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疾患・症状と医薬品

顔面神経麻痺の症状と治療薬・漢方薬

顔面神経麻痺・ベル麻痺・ハント症候群の治療薬と漢方薬

顔面神経麻痺は、顔の片側が突然動かしにくくなり、目が閉じにくい、口角が下がる、笑顔が左右非対称になるなどの症状が現れる病気です。

代表的な原因にはベル麻痺やラムゼイ・ハント症候群があり、治療にはステロイドや抗ウイルス薬などが用いられます。また、回復期や麻痺が長引く場合には、桂枝加朮附湯・柴苓湯・桂枝茯苓丸などの漢方薬が併用された臨床報告もあります。

顔面神経麻痺とは

顔面神経は、目や口の周囲をはじめ、顔の表情をつくる筋肉を動かす神経です。顔面神経が障害されると、顔の片側の筋肉を思うように動かせなくなります。

主な症状

  • 片側の眉が上がりにくい、額にしわを寄せにくい
  • 片目が閉じにくい、まばたきが十分にできない
  • 口角が下がる、笑顔が左右非対称になる
  • 食べ物や飲み物が口からこぼれやすい
  • 耳の後ろの痛み、味覚の変化、音が響く感じを伴うことがある

ベル麻痺とラムゼイ・ハント症候群の違い

種類 特徴
ベル麻痺(特発性顔面神経麻痺) 原因が明確に特定できない急性の末梢性顔面神経麻痺です。単純ヘルペスウイルスの再活性化などが関与すると考えられています。
ラムゼイ・ハント症候群(ハント症候群) 水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によって起こります。耳の痛みや水疱、難聴、めまいなどを伴うことがあり、ベル麻痺より回復に時間がかかる場合があります。
その他の顔面神経麻痺 中耳炎、外傷、腫瘍などが原因となる場合があります。脳梗塞などによる中枢性の顔面麻痺との区別も重要です。
ベル麻痺

原因を明確に特定できない急性の末梢性顔面神経麻痺。ウイルスの再活性化などが関係すると考えられています。

ラムゼイ・ハント症候群

帯状疱疹ウイルスが関係します。耳の痛み、水疱、難聴、めまいを伴うことがあります。

その他の原因

中耳炎、外傷、腫瘍などのほか、脳卒中による顔面麻痺との区別も必要です。

診断では、顔の動き、耳の状態、麻痺の程度などを確認します。必要に応じて聴力検査、神経の電気生理学的検査、MRIなどを行います。

顔の麻痺が突然現れ、手足の脱力、ろれつが回らない、激しい頭痛などを伴う場合は、脳卒中の可能性があるため救急対応が必要です。また、新しく生じた顔面神経麻痺では早期治療が回復に関わるため、速やかな診断が大切です。

顔面神経麻痺の治療

ベル麻痺やハント症候群では、神経の炎症や腫れを抑える薬物治療が中心です。特に発症から72時間以内の早期治療が重要とされています。

治療方法 内容
ステロイド治療 顔面神経の炎症や腫れを抑えます。ベル麻痺では急性期治療の中心となります。
抗ウイルス薬 ウイルスの増殖を抑えます。ハント症候群ではステロイドとの併用が重要で、ベル麻痺でも併用が検討されます。
リハビリテーション 表情筋のストレッチや適切な運動を行い、顔のひきつれや不自然な連動を防ぎます。
専門的な処置・手術 重症例ではステロイド鼓室内投与や顔面神経減荷術などが検討されます。後遺症にはボツリヌス毒素注射や形成外科的治療もあります。
ステロイド治療

神経の炎症や腫れを抑える急性期の中心的な治療です。

抗ウイルス薬

ウイルスの増殖を抑え、ハント症候群などに用います。

リハビリテーション

顔のひきつれや病的共同運動などの後遺症に対応します。

専門的な治療

重症度や後遺症に応じて手術や注射などを検討します。

顔面神経麻痺に使われる主な医薬品

医薬品 特徴・位置づけ
プレドニゾロン
プレドニンなど
神経の炎症・浮腫を抑えるステロイド薬。ベル麻痺の急性期治療で中心的な役割を持ちます。
バラシクロビル
バルトレックスなど
抗ウイルス薬。ハント症候群の治療に用いられ、ベル麻痺でもステロイドへの併用が検討されます。
メコバラミン
メチコバールなど
ビタミンB12製剤。末梢神経障害に使用され、顔面神経麻痺の治療で補助的に用いられることがあります。
人工涙液・眼軟膏など 目を十分に閉じられない場合に角膜の乾燥や傷を防ぐ目的で使用します。
プレドニゾロン(プレドニンなど)

神経の炎症・浮腫を抑える急性期の中心的な治療薬です。

バラシクロビル(バルトレックスなど)

ウイルスの増殖を抑え、ハント症候群などに使用します。

メコバラミン(メチコバールなど)

末梢神経障害に用いられ、補助的に使用されることがあります。

人工涙液・眼軟膏など

閉眼困難による目の乾燥や角膜障害を防ぎます。

ステロイドや抗ウイルス薬の使用方法は原因や麻痺の重症度により異なります。目が閉じられない場合は、薬物治療とともに角膜の保護も重要です。

顔面神経麻痺の回復期・後遺症

顔面神経麻痺は数週間から数か月かけて回復することがありますが、麻痺が長引いたり、顔のひきつれなどが残ったりする場合もあります。

回復期・後遺症でみられる悩み

  • 笑顔をつくっても顔の左右差が残る
  • 口を動かすと、反対にまぶたが閉じてしまう
  • 頬や口元がひきつる、こわばる
  • 顔の筋肉を十分に動かせない
  • 外見の変化が気になり、人前で話すことに抵抗を感じる

口を動かしたときに目まで閉じるなど、意図しない筋肉が一緒に動く状態を病的共同運動といいます。また、筋肉が縮んで顔がひきつれる顔面拘縮が起こることもあります。

回復期には専門的なリハビリテーションを行います。強く顔を動かす訓練や過度な電気刺激は、かえって後遺症を悪化させる場合があるため、ゆっくりとした適切な運動が大切です。

こうした回復期や麻痺が長引く方に対し、漢方薬を組み合わせた国内の臨床報告もあります。

顔面神経麻痺と漢方薬

顔面神経麻痺に対する漢方治療では、発症からの経過、麻痺の程度、冷え、こわばり、むくみ、疲労感などを考慮して処方を選びます。

国内では、ステロイドなどの治療への併用や、回復が遅れた症例に対して、桂枝加朮附湯・柴苓湯・桂枝茯苓丸などを使用した報告があります。

桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)

桂枝加朮附湯は、冷えやこわばりを伴う神経痛・関節痛などに用いられる漢方薬です。桂皮・芍薬・蒼朮・加工附子などを組み合わせ、身体を温めながら痛みやこわばりを和らげる処方です。

ベル麻痺に対してステロイド・抗ウイルス薬などと併用した症例報告があります。また、水痘・帯状疱疹ウイルスによる顔面神経麻痺で、通常の治療後に桂枝加朮附湯を追加し、麻痺の改善がみられた報告もあります。

顔面神経麻痺への臨床応用が報告されている処方の一つであり、冷えや身体のこわばりなどの体質も踏まえて検討されます。

柴苓湯(さいれいとう)

柴苓湯は、小柴胡湯と五苓散を組み合わせた漢方薬で、むくみや身体の水分バランスの乱れなどに用いられます。

顔面神経麻痺では、神経周囲の炎症や浮腫が症状の発生に関係することから、柴苓湯の抗炎症作用や水分調整作用に着目した臨床報告があります。

国内では、通常の治療開始後も麻痺の改善が乏しかったベル麻痺の患者7例に柴苓湯を使用し、回復経過を検討した報告があります。ステロイド治療との併用など、治療経過に合わせて検討された処方です。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸は、血の巡りに関係する症状や、のぼせ・冷え・肩こりなどに用いられる漢方薬です。

顔面神経麻痺では、治療後も回復が進みにくいベル麻痺やハント症候群の患者に、リハビリテーションと併用して改善がみられた症例報告があります。

顔のひきつれや病的共同運動などの後遺症に対する応用も検討されており、回復期の状態や体質に応じた選択肢の一つです。

続命湯(ぞくめいとう)

続命湯は、しびれや筋力低下、神経痛などに用いられる漢方薬です。古くから麻痺や身体の動かしにくさに対して応用されてきた処方の一つです。

顔面神経麻痺に対しても伝統的な使用経験があり、麻痺の経過や、しびれ・筋力低下などの症状を確認しながら検討されます。

ただし、顔面神経そのものの回復を促す作用については、現代の臨床研究で十分に確認されているわけではありません。原因疾患の治療やリハビリテーションと区別して位置づけることが大切です。

回復期の体調に用いられる漢方薬

補中益気湯

疲労倦怠感、食欲不振、病後の体力低下などに。治療が長引き、体力の回復が気になる方に。

葛根湯

首筋や肩のこわばり、肩こりなどに。顔面神経麻痺に伴う首肩の不調がある場合、症状に応じて検討されます。

桂枝加朮附湯・柴苓湯・桂枝茯苓丸などの顔面神経麻痺への報告は、主に少数例の臨床研究や症例報告です。標準治療に代わるものではなく、麻痺の経過や症状・体質を踏まえた選択肢として紹介しています。

カミツレ薬局で相談・購入できる漢方薬

カミツレ薬局では、顔面神経麻痺への臨床応用が報告されている漢方処方や、回復期の症状・体調に用いられる漢方薬を取り扱っています。

発症からの経過、現在の治療内容、残っている症状などを確認しながら、適した処方についてご相談いただけます。

第2類医薬品・オンライン購入可能

桂枝加朮附湯(サンワロンK顆粒)

けいしかじゅつぶとう

冷えやこわばりを伴う神経痛などに。ベル麻痺や帯状疱疹ウイルスによる顔面神経麻痺への併用報告がある漢方処方です。

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第2類医薬品・オンライン購入可能

柴苓湯エキス細粒G「コタロー」

さいれいとう

むくみなどに用いられる漢方薬。顔面神経麻痺の回復過程に着目し、ステロイド治療への併用などを検討した国内報告があります。

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第2類医薬品・オンライン購入可能

桂枝茯苓丸料エキス細粒G「コタロー」

けいしぶくりょうがんりょう

のぼせ・冷え・肩こりなどに。回復が遅れたベル麻痺やハント症候群に、リハビリと併用した臨床報告がある処方です。

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第2類医薬品・オンライン購入可能

続命湯エキス細粒G「コタロー」

ぞくめいとう

しびれ・筋力低下・神経痛などに。古くから麻痺や身体の動かしにくさに対して応用されてきた漢方処方です。

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その他の関連製品

補中益気湯エキス細粒G「コタロー」 ― 疲労倦怠感・病後の体力低下・食欲不振などに。

顔面神経麻痺の薬は通販・処方箋なしで購入できる?

プレドニゾロンやバラシクロビルなどの医療用医薬品は、医療機関での診断・処方に基づく治療が基本です。特に顔面神経麻痺の発症直後は、早期の治療開始が重要になります。

一方、桂枝加朮附湯・柴苓湯・桂枝茯苓丸・続命湯などには、処方箋なしで通販・オンライン購入できる一般用漢方製剤があります。

カミツレ薬局では、症状や治療経過を確認しながら漢方薬をご案内しています。また、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を店舗で対面販売する場合もありますが、医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。

顔面神経麻痺の治療中の方や、治療後も症状が残っている方も、現在使用している医薬品との併用を含めてご相談いただけます。

顔面神経麻痺・後遺症と漢方薬のご相談

「ベル麻痺で治療中だけれど漢方薬を併用したい」「顔のひきつれや左右差が残っている」「桂枝加朮附湯や柴苓湯について知りたい」など、お薬についてお気軽にご相談ください。

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参考文献・情報源

執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。