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疾患・症状と医薬品
高血圧症(高血圧)の症状と治療薬・漢方薬

高血圧症は、血管にかかる圧力が慢性的に高くなった状態です。自覚症状がない場合も多いものの、そのまま放置すると脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎臓病などにつながることがあります。
治療には、減塩や運動などの生活習慣の改善と、カルシウム拮抗薬・ARB・利尿薬などの降圧薬が用いられます。
また、高血圧に伴う頭重、のぼせ、耳鳴り、肩こり、動悸、不安などには、七物降下湯・釣藤散・柴胡加竜骨牡蛎湯などの漢方薬が検討されることもあります。
高血圧症とは?血圧はいくつから高い?
血圧は、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す圧力です。上の血圧(収縮期血圧)と下の血圧(拡張期血圧)で表します。
日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、成人の高血圧について、診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上を診断基準としています。
上と下の血圧のいずれか一方が基準以上でも高血圧に該当します。ただし、一度の測定だけで判断せず、日を変えた測定や家庭血圧なども合わせて評価します。
| 血圧の分類 | 診察室血圧 | 家庭血圧 |
|---|---|---|
| 正常血圧 | 120/80mmHg未満 | 115/75mmHg未満 |
| 高値血圧 | 130〜139 または 80〜89mmHg | 125〜134 または 75〜84mmHg |
| ?度高血圧 | 140〜159 または 90〜99mmHg | 135〜144 または 85〜89mmHg |
| ?度高血圧 | 160〜179 または 100〜109mmHg | 145〜159 または 90〜99mmHg |
| ?度高血圧 | 180以上 または 110以上 | 160以上 または 100以上 |
診察室120/80未満、家庭115/75未満です。
診察室130〜139または80〜89、家庭125〜134または75〜84です。
診察室140〜159または90〜99、家庭135〜144または85〜89です。
診察室160〜179または100〜109、家庭145〜159または90〜99です。
診察室180以上または110以上、家庭160以上または100以上です。
単位はmmHgです。「または」は上の血圧・下の血圧のいずれか一方が該当することを示します。正常血圧は両方が基準未満の場合です。これらは診断時の分類であり、治療で目指す血圧とは異なります。
高血圧症の症状
高血圧症は、自覚症状がほとんどないことが特徴です。
頭痛、頭重、肩こり、めまい、動悸などを伴うこともありますが、これらの症状は高血圧以外の原因でも現れます。そのため、症状の有無だけで血圧の状態を判断することはできません。
血圧が高い状態が長く続くと、脳や心臓、腎臓、血管などへの負担が大きくなり、脳卒中、心筋梗塞、心不全、慢性腎臓病などの危険性が高まります。
高血圧症の主な原因
高血圧症の多くは、遺伝的な体質、塩分の摂りすぎ、肥満、運動不足、飲酒、加齢など、複数の要因が関係する「本態性高血圧」です。
一方、腎臓病、原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群などが原因となる「二次性高血圧」もあります。
若い年齢で血圧が著しく高い場合や、複数の降圧薬でも十分に下がらない場合などには、原因となる病気について詳しく調べることがあります。
高血圧症の治療と血圧の管理目標
高血圧症の治療では、血圧を適切に下げることで、脳卒中や心筋梗塞、心不全、腎臓病などの発症を防ぐことを目指します。
2025年版の日本高血圧学会のガイドラインでは、原則として診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満を降圧目標としています。
ただし、高齢で身体機能が低下している方や、立ちくらみ・腎機能低下などが起こりやすい方では、薬によって血圧が下がりすぎないよう、個々の状態に合わせた調整が必要です。
| 治療方法 | 内容 |
|---|---|
| 減塩・食生活の改善 | 食塩摂取量を1日6g未満にすることを目指し、野菜・果物・魚などを取り入れます。 |
| 運動・体重管理 | ウォーキングなどの有酸素運動を継続し、肥満がある場合には適切な体重管理を行います。 |
| 節酒・禁煙 | 飲酒量を見直し、喫煙による血管への負担を減らします。 |
| 降圧薬 | カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬などを病状に応じて使用します。 |
| 家庭血圧の記録 | 朝と夜の血圧を測定し、日々の変化や治療による改善を確認します。 |
食塩は1日6g未満を目安にし、栄養バランスを整えます。
有酸素運動を習慣にし、適切な体重を維持します。
飲酒量や喫煙習慣を見直します。
血圧や持病に応じた医薬品を使用します。
朝と夜の血圧を測り、変化を確認します。
なお、腎機能が低下している方などでは、カリウムを多く摂る食事が適さない場合があります。食事療法も現在の病状に合わせて考えます。
家庭での正しい血圧測定
血圧は、診察室では高くなる「白衣高血圧」や、診察室では正常でも家庭で高くなる「仮面高血圧」があります。このため、家庭血圧の記録が役立ちます。
家庭血圧を測るポイント
- 上腕に巻くタイプの血圧計を使用する
- 朝は起床後1時間以内、排尿後、朝食や降圧薬の服用前に測定する
- 夜は就寝前に測定する
- 椅子に座って1〜2分程度安静にしてから測定する
- 原則として1回の機会に2回測定し、測定値を記録する
一日の数値だけにとらわれず、数日間の平均や朝・夜の傾向を確認することが大切です。
高血圧症に使われる主な治療薬
高血圧症の治療には、血管を広げる薬、血圧を上げるホルモンの働きを抑える薬、余分な塩分や水分の排出を促す薬などが使用されます。
日本の診療ガイドラインでは、カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、少量のサイアザイド系利尿薬、β遮断薬が主要な降圧薬に位置づけられています。
| 薬・成分 | 特徴・位置づけ |
|---|---|
| カルシウム拮抗薬 アムロジピン、ニフェジピンなど |
血管を広げて血圧を下げる薬です。高血圧症に広く使用されます。 |
| ARB オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタンなど |
血管を収縮させるアンジオテンシンIIの働きを抑え、血圧を下げます。 |
| ACE阻害薬 エナラプリル、イミダプリルなど |
アンジオテンシンIIの産生を抑えて血圧を下げます。心不全や腎疾患などを伴う方にも使用されます。 |
| サイアザイド系利尿薬など トリクロルメチアジド、インダパミドなど |
腎臓から塩分や水分の排出を促すことで血圧を下げます。 |
| β遮断薬 ビソプロロール、カルベジロールなど |
心拍数や交感神経系の働きに作用し、心疾患を伴う高血圧症などでも使用されます。 |
| その他の降圧薬 スピロノラクトンなど |
複数の薬を使用しても血圧が下がりにくい場合などに検討されます。 |
アムロジピンなど。血管を広げて血圧を下げます。
オルメサルタン、テルミサルタンなど。血管収縮に関係するホルモンの作用を抑えます。
エナラプリルなど。血圧を上げるホルモンの産生を抑えます。
余分な塩分・水分の排出を促して血圧を下げます。
心拍数や交感神経系に作用する薬です。
治療状況に応じて追加される薬もあります。
カルシウム拮抗薬(アムロジピンなど)
カルシウム拮抗薬は、血管の筋肉が収縮する働きを抑えて血管を広げ、血圧を下げる医薬品です。
高血圧症の代表的な治療薬で、アムロジピンやニフェジピンなどが広く使用されています。副作用として足のむくみ、ほてり、頭痛などが現れる場合があります。
ARB(オルメサルタン・テルミサルタンなど)
ARBは、血管を収縮させるアンジオテンシンIIの作用を抑えることで、血圧を下げる医薬品です。
腎臓病や糖尿病などを伴う方にも、病状に応じて使用されます。腎機能や血液中のカリウム値などを確認しながら使用することが重要です。
利尿薬(トリクロルメチアジドなど)
サイアザイド系利尿薬は、腎臓からナトリウムや水分の排出を促し、血圧を下げる医薬品です。
他の降圧薬と組み合わせて使用されることもあります。脱水、低ナトリウム血症、低カリウム血症、尿酸値の上昇などに注意しながら使用します。
降圧薬は症状がなくても継続して使用することが重要です。血圧が改善したからといって自己判断で中止すると、再び血圧が上昇する場合があります。また、ARBやACE阻害薬などは妊娠中に使用できない薬剤であり、服用条件や併用薬を確認する必要があります。
高血圧症と漢方薬
高血圧症では、血圧の数値を下げる治療に加えて、頭重、のぼせ、耳鳴り、肩こり、頭痛、動悸、不安、不眠などの症状に悩まされる方もいます。
漢方薬には、こうした高血圧に伴う症状や、血圧が高くなる傾向のある方の慢性頭痛などを正式な効能・効果に持つ製剤があります。
特に七物降下湯、釣藤散、柴胡加竜骨牡蛎湯、環元清血飲などは、高血圧の傾向や関連する不調を考慮して選ばれる漢方薬です。
七物降下湯(しちもつこうかとう)
七物降下湯は、高血圧に伴う頭重、のぼせ、耳鳴り、肩こりなどに用いられる漢方薬です。
体力が中等度以下で、顔色があまり良くなく、疲れやすい方に適しています。胃腸の働きには大きな問題がないものの、頭が重い、のぼせる、耳鳴りや肩こりが続くといった方に検討されます。
七物降下湯は、日本の漢方医である大塚敬節によって考案された処方です。四物湯を基本に、黄耆・黄柏・釣藤鈎を加えた構成となっています。
小太郎漢方製薬の七物降下湯エキス細粒G「コタロー」では、「高血圧に伴う随伴症状(頭重、のぼせ、耳なり、肩こり)」が正式な効能・効果です。
釣藤散(ちょうとうさん)
釣藤散は、慢性的な頭痛、頭重、めまい、肩こりなどに用いられる漢方薬です。
特に中高年で、起床時や午前中に頭が重い、頭痛が続く、ストレスでイライラしやすい、血圧が高くなる傾向があるといった方に検討されます。
釣藤鈎(チョウトウコウ)・菊花(キクカ)・石膏(セッコウ)などを配合し、慢性頭痛や神経症などに使用されます。
小太郎漢方製薬の製剤では、慢性頭痛、神経症に加えて、「高血圧の傾向のあるもの」が正式な効能・効果に記載されています。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯は、高血圧に伴う動悸、不安、不眠などに用いられる漢方薬です。
体力が中等度以上で、精神的な緊張やイライラが強く、動悸や不眠、便秘などを伴う方に適しています。
ストレスが多く、気持ちが落ち着かない、夜眠れない、動悸を感じるといった症状が重なる場合に検討されます。
カミツレ薬局で取り扱うサンワ柴胡加竜骨牡蛎湯エキス細粒「分包」は、高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年期神経症などを正式な効能・効果に持つ製剤です。
環元清血飲(かんげんせいけついん)
環元清血飲は、中年以降や高血圧傾向のある方の頭痛、頭重、肩こり、めまい、動悸などに用いられる漢方薬です。
頭の重さや肩こり、ふらつきなど、血の巡りに関係する症状が重なる方に検討されます。
小太郎漢方製薬の環元清血飲エキス細粒G「コタロー」では、「中年以降または高血圧傾向のあるもの」の頭痛、頭重、肩こり、めまい、動悸が正式な効能・効果となっています。
大柴胡湯(だいさいことう)
大柴胡湯は、高血圧や肥満に伴う肩こり、頭痛、便秘などに用いられる漢方薬です。
比較的体力があり、脇腹からみぞおちの張り、便秘、肥満、イライラなどを伴う方に適しています。
高血圧に加えて、食べ過ぎや肥満、便秘などが気になる場合には、こうした関連症状への対応として検討できます。
その他の高血圧に関連する漢方薬
体力が中等度以上で、便秘や下腹部の圧痛があり、高血圧に伴う頭痛・めまい・肩こりなどがある方に。
疲れやすく、足腰の冷え、夜間尿、むくみなどがある方に。高血圧に伴う肩こり・頭重・耳鳴りも効能に含まれる製剤があります。
腹部の皮下脂肪が多く、便秘傾向があり、高血圧や肥満に伴う不調がある方に。
比較的体力があり、のぼせ、顔の赤み、イライラ、頭重などがある方に。血圧の数値よりも随伴症状に着目して選びます。
七物降下湯と釣藤散はどう違う?
七物降下湯は、疲れやすく、顔色があまり良くない方の、高血圧に伴う耳鳴り・肩こり・のぼせなどに適しています。
一方、釣藤散は、比較的体力があり、中高年の慢性的な頭痛、特に朝の頭重感やめまい、神経的な緊張などが目立つ方に検討されます。
血圧の数値だけではなく、疲れやすさ、頭痛の出る時間帯、耳鳴り、肩こり、睡眠や精神的な緊張なども確認しながら処方を選びます。
漢方薬は高血圧に伴う症状などを改善する目的で使用しますが、医療用降圧薬と同等の血圧低下作用や脳卒中予防効果が確立しているわけではありません。また、甘草を含む処方では偽アルドステロン症により、むくみや血圧上昇、低カリウム血症などが起こる場合があります。麻黄や大黄を含む処方にも使用上の注意があるため、体質や服用薬を確認して選択します。
カミツレ薬局で相談・購入できる漢方薬
カミツレ薬局では、高血圧に伴う頭重・のぼせ・耳鳴り・肩こり、慢性頭痛、動悸、不安、不眠などに用いられる漢方薬を取り扱っています。
血圧の状態だけでなく、頭痛や耳鳴り、疲れやすさ、精神的な緊張、便秘などを確認しながら、適した漢方薬をご相談いただけます。
七物降下湯エキス細粒G「コタロー」
しちもつこうかとう
高血圧に伴う頭重・のぼせ・耳鳴り・肩こりに。疲れやすく、顔色があまり良くない方などに用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見る釣藤散エキス細粒G「コタロー」
ちょうとうさん
慢性頭痛・めまい・肩こりに。中高年で、起床時の頭重や頭痛、血圧が高くなる傾向などが気になる方に用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見るサンワ柴胡加竜骨牡蛎湯エキス細粒「分包」
さいこかりゅうこつぼれいとう
高血圧に伴う動悸・不安・不眠に。精神的な緊張やイライラが強く、動悸や眠りの浅さなどを伴う方に用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見る環元清血飲エキス細粒G「コタロー」
かんげんせいけついん
中高年や高血圧傾向のある方の頭痛・頭重・肩こり・めまい・動悸に。複数の頭部症状や血の巡りに関係する不調に用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見るその他の関連製品
大柴胡湯Aエキス細粒「分包」三和生薬 ― 肥満や便秘、高血圧・肥満に伴う肩こり・頭痛などに。
通導散エキス細粒G「コタロー」 ― 便秘傾向があり、高血圧に伴う頭痛・めまい・肩こりなどがある方に。
頭痛・めまいに用いる漢方薬の比較 ― 七物降下湯・釣藤散・環元清血飲などの違いを解説しています。
カミツレ薬局の要相談医薬品は、問診内容を確認し、薬剤師からのメールをご確認いただいた後に発送いたします。
高血圧症の薬は通販・処方箋なしで購入できる?
高血圧症そのものを治療する降圧薬と、高血圧に伴う症状に用いられる漢方薬では、購入方法や使用目的が異なります。
アムロジピン、オルメサルタン、テルミサルタンなどの医療用降圧薬は、医師による診断や処方に基づいて使用する医薬品です。
一方、七物降下湯、釣藤散、柴胡加竜骨牡蛎湯などの漢方薬には、高血圧に伴う症状や高血圧傾向のある方の不調に用いられ、処方箋なしで購入できる製品があります。
これらの漢方薬は、薬剤師による確認を受けて、カミツレ薬局のオンラインショップからご購入いただけます。ただし、血圧の数値を下げるために医師から処方された降圧薬を、自己判断で置き換えるものではありません。
なお、カミツレ薬局では、条件に応じて一部の医療用医薬品を店舗で対面販売する場合がありますが、医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。
血圧が180/120mmHg以上など非常に高く、強い胸痛、呼吸困難、激しい頭痛、麻痺、意識の異常、急な視力障害などがある場合は、脳や心臓などへの急性障害が疑われるため、救急対応が必要です。症状がなくても非常に高い血圧が繰り返される場合には、速やかに医療機関で評価を受けてください。
高血圧に伴う症状・漢方薬のご相談
「七物降下湯と釣藤散はどう違う?」「血圧が高く、頭重や肩こりも気になる」「高血圧に伴う動悸や不眠に使える漢方薬は?」「病院の降圧薬と漢方薬を併用できる?」など、お薬についてお気軽にご相談ください。
参考文献・情報源
執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。



