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疾患・症状と医薬品
足底筋膜炎(足底腱膜炎)の症状と治療薬・漢方薬

足底筋膜炎(足底腱膜炎)は、かかとの裏側や足の裏に痛みが生じる病気です。特に朝起きて最初の一歩を踏み出すときに強く痛み、歩いているうちに軽くなることが特徴です。
治療にはストレッチやインソール、ロキソプロフェンなどの消炎鎮痛薬が用いられます。また、痛みが長引く場合には、薏苡仁湯・通導散などの漢方薬が検討されることもあります。
足底筋膜炎(足底腱膜炎)とは
足底筋膜炎は、かかとの骨から足の指の付け根まで伸びる足底腱膜(足底筋膜)に繰り返し負担がかかり、痛みが生じる状態です。
足底腱膜は、足のアーチを支え、歩行やランニングの際の衝撃を吸収する役割を持っています。負担が集中すると、かかとの骨との付着部分に小さな損傷や組織の変性が起こります。
医学的には「足底腱膜炎」という名称が広く使われますが、「足底筋膜炎」も同じ病態を指す言葉として使用されています。慢性化した場合には、炎症よりも組織の変性が中心となることもあります。
主な症状の特徴
- 朝起きて最初の一歩で、かかとの裏側が強く痛む
- しばらく歩くと痛みが軽くなることがある
- 長時間の立ち仕事や歩行の後に再び痛くなる
- かかとの内側や土踏まず周辺を押すと痛む
- 階段を上るときや、つま先立ちで痛みが強くなる
原因には、長時間の立ち仕事、ランニングやジャンプなどによる使いすぎ、体重増加、足に合わない靴、ふくらはぎやアキレス腱の硬さなどが関係します。扁平足や足のアーチが高い方でも起こることがあります。
診断では痛みの場所や歩き始めの症状、押したときの痛みなどを確認します。必要に応じてX線・超音波・MRI検査を行い、踵骨の疲労骨折、神経の圧迫、足底腱膜の断裂などと区別します。
X線検査で、かかとの骨に「踵骨棘(しょうこつきょく)」と呼ばれる骨の突起が見つかることがあります。ただし、骨棘があっても痛みがない場合があり、必ずしも痛みの直接的な原因ではありません。
足底筋膜炎の治療
治療の基本は、足底腱膜にかかる負担を減らしながら、ストレッチや運動療法によって足の柔軟性と機能を改善することです。痛みが強い場合には消炎鎮痛薬も使用します。
| 治療方法 | 内容 |
|---|---|
| ストレッチ・運動療法 | 足底腱膜やアキレス腱、ふくらはぎの柔軟性を改善し、足への負担を軽減します。 |
| インソール・装具 | 足のアーチを支え、かかとへの衝撃を和らげます。ストレッチなどと組み合わせて使用します。 |
| 消炎鎮痛薬 | ロキソプロフェンなどのNSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)を内服薬や外用薬として使用します。 |
| 注射・体外衝撃波療法 | 痛みが強い場合や保存療法で十分に改善しない場合に、専門的な治療を検討します。 |
| 手術 | 長期間治療しても改善しない重症例では、足底腱膜の一部を切り離す手術などが検討されます。 |
足底腱膜やふくらはぎを伸ばし、足への負担を軽減します。
足のアーチを支え、かかとの衝撃を和らげます。
内服薬や湿布などを使い、痛みを和らげます。
痛みが強い場合や長引く場合に検討します。
保存療法で改善しない重症例に限り検討されます。
足底筋膜炎に使われる主な薬
| 薬・成分 | 特徴・位置づけ |
|---|---|
| ロキソプロフェン ロキソニンなど |
痛みや炎症に関わる物質の生成を抑えるNSAIDs。内服薬や貼付剤などがあり、痛みを和らげる目的で使用されます。 |
| その他のNSAIDs ジクロフェナクなど |
内服薬や外用薬として使用されます。症状や胃腸・腎機能などの状態を考慮して選択します。 |
| ステロイド局所注射 | 強い痛みを抑える目的で行われることがあります。足底腱膜の断裂やかかとの脂肪組織の萎縮などに注意が必要です。 |
痛みを和らげるNSAIDs。飲み薬や貼り薬などがあります。
症状に応じて内服薬や外用薬を使用します。
痛みが強い場合に検討されますが、腱膜断裂などのリスクがあります。
消炎鎮痛薬は痛みを軽減するために役立ちますが、足底腱膜にかかる負担を減らすことも重要です。薬物療法とストレッチ、靴やインソールの調整を組み合わせて治療します。
足底腱膜のストレッチと日常生活での対策
足底腱膜のストレッチでは、足の指を手でゆっくり反らし、足裏が伸びるようにします。また、ふくらはぎやアキレス腱のストレッチも効果的です。
日常生活で取り入れたい対策
- 朝の歩き始めの前に、足裏を軽くストレッチする
- 足に合った靴や、かかとを保護するインソールを使用する
- 痛みが強い間はランニングや長時間の歩行を控える
- 運動後のアイシングなどで痛みを和らげる
- 痛みが落ち着いたら足やふくらはぎの筋力を整える
朝の一歩目の痛みが長く続く方には、睡眠中に足首や足底腱膜を伸ばす夜間装具が検討される場合もあります。
足底筋膜炎と漢方薬
足底筋膜炎では、痛みの強さや続いている期間、足の冷え、筋肉のこわばり、腫れなどを考慮して漢方薬を検討することがあります。
日本の医療機関からも、難治性の足底腱膜炎に対して漢方薬を使用した臨床報告があります。2021年に発表された報告では、一般的な治療で改善しにくい症例に薏苡仁湯や通導散などが使用されています。
薏苡仁湯(よくいにんとう)
薏苡仁湯は、関節や筋肉の腫れ・痛み、筋肉のこわばりなどに用いられる漢方薬です。
薏苡仁(ヨクイニン)や麻黄(マオウ)、当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)などを組み合わせた処方で、筋肉の緊張を和らげ、関節痛や筋肉痛の改善を目的に使用されます。
難治性の足底腱膜炎に対する国内の臨床報告では、薏苡仁湯を単独で使用した症例や、通導散と組み合わせて使用した症例で改善が報告されています。
足底腱膜炎の痛みが長引き、周辺の筋肉にも痛みやこわばりがある場合などに、症状や体質に応じて検討される漢方薬です。
通導散(つうどうさん)
通導散は、血の巡りが滞っているような状態に用いられる漢方薬で、打撲や腰痛、便秘などの症状にも使用されます。
特に便秘傾向があり、下腹部に圧痛がみられるような体質の方に選ばれる処方です。足底腱膜炎では、慢性化して改善しにくい症例に薏苡仁湯と併用した報告があります。
足底筋膜炎そのものを対象とした承認効能を持つ薬ではありませんが、痛みの経過や体質を考慮して漢方治療を検討する際の選択肢のひとつです。
足底筋膜炎に対する漢方治療の研究
京都府立医科大学などの研究グループによる臨床報告では、難治性の足底腱膜炎で漢方治療を受けた15例のうち、4例が有効例と評価されています。
有効例では薏苡仁湯の単独使用、薏苡仁湯と通導散の併用などが報告されています。症例数の限られた報告ではありますが、長引く足底腱膜炎に対する漢方治療を検討する参考となります。
カミツレ薬局で相談・購入できる医薬品・漢方薬
カミツレ薬局では、関節痛や筋肉痛などに用いられる漢方薬や消炎鎮痛薬を取り扱っています。足裏の痛みの経過や現在の治療内容に合わせて、医薬品についてご相談いただけます。
よく苡仁湯エキス細粒G「コタロー」
よくいにんとう
関節や筋肉の腫れ・痛み、こわばりに。筋肉痛や神経痛にも用いられる漢方薬で、難治性の足底腱膜炎に対する国内の臨床報告もある処方です。
商品情報・購入ページを見るフィスターLXテープ(大判・7枚)
ロキソプロフェンナトリウム配合
筋肉痛や関節痛などに用いられる貼り薬です。痛みを和らげるロキソプロフェンを配合し、1日1回の貼付で使用できる消炎鎮痛薬です。
商品情報・購入ページを見るその他の関連医薬品
通導散エキス細粒G「コタロー」 ― 便秘傾向や体質などに応じて選ばれる漢方薬。難治性足底腱膜炎への併用報告があります。
ロキソニンS(12錠) ― 筋肉痛・関節痛などの鎮痛に用いられるロキソプロフェン配合の第1類医薬品です。
ロキソプロフェン錠「クニヒロ」(12錠) ― 筋肉痛・関節痛などの痛みに用いられる第1類の解熱鎮痛薬です。
これらの一般用医薬品の承認効能は、製品ごとに筋肉痛・関節痛などと定められており、「足底筋膜炎」という疾患名が直接記載されているものではありません。足裏の痛みの原因や症状に合わせて使用を検討します。薏苡仁湯は麻黄・甘草を含むため、高血圧や心臓病、腎臓病などのある方では服用前の確認が必要です。
足底筋膜炎の薬は通販・処方箋なしで購入できる?
ロキソニンSなどの市販の鎮痛薬や、薏苡仁湯などの一般用漢方薬には、処方箋なしで通販・オンライン購入できる製品があります。
第1類医薬品や要相談医薬品は、薬剤師による確認など、製品に応じた販売手続きが必要です。
一方、医療用医薬品については販売条件が異なります。カミツレ薬局では、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を条件に応じて店舗で対面販売する場合もありますが、医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。
かかとの痛みが続く場合や、急に強い痛みが生じて歩けなくなった場合、腫れや熱感、しびれを伴う場合には、疲労骨折や腱膜断裂など別の原因も考えられるため、整形外科での確認が大切です。
足裏・かかとの痛みに使われる医薬品のご相談
「足底筋膜炎に使われる漢方薬を知りたい」「薏苡仁湯と通導散について相談したい」「病院で治療中だが痛みが残っている」「痛み止めと漢方薬を併用できる?」など、お薬についてお気軽にご相談ください。
参考文献・情報源
執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。



