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疾患・症状と医薬品
鼻茸(鼻ポリープ)の症状と治療薬・漢方薬

鼻茸(はなたけ)は、鼻ポリープとも呼ばれ、鼻や副鼻腔の粘膜にできる柔らかい隆起性の病変です。鼻づまりや嗅覚障害、鼻水が喉に流れる後鼻漏などの原因となり、慢性副鼻腔炎に伴って発生することが多くあります。
治療にはステロイド点鼻薬や内視鏡下副鼻腔手術などが用いられ、難治性の場合には生物学的製剤も選択肢となります。また、鼻茸を伴う副鼻腔炎に対しては、辛夷清肺湯による鼻茸の縮小を報告した臨床研究があり、鼻づまりや嗅覚障害に対しては麗沢通気湯加辛夷などの漢方薬も症状に応じて検討できます。
鼻茸(鼻ポリープ)とは
鼻茸は、鼻の中や副鼻腔の粘膜に慢性的な炎症が起こることで、粘膜がむくみ、ポリープ状に膨らんだものです。
鼻茸と鼻ポリープは同じものを指し、通常は良性の炎症性病変です。半透明で柔らかく、涙のしずくや皮をむいたブドウのような形をしています。
小さいうちは症状がないこともありますが、大きくなると鼻の通り道を塞ぎ、鼻づまりや嗅覚障害を引き起こします。
鼻茸でよくみられる症状
- 鼻づまりが長く続き、鼻で呼吸しにくい
- においが分かりにくい、においを感じなくなる
- 鼻水が喉に流れる後鼻漏がある
- 鼻の奥が重い、圧迫されるような感じがする
- 副鼻腔炎を繰り返し、鼻の症状が改善しにくい
- 治療や手術で改善しても鼻茸が再発することがある
鼻茸ができる原因
鼻茸は、慢性副鼻腔炎やアレルギーなどに伴う、鼻・副鼻腔粘膜の持続的な炎症と関連しています。
特に近年重要とされているのが、好酸球性副鼻腔炎です。好酸球という白血球が関係する炎症によって鼻茸が形成され、強い鼻づまりや嗅覚障害を引き起こすことがあります。
好酸球性副鼻腔炎では、気管支喘息やアスピリン・一部の解熱鎮痛薬への過敏症を伴うことがあり、手術後にも鼻茸が再発しやすい特徴があります。
鼻茸の診断
耳鼻咽喉科では、鼻内視鏡で鼻茸の有無や大きさを確認し、必要に応じてCT検査で副鼻腔の炎症や病変の広がりを調べます。
嗅覚障害がある場合には嗅覚検査を行い、好酸球性副鼻腔炎が疑われる場合には血液検査や鼻茸の病理検査などを組み合わせます。
通常の鼻茸は良性ですが、片側だけにできた腫瘤や、鼻血を繰り返す病変などでは、腫瘍との区別が必要になる場合があります。
鼻茸(鼻ポリープ)の治療方法
鼻茸の治療では、鼻や副鼻腔の炎症を抑え、鼻づまりや嗅覚障害を改善することを目指します。鼻茸の大きさや原因、症状の程度によって薬物療法・手術・生物学的製剤などを組み合わせます。
| 治療方法 | 内容 |
|---|---|
| ステロイド点鼻薬 | 鼻・副鼻腔の炎症を抑え、鼻茸の縮小や鼻づまりなどの改善を目指します。 |
| ステロイド内服薬 | 炎症が強い場合などに短期間使用されることがあります。鼻茸の縮小が期待できますが、長期使用には副作用への配慮が必要です。 |
| 内視鏡下副鼻腔手術(ESS) | 鼻茸を取り除き、副鼻腔の通り道を改善する手術です。薬物療法で改善しない場合などに検討します。 |
| 生物学的製剤 | 既存治療で十分に改善しない鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対し、炎症に関わる物質の働きを抑える注射薬を使用します。 |
| 鼻洗浄・関連疾患の治療 | 生理食塩水による鼻洗浄や、合併する鼻炎・副鼻腔炎などの管理を行います。 |
鼻の炎症を抑え、鼻茸の縮小や鼻づまりの改善を目指します。
炎症が強い場合などに短期間使用されることがあります。
鼻茸を取り除き、副鼻腔の通り道を改善します。
既存治療で改善しない難治性の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に用いられます。
生理食塩水による鼻洗浄や、鼻炎・副鼻腔炎などの管理を行います。
鼻茸に使われる主な医薬品
| 薬・成分 | 特徴・位置づけ |
|---|---|
| ステロイド点鼻薬 モメタゾンなど |
鼻粘膜の炎症を抑える代表的な治療薬です。鼻茸の大きさや鼻づまりなどに対する効果が期待されます。 |
| 経口ステロイド薬 プレドニゾロンなど |
炎症が強い場合などに短期間使用され、鼻茸の縮小や嗅覚障害の改善を目指します。 |
| デュピルマブ デュピクセント |
IL-4・IL-13の働きを抑える生物学的製剤。既存治療で効果不十分な鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に使用されます。 |
| メポリズマブ ヌーカラ |
IL-5に作用する生物学的製剤。好酸球が関わる炎症を抑え、難治性の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に用いられます。 |
| テゼペルマブ テゼスパイア |
TSLPという炎症に関わる物質を抑える生物学的製剤。2026年2月に日本で鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎への適応が追加されました。 |
| デペモキマブ エキシデンサー |
IL-5に作用する長時間作用型生物学的製剤。鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対しても国内承認され、26週間ごとの投与が特徴です。 |
鼻の炎症を抑え、鼻茸の縮小や鼻づまりの改善を目指します。
炎症が強い場合などに短期間使用されます。
IL-4・IL-13の働きを抑える生物学的製剤です。
IL-5に作用し、好酸球が関わる炎症を抑えます。
TSLPに作用する生物学的製剤です。2026年2月に適応が追加されました。
IL-5に作用する長時間作用型の注射薬です。
生物学的製剤は、既存の薬物療法や手術などでは十分な効果が得られない患者さんに対して、専門医が適応を判断します。
また、ステロイド点鼻薬は慢性副鼻腔炎や鼻茸の治療に用いられますが、日本国内では製品ごとに承認効能が異なります。市販の鼻炎用点鼻薬が、そのまま鼻茸の縮小を目的に使用できるとは限りません。
好酸球性副鼻腔炎などでは、手術後にも鼻茸が再発することがあります。鼻茸の大きさや嗅覚障害の程度に応じて、点鼻薬・鼻洗浄・追加治療などを組み合わせて管理します。
鼻茸(鼻ポリープ)と漢方薬
漢方薬では、鼻づまりだけでなく、鼻汁の性状、熱感、鼻の奥の重さ、嗅覚障害、鼻炎・副鼻腔炎の経過などを考慮して処方を選びます。
特に辛夷清肺湯には、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎を対象として、鼻茸の縮小を報告した臨床研究があります。また、鼻づまりや嗅覚障害が続く方には麗沢通気湯加辛夷なども検討されます。
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
辛夷清肺湯は、鼻づまりが強く、濃い鼻汁や鼻の熱感を伴う慢性鼻炎・副鼻腔炎などに用いられる漢方薬です。
辛夷・黄芩・山梔子・石膏・麦門冬などの生薬を組み合わせ、鼻の炎症や熱感、鼻の通りの悪さなどに対応する処方です。
鼻茸を伴う副鼻腔炎では、鼻づまりや粘り気のある鼻汁、鼻の奥の炎症などが続くことがあります。こうした症状を伴う方に、特に検討したい漢方薬です。
鼻茸の縮小を報告した辛夷清肺湯の臨床研究
1994年に『耳鼻咽喉科臨床』に掲載された研究では、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者45例に対し、医療用の辛夷清肺湯(ツムラ104番)を12週間投与して、その効果が検討されました。
評価項目には、自覚症状、鼻茸以外の鼻内所見、鼻茸の大きさ、X線所見が含まれています。
研究では、鼻の自覚症状の改善に加え、鼻茸の大きさが縮小したことが報告されています。また、患者の体質によって治療反応に違いがみられることも示されました。
この研究は、鼻茸そのものに対する漢方薬の臨床応用を検討した興味深い報告です。一方、比較対照群を設けた試験ではなく、現在の一般用製剤について同じ結果が保証されるものではありません。
麗沢通気湯加辛夷(れいたくつうきとうかしんい)
麗沢通気湯加辛夷は、鼻づまりが続き、においが分かりにくい方に用いられる漢方薬です。
辛夷・白芷・黄耆・葛根など、鼻の通りや身体の働きに関わる生薬を組み合わせ、慢性鼻炎・副鼻腔炎、嗅覚障害・嗅覚異常などに使用されます。
鼻茸がある方では、鼻の通り道が塞がれることによって、においを感じにくくなる場合があります。また、鼻や副鼻腔の慢性的な炎症も嗅覚低下に関係します。
こうした鼻づまりと嗅覚障害が中心となる方では、麗沢通気湯加辛夷が症状に応じた選択肢となります。
辛夷清肺湯が濃い鼻汁や熱感を伴う鼻づまりに特徴があるのに対し、麗沢通気湯加辛夷は嗅覚障害・嗅覚異常も正式な効能・効果に含むことが特徴です。
葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
葛根湯加川芎辛夷は、比較的体力があり、慢性的な鼻づまりや副鼻腔炎が続く方に用いられる漢方薬です。
葛根湯に川芎と辛夷を加えた処方で、鼻の通りが悪い状態や、頭重感、首・肩のこわばりなどを伴う鼻症状に検討されます。
鼻茸による鼻づまりそのものを治す薬ではありませんが、慢性鼻炎や副鼻腔炎に伴う鼻閉感が気になる場合に、症状や体質から選択されます。
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
荊芥連翹湯は、慢性鼻炎や副鼻腔炎を繰り返し、鼻や喉の粘膜に炎症が起こりやすい方に用いられる漢方薬です。
荊芥・連翹・黄芩・黄連などを組み合わせ、慢性的な鼻炎・副鼻腔炎に加えて、扁桃炎やにきびなどを繰り返す方にも使用されます。
鼻茸を伴う方でも、慢性的な鼻炎や副鼻腔炎の症状が続いている場合に、関連する鼻症状や体質に応じて検討できます。
漢方薬の効能・効果は製剤ごとに異なります。辛夷清肺湯・麗沢通気湯加辛夷などは、承認された鼻づまり・慢性鼻炎・副鼻腔炎・嗅覚障害などの症状に基づいて選択します。鼻茸の縮小を目的とする場合は、鼻内視鏡などで病変の経過を確認することが重要です。
カミツレ薬局で相談・購入できる漢方薬
カミツレ薬局では、鼻づまり・慢性鼻炎・副鼻腔炎・嗅覚障害などに用いられる漢方薬を取り扱っています。
鼻茸がある方についても、鼻汁の状態、嗅覚障害の有無、これまでの治療内容などを確認し、症状に合った漢方薬についてご相談いただけます。
辛夷清肺湯エキス細粒G「コタロー」
しんいせいはいとう
濃い鼻汁や熱感を伴う鼻づまり・慢性副鼻腔炎に。鼻茸を伴う副鼻腔炎で、鼻茸の縮小を報告した医療用辛夷清肺湯の臨床研究もあり、鼻茸に関連する鼻症状で特に注目したい処方です。
商品情報・購入ページを見る麗沢通気湯加辛夷エキス細粒G「コタロー」
れいたくつうきとうかしんい
鼻づまり・嗅覚障害・嗅覚異常に。鼻の通りが悪く、においが分かりにくい方や、慢性鼻炎・副鼻腔炎が続く方に用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見るその他の関連製品
葛根湯加川きゅう辛夷エキス細粒「分包」サンワ ― 鼻づまり・慢性鼻炎・蓄膿症(副鼻腔炎)などに。
荊芥連翹湯エキス細粒G「コタロー」 ― 慢性鼻炎・副鼻腔炎を繰り返す方や、鼻の粘膜の炎症が続く方に。
鼻茸は薬で小さくなる? 再発した場合は?
鼻茸は、炎症を抑える薬物療法によって小さくなる場合があります。ステロイド点鼻薬や短期間の内服ステロイド薬などが使用され、鼻づまりや嗅覚障害の改善が期待されます。
また、辛夷清肺湯については、鼻茸の大きさの縮小を報告した臨床研究があります。漢方薬を検討する場合には、鼻茸の状態だけでなく、鼻汁の性状や熱感、嗅覚障害などを手掛かりに処方を選ぶことが重要です。
ただし、鼻茸の大きさや原因によっては、薬物療法だけでは十分に改善しない場合もあります。特に好酸球性副鼻腔炎では手術後も鼻茸が再発しやすく、点鼻薬・鼻洗浄・生物学的製剤などを組み合わせて治療することがあります。
鼻茸を繰り返す方や、治療後も鼻づまり・嗅覚障害が残る方では、現在の治療を続けながら、関連する鼻症状に対する医薬品についても相談できます。
鼻茸の薬は通販・処方箋なしで購入できる?
鼻茸の治療に用いられる医薬品には、医療機関での処方によって使用する薬と、処方箋なしで購入できる一般用医薬品があります。
鼻茸の縮小を目的としたステロイド治療や、難治性の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対する生物学的製剤は、耳鼻咽喉科などで病状を確認しながら行う治療です。
一方、辛夷清肺湯・麗沢通気湯加辛夷・葛根湯加川芎辛夷・荊芥連翹湯などの一般用漢方薬には、鼻づまり・慢性鼻炎・副鼻腔炎・嗅覚障害などの承認効能に応じて、処方箋なしで通販・オンライン購入できる製品があります。
カミツレ薬局では、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を条件に応じて店舗で対面販売する場合もありますが、医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。
鼻の片側だけに腫瘤がある、鼻血を繰り返す、顔面の強い痛みや眼の症状を伴う場合には、鼻茸以外の病気との区別が必要です。また、鼻茸が確認されている場合には、症状だけでなく鼻茸の大きさや再発の有無を耳鼻咽喉科で確認することが大切です。
鼻茸・鼻づまり・嗅覚障害に用いる漢方薬のご相談
「鼻茸があると言われた」「辛夷清肺湯の研究について知りたい」「においが分かりにくいが、麗沢通気湯加辛夷は使える?」「手術後に鼻の症状が残っている」「病院の点鼻薬と漢方薬を併用できる?」など、お薬についてお気軽にご相談ください。
参考文献・情報源
執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。



