肺気腫や慢性気管支炎と深い関係があります。
治療の中心は気管支を広げる吸入薬で、症状や病状に応じて複数の医薬品を組み合わせます。また、長引く咳・痰、体力低下や食欲不振などに対して、蘇子降気湯・麦門冬湯・補中益気湯などの漢方薬が検討されることもあります。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは
COPD(シーオーピーディー)は、肺の中の気管支が狭くなったり、酸素を取り込む肺胞が壊れたりすることで、特に息を吐き出しにくくなる病気です。
主な症状の特徴
- 階段や坂道、歩行中に息切れしやすい
- 咳や痰が長期間続く
- 呼吸をするとゼーゼー、ヒューヒューという音がする
- 以前より疲れやすく、身体を動かす機会が減る
- 病気が進行すると、安静時にも息苦しさを感じることがある
最も重要な原因は喫煙ですが、受動喫煙、大気汚染、粉じんなどへの長期間の曝露も関係します。喫煙経験のない方に発症することもあります。
COPDと肺気腫・慢性気管支炎の違い
肺気腫は、肺胞の壁が壊れて肺の弾力が失われた状態です。一方、慢性気管支炎は、痰を伴う咳が長期間続く状態を指します。
COPDでは、肺気腫や気管支の炎症によって持続的な気流閉塞が生じます。ただし、肺気腫や慢性気管支炎がある方すべてがCOPDと診断されるわけではありません。
診断では、呼吸機能検査(スパイロメトリー)によって息を吐き出す力を確認し、胸部X線・CT検査なども組み合わせます。喘息や心不全など、似た症状を起こす病気との区別も重要です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療
COPDの治療では、息切れなどの症状を軽減し、呼吸機能や日常生活の活動性を維持するとともに、急な悪化(増悪)を防ぐことを目指します。
| 治療方法 | 内容 |
|---|---|
| 吸入薬による治療 | 気管支拡張薬を中心に、息の通りを改善します。必要に応じて吸入ステロイド薬を組み合わせます。 |
| 禁煙・感染予防 | 禁煙は病気の進行を抑えるうえで特に重要です。ワクチン接種などによる呼吸器感染症の予防も行います。 |
| 呼吸リハビリ・栄養管理 | 呼吸方法の練習、運動療法、筋力の維持、食事や栄養状態の改善に取り組みます。 |
| 酸素療法・専門治療 | 呼吸不全を伴う場合には在宅酸素療法などを検討し、一部の重症例では専門的な手術・内視鏡治療が行われます。 |
気管支拡張薬を中心に、必要に応じて吸入ステロイド薬を組み合わせます。
禁煙やワクチン接種などにより、病気の進行や増悪のリスクを減らします。
運動や呼吸の練習、栄養管理によって身体機能の維持を目指します。
呼吸不全や重症度に応じて酸素療法や専門的な治療を検討します。
COPDに使われる主な医薬品
| 医薬品・成分 | 特徴・位置づけ |
|---|---|
| LAMA チオトロピウム(スピリーバ)など |
長時間作用性の抗コリン薬。気管支を広げ、息切れや呼吸のしにくさを改善する代表的な維持治療薬です。 |
| LABA インダカテロール(オンブレス)など |
長時間作用性のβ2刺激薬。気管支の筋肉を緩め、呼吸をしやすくします。 |
| LAMA/LABA配合薬 ウルティブロ、アノーロ、スピオルトなど |
作用の異なる2種類の気管支拡張薬を組み合わせた吸入薬です。単剤で症状が十分に改善しない場合などに使用します。 |
| ICSを含む配合薬 テリルジー、ビレーズトリなど |
吸入ステロイド薬と気管支拡張薬を組み合わせた製剤。増悪を繰り返す方など、病状に応じて使用します。 |
| 去痰薬 カルボシステイン、アンブロキソールなど |
痰を出しやすくし、痰が絡む咳や気道の不快感を改善するために用いられます。 |
| 生物学的製剤 デュピルマブ(デュピクセント) |
既存治療で効果が不十分な一部のCOPD患者に使用される注射薬です。炎症の特徴などを確認して適応を判断します。 |
長時間気管支を広げ、息切れなどを改善する維持治療薬です。
気管支の筋肉を緩めて呼吸をしやすくする吸入薬です。
2種類の気管支拡張薬を組み合わせ、呼吸のしにくさを改善します。
気管支拡張薬と吸入ステロイド薬を組み合わせ、増悪の予防などに使用します。
痰を出しやすくし、痰が絡む症状を改善します。
既存治療で十分な効果が得られない一部の患者に用いられる注射薬です。
吸入薬は、症状や増悪歴、血液検査などを考慮して選択します。特に吸入ステロイド薬はすべてのCOPD患者に必要なわけではなく、肺炎などの副作用にも注意して使用します。
COPDの増悪(急な悪化)に対する治療
COPDでは、感染症などをきっかけに咳・痰・息切れが普段より急に悪化することがあり、これを増悪(ぞうあく)と呼びます。
増悪時には短時間作用性の気管支拡張薬を使用し、状態に応じて全身性ステロイド薬や抗菌薬、酸素療法などを組み合わせます。重症の場合には入院や換気補助が必要になることもあります。
急に呼吸が苦しくなった、会話が困難なほど息切れする、唇が青紫色になる、意識がぼんやりする場合には救急対応が必要です。普段より息切れや痰が明らかに悪化した場合も、早めに治療内容を確認することが大切です。
COPDに伴う咳・痰・体力低下と漢方薬
COPDでは呼吸器の症状だけでなく、疲れやすさ、食欲不振、体重減少などが問題になることもあります。漢方薬は、こうした個々の症状や体質を確認しながら、標準治療と組み合わせる選択肢として検討されます。
蘇子降気湯(そしこうきとう)
蘇子降気湯は、痰が多く、咳や息苦しさが続く方に用いられる漢方薬です。特に体力が弱く、足腰の冷えや顔ののぼせを伴う方などに適しています。
紫蘇子(シソシ)・半夏(ハンゲ)・陳皮(チンピ)・厚朴(コウボク)などを含み、慢性的な咳や痰、呼吸の不快感に対応する処方です。
蘇子降気湯エキス細粒G「コタロー」には、体力虚弱で足冷えや顔ののぼせ、息苦しさがある方の慢性気管支炎・気管支ぜんそくに効能・効果が認められています。COPDに伴ってこれらの症状が目立つ場合にも、患者の状態に応じて検討する漢方薬です。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
麦門冬湯は、乾いた咳や、痰が粘って切れにくい咳に用いられる漢方薬です。のどの乾燥感があり、咳き込みが続く方などに適しています。
麦門冬(バクモンドウ)・半夏(ハンゲ)・人参(ニンジン)などを組み合わせた処方で、からぜき、気管支炎、気管支ぜんそくなどに効能・効果があります。
蘇子降気湯が痰の多さや息苦しさ、冷えを伴う方などに検討されるのに対し、麦門冬湯はのどの乾燥や強い咳き込み、切れにくい痰が目立つ場合に選択肢となります。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
補中益気湯は、疲れやすさ、身体のだるさ、食欲不振などを伴う体力の低下に用いられる漢方薬です。
COPDでは、呼吸に必要なエネルギーが増える一方で、食欲の低下や身体活動量の減少から、筋力や体重が低下することがあります。
補中益気湯は、こうした方のうち、胃腸の働きが弱く疲労倦怠や食欲不振が目立つ場合に検討できます。呼吸リハビリテーションや栄養管理を続けながら、体力面の不調に対応する選択肢です。
人参養栄湯とCOPDの臨床研究
人参養栄湯(にんじんようえいとう)は、疲労倦怠、食欲不振、病後の体力低下などに用いられる漢方薬です。
COPDでは、体重減少や筋力低下、フレイルが生じやすいことから、人参養栄湯を用いた臨床研究も行われています。
国内では、フレイルを伴うCOPD患者や、食欲不振・栄養状態の低下があるCOPD患者を対象とした比較試験が登録されています。呼吸器症状だけでなく、食欲や栄養状態、体力面への働きにも注目した研究です。
人参養栄湯はCOPDに伴う体力低下を考えるうえで注目される処方ですが、標準的な吸入治療に代わるものではありません。
その他の呼吸器症状に用いられる漢方薬
のどや口の乾燥、発熱性疾患の回復期に残る咳などに。体力が消耗し、乾燥した咳が続く場合に。
のどの乾燥感、痰の少ない咳、長引く咳などに。乾燥症状や体質に応じて選ばれる処方です。
漢方薬はCOPDそのものによる気流閉塞を改善する標準治療薬ではなく、慢性気管支炎に伴う咳や痰、疲労倦怠など、個々の症状に合わせて検討します。複数の漢方薬を併用する場合には、甘草などの生薬の重複にも注意が必要です。
カミツレ薬局で相談・購入できる医薬品・漢方薬
カミツレ薬局では、COPDに関連して気になりやすい痰や咳、慢性気管支炎の症状、疲労倦怠などに用いられる医薬品・漢方薬を取り扱っています。
痰が多いのか、乾いた咳が続くのか、体力や食欲の低下が目立つのかなど、症状に応じて商品を選ぶことができます。
ムコダイン去たん錠Pro500
L-カルボシステイン配合
しつこい痰・切れにくい痰に。 医療用ムコダインと同成分のカルボシステインを1錠中500mg配合。痰の性状を整えて排出しやすくする去痰薬です。
商品情報・購入ページを見る蘇子降気湯エキス細粒G「コタロー」
そしこうきとう・30包
慢性的な咳・痰・息苦しさに。 体力虚弱で、足腰の冷えや顔ののぼせを伴う方の慢性気管支炎・気管支ぜんそくに用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見る麦門冬湯エキス細粒G「コタロー」
ばくもんどうとう・30包
乾いた咳・痰が切れにくい咳に。 のどの乾燥感や強い咳き込みがある方に。気管支炎・気管支ぜんそくなどにも用いられます。
商品情報・購入ページを見る補中益気湯エキス細粒G「コタロー」
ほちゅうえっきとう・30包
疲労倦怠・食欲不振・体力低下に。 身体が疲れやすく、胃腸の働きが弱っている方の疲労倦怠や食欲不振などに用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見るその他の関連製品
竹葉石膏湯エキス細粒G「コタロー」 ― のどの乾燥、口の渇き、長引く乾いた咳などに。
COPDの薬は通販・処方箋なしで購入できる?
スピリーバ・ウルティブロ・テリルジーなど、COPDの維持治療に使用する主な吸入薬は、医療機関での診察・処方箋が必要です。
一方、痰の症状に用いるムコダイン去たん錠Pro500や、咳・慢性気管支炎・疲労倦怠などに用いられる一部の漢方薬には、処方箋なしで通販・オンライン購入できる製品があります。
カミツレ薬局では、処方箋医薬品以外の医療用医薬品について、条件に応じて店舗で対面販売する場合もあります。ただし、医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。
COPDの治療を受けている方が市販薬や漢方薬を追加する際には、現在使用している吸入薬や内服薬、痰や咳の状態などを確認し、適した商品を選ぶことが大切です。
COPDと日常生活の管理
COPDでは、薬物療法とともに、日常生活で呼吸機能や身体活動を維持する取り組みも重要です。
日常生活で意識したいこと
- 喫煙している場合は禁煙に取り組む
- 無理のないウォーキングや運動を継続する
- 口すぼめ呼吸など、呼吸を楽にする方法を身につける
- 食欲や体重の変化に注意し、栄養不足を防ぐ
- 吸入薬を正しい方法で使用し、定期的に吸入手技を確認する
- インフルエンザや肺炎球菌などの感染症予防を行う
特に体重減少や筋力低下がみられる方では、栄養管理と適切な運動を組み合わせることが大切です。食欲不振や疲労倦怠などの症状については、体質に応じた漢方薬も選択肢となります。
咳・痰・息苦しさに用いられる漢方薬のご相談
「痰が多くて困っている」「蘇子降気湯と麦門冬湯はどう違う?」「COPDの吸入薬と漢方薬は併用できる?」「疲れやすさや食欲不振に合う漢方薬は?」など、お薬についてお気軽にご相談ください。
参考文献・情報源
執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。



