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疾患・症状と医薬品
片麻痺(半身麻痺・半身不随)の原因と治療薬・漢方薬

片麻痺(へんまひ)は、身体の左右どちらか一方の手足が動かしにくくなったり、力が入らなくなったりする状態です。「半身麻痺」「半身不随」とも呼ばれ、脳梗塞や脳出血などの脳卒中によって起こることが多い症状です。
治療では原因となる病気への対応とリハビリテーションが重要です。また、麻痺に伴う筋肉のこわばりや痛みに医薬品が用いられるほか、しびれや筋力低下などの症状に対して、補陽還五湯・続命湯などの漢方薬も選択肢となります。
片麻痺(半身麻痺・半身不随)とは
片麻痺とは、身体の片側の腕や脚などに運動機能の障害が現れる状態です。脳の右側に障害が起こると左半身に、左側に障害が起こると右半身に麻痺が現れることが一般的です。
まったく動かせない重度の麻痺から、動かせるものの力が弱い「不全麻痺(ふぜんまひ)」まで、程度には幅があります。
片麻痺でみられる主な症状
- 片側の手足に力が入りにくい、動かしにくい
- 歩きにくい、足を引きずる、つまずきやすい
- 手指を細かく動かしにくい、物をつかみにくい
- 手足のしびれや感覚の鈍さがある
- 筋肉がつっぱる、関節が動かしにくい
原因として多いのは脳梗塞や脳出血などの脳卒中ですが、頭部外傷、脳腫瘍、脳の炎症などによって生じる場合もあります。
診断では、手足の筋力や感覚、症状の現れ方を確認し、必要に応じてCT・MRIなどの画像検査を行います。
突然、片側の手足が動かなくなった場合
突然の片麻痺は、脳卒中の重要な症状です。顔のゆがみ、ろれつが回らない、言葉が出ないなどの症状を伴う場合や、症状が短時間で消えた場合も、直ちに119番で救急車を呼んでください。
脳卒中では、治療開始までの時間がその後の回復に大きく関わります。
片麻痺の治療とリハビリテーション
片麻痺の治療は、原因となる病気の治療と、残された運動機能を改善するためのリハビリテーションが中心です。症状や発症からの経過に応じて、薬物治療や専門的な処置も組み合わせます。
| 治療方法 | 内容 |
|---|---|
| 原因となる病気の治療 | 脳梗塞では血栓を溶かす薬や血栓回収療法、脳出血では血圧管理や必要に応じた手術などを行います。 |
| リハビリテーション | 理学療法・作業療法を中心に、手足の運動、立ち上がり、歩行、日常生活動作などの練習を行います。 |
| 筋肉のこわばり・痛みの治療 | 筋弛緩薬、ボツリヌス毒素注射、装具などを症状に合わせて使用します。 |
| 脳卒中の再発予防 | 原因に応じた抗血小板薬・抗凝固薬や、血圧・血糖・脂質などの管理を行います。 |
脳梗塞・脳出血などの原因に応じて、薬物治療や専門的な処置を行います。
手足の運動や歩行、日常生活に必要な動作を繰り返し練習します。
筋弛緩薬やボツリヌス毒素注射、装具などを使用します。
原因に応じた薬物治療と、血圧・血糖・脂質などの管理を行います。
片麻痺に使われる主な医薬品
| 薬・成分 | 特徴・位置づけ |
|---|---|
| アルテプラーゼ | 条件を満たす急性期脳梗塞で、血栓を溶かして血流の回復を図る薬です。 |
| アスピリン・クロピドグレル、抗凝固薬など | 脳梗塞の種類や原因に応じ、再発予防を目的として使用します。 |
| バクロフェン・チザニジンなど | 筋肉の過剰な緊張を和らげ、つっぱりや動かしにくさを軽減するために用いられます。 |
| A型ボツリヌス毒素 ボトックス注用など |
麻痺した手足の筋肉が強く緊張する「痙縮(けいしゅく)」に対して、筋肉へ注射して緊張を和らげます。 |
| プレガバリンなど | 脳卒中後に生じる神経障害性の痛みなどに、症状や原因に応じて検討されます。 |
急性期脳梗塞のうち、条件を満たす場合に使用する血栓溶解薬です。
脳梗塞の原因に応じて再発予防に用います。
筋肉のつっぱりや過剰な緊張を和らげます。
手足の痙縮を和らげる注射治療です。
神経障害性の痛みなどに検討されます。
これらの医薬品は、原因疾患や症状に応じて医療機関で使用されます。脳卒中の種類によって使用できる薬は異なり、特に抗血小板薬・抗凝固薬は出血の状態などを考慮して選択されます。
片麻痺はリハビリで改善する?
脳卒中後の運動機能は、発症後の比較的早い時期に改善が進むことが多いものの、時間が経過した後も、残された機能を生かした訓練や日常生活の工夫によって、動作能力の向上を目指せます。
腕や手指の反復練習、立ち上がりや歩行訓練、装具や電気刺激を用いた治療などが行われます。麻痺の程度や生活上の目標に合わせて継続することが大切です。
片麻痺(半身不随)と漢方薬
漢方薬は、片麻痺に伴うしびれ、筋力低下、手足の痛み、疲れやすさなど、残っている症状や体質に合わせて検討されます。
なかでも補陽還五湯と続命湯は、古くから脳卒中に関連する手足の麻痺や筋力低下などに用いられてきた処方です。現在の治療では、原因疾患の治療やリハビリテーションと区別し、関連する症状への対応として位置づけます。
補陽還五湯(ほようかんごとう)
補陽還五湯は、体力が低下し、手足のしびれや筋力低下が続く方に用いられる漢方薬です。
中国では古くから脳卒中後の半身不随などを念頭に用いられてきた処方で、日本で販売されている製剤にも、体力虚弱な方の「しびれ」「筋力低下」「頻尿」「軽い尿漏れ」という効能・効果があります。
黄耆(オウギ)を中心に、当帰(トウキ)・川芎(センキュウ)・地竜(ジリュウ)などを組み合わせています。脳卒中後に体力が落ち、手足の動かしにくさやしびれが残る方などで検討されます。
続命湯(ぞくめいとう)
続命湯は、手足のしびれや筋力低下に加え、神経痛、関節の痛み、むくみなどが気になる方に用いられる漢方薬です。
体力が中等度以上の方に使用され、しびれ・筋力低下のほか、高血圧に伴う頭痛・頭重・肩こりなども効能・効果に含まれています。
麻黄(マオウ)・桂皮(ケイヒ)・当帰(トウキ)・川芎(センキュウ)・人参(ニンジン)などを組み合わせた処方で、身体の状態に合わせて補陽還五湯と使い分けます。
補陽還五湯と続命湯の選び方
補陽還五湯は体力が低下している方のしびれや筋力低下に、続命湯は比較的体力が保たれ、しびれや筋力低下に神経痛・関節痛などを伴う場合に検討されます。
脳卒中後は血圧や心臓の薬などを服用している方も多いため、漢方薬を選ぶ際には現在の治療内容も確認します。特に続命湯には麻黄が含まれています。
そのほかの症状に用いられる漢方薬
手足や肩、腰などの神経痛・関節痛・筋肉痛に。冷えや夜間に痛みが強くなる方などに用いられます。
急に筋肉がつる、こむら返りなどの痛みを伴う筋けいれんに。持続的な痙縮とは区別して検討します。
カミツレ薬局で相談・購入できる漢方薬
カミツレ薬局では、しびれや筋力低下などに用いられる漢方薬を取り扱っています。脳卒中後の症状や現在の治療内容、体力の状態などを確認し、適した処方をご案内しています。
補陽還五湯エキス細粒G「コタロー」
ほようかんごとう
体力が低下した方のしびれ・筋力低下に。脳卒中後の手足の動かしにくさやしびれなど、残っている症状に合わせて検討される漢方薬です。頻尿・軽い尿漏れにも用いられます。
商品情報・購入ページを見る続命湯エキス細粒G「コタロー」
ぞくめいとう
手足のしびれ・筋力低下に。神経痛や関節痛、むくみ、高血圧に伴う頭痛・肩こりなどにも用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見るその他の関連製品
疎経活血湯エキス細粒G「コタロー」 ― 神経痛・関節痛・筋肉痛などに。
脳卒中後の麻痺について、これらの漢方薬が脳の損傷を修復したり、脳卒中の再発を予防したりする効果を保証するものではありません。関連する症状に対して、治療やリハビリと併せて検討する医薬品です。
片麻痺の薬・漢方薬は通販・処方箋なしで購入できる?
片麻痺の原因となる脳卒中の急性期治療や、再発予防に用いる処方箋医薬品には、医療機関での診察・処方箋が必要です。
一方、補陽還五湯や続命湯などの一般用漢方薬は、処方箋なしでオンライン購入できる製品があります。しびれや筋力低下、神経痛などの症状に合わせて、薬剤師に相談しながら選ぶことができます。
カミツレ薬局では、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を店舗で対面販売する場合もありますが、医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。
脳卒中の後遺症に対する漢方薬については、以下の関連記事でも紹介しています。
片麻痺・しびれ・筋力低下と漢方薬のご相談
「脳卒中後のしびれや筋力低下に使える漢方薬を知りたい」「補陽還五湯と続命湯の違いを知りたい」「病院の薬と併用できるか確認したい」など、お薬についてお気軽にご相談ください。
参考文献・情報源
執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。



