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胃腸炎(急性・感染性胃腸炎)の症状と治療薬・漢方薬

胃腸炎は、胃や腸に炎症が起こり、下痢・吐き気・嘔吐・腹痛などが現れる病気です。突然の下痢や嘔吐で始まる急性胃腸炎では、ノロウイルスなどのウイルスや、細菌による感染が主な原因となります。
治療では脱水を防ぐための水分・電解質補給が基本となり、症状や原因に応じて整腸剤・制吐薬・抗菌薬などが使用されます。また、急性胃腸炎に伴う水様性下痢、吐き気、腹痛などに対して、五苓散・柴苓湯・葛根黄連黄芩湯・半夏瀉心湯などの漢方薬も症状や体質に応じて検討できます。
胃腸炎とは
胃腸炎は、胃や小腸・大腸の粘膜に炎症が起こる状態です。特に急性胃腸炎では、感染によって突然症状が現れることが多く、感染性胃腸炎とも呼ばれます。
感染性胃腸炎にはウイルス性・細菌性・寄生虫性などがあり、原因によって症状や治療方法が異なります。日常的に「お腹の風邪」「胃腸風邪」と呼ばれることもあります。
胃腸炎の主な症状
- 突然の下痢・水様便
- 吐き気・嘔吐
- お腹の痛みや差し込むような腹痛
- お腹がゴロゴロ鳴る、腹部の不快感
- 発熱、寒気、全身のだるさ
- 食欲不振、口の渇き、尿量の減少
症状の中心が下痢の場合もあれば、嘔吐が目立ち、下痢がほとんど現れない場合もあります。嘔吐や下痢によって水分と電解質が失われると、脱水を起こすことがあります。
急性胃腸炎と慢性下痢の違い
急性胃腸炎は、比較的短期間に下痢や嘔吐などが現れる病気です。一方、4週間以上にわたって下痢が続いたり、繰り返したりする場合には、慢性下痢として原因を調べます。
慢性下痢では過敏性腸症候群(IBS)、薬剤性下痢、炎症性腸疾患、消化吸収の異常などが関係する場合もあり、急性胃腸炎とは治療の考え方が異なります。
感染性胃腸炎の主な原因
感染性胃腸炎の原因は、主にウイルスと細菌です。原因となる病原体によって、嘔吐が目立つ場合や、下痢・腹痛・発熱が強く現れる場合などがあります。
| 主な原因 | 症状・特徴 |
|---|---|
| ノロウイルス | 突然の嘔吐・下痢・腹痛が特徴です。冬季に流行しやすく、人から人へ感染が広がることもあります。 |
| ロタウイルス | 乳幼児に多く、嘔吐や水様性下痢、発熱などを起こします。乳児には定期接種のワクチンがあります。 |
| カンピロバクター | 加熱不十分な鶏肉などが感染源となり、下痢・腹痛・発熱などが現れます。血便を伴う場合もあります。 |
| サルモネラ・病原性大腸菌など | 汚染された食品などを介して感染し、下痢・腹痛・発熱などを起こします。菌の種類によって重症度が異なります。 |
突然の嘔吐・下痢・腹痛が特徴。冬季に流行しやすく、人から人にも感染します。
乳幼児に多く、嘔吐・水様性下痢・発熱などを起こします。
加熱不十分な鶏肉などから感染し、下痢・腹痛・発熱などを起こします。
食品などを介して感染し、下痢・腹痛・発熱などを引き起こします。
診断では症状の出方や食事歴、家族など周囲の感染状況を確認します。通常は症状から判断できる場合も多いですが、血便や高熱、重症の下痢などがある場合は便検査や血液検査を行うことがあります。
また、感染性胃腸炎以外にも、薬の影響、虫垂炎、腸閉塞などによって腹痛や嘔吐が起こる場合があるため、症状の経過に応じた判断が重要です。
胃腸炎の治療方法
急性胃腸炎では、失われた水分と電解質を補給し、脱水を防ぐことが治療の基本です。ウイルス性胃腸炎の多くは自然に改善しますが、症状が強い場合や特定の細菌感染症では、原因や重症度に応じた治療が必要になります。
| 治療方法 | 内容 |
|---|---|
| 経口補水療法 | 水分・塩分・糖分を適切な割合で含む経口補水液などを利用し、下痢や嘔吐によって失われた水分と電解質を補います。 |
| 整腸剤 | 乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸菌などを含む製剤が、腸内環境を整える目的で使用されることがあります。 |
| 制吐薬・止瀉薬 | 吐き気や下痢が強い場合、患者の状態や原因に応じて検討します。 |
| 抗菌薬 | 一部の細菌性胃腸炎で必要な場合に使用します。ウイルス性胃腸炎には効果がありません。 |
| 点滴による補液 | 脱水が強い場合や、水分を飲めない場合などに行います。 |
水分と電解質を補給し、脱水を予防・改善します。
乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸菌などを用いることがあります。
吐き気や下痢の程度、原因に応じて使用を検討します。
一部の細菌性胃腸炎で必要な場合に使用します。
重い脱水や、飲水が難しい場合などに行います。
胃腸炎に使われる主な医薬品
| 薬・成分 | 特徴・位置づけ |
|---|---|
| 整腸剤 乳酸菌・酪酸菌・ビフィズス菌など |
腸内細菌のバランスに働きかけ、整腸や便通の改善を目的に用いられます。使用される菌種・製剤によって特徴が異なります。 |
| 制吐薬 メトクロプラミドなど |
吐き気や嘔吐が強い場合に医療機関で検討されます。年齢や病状に応じて使用を判断します。 |
| 止瀉薬 ロペラミドなど |
腸の過剰な運動を抑え、下痢を和らげます。血便や発熱を伴う感染性下痢などでは使用を避ける必要があります。 |
| 抗菌薬 アジスロマイシン、セフトリアキソンなど |
原因菌や重症度に応じて使用します。すべての細菌性胃腸炎に必要なものではありません。 |
腸内環境を整える目的で使用される整腸剤です。
吐き気や嘔吐が強い場合に検討される医療用医薬品です。
腸の動きを抑えて下痢を和らげます。感染症の種類や症状によって使用できない場合があります。
一部の細菌性胃腸炎で、原因菌や重症度に応じて使用されます。
水分補給と食事のポイント
嘔吐がある場合も、経口補水液などを少量ずつ、こまめに飲むことが大切です。経口補水液は下痢や嘔吐に伴う脱水時の水分・電解質補給に役立ちますが、病原体を治療する薬ではありません。
食事は無理に制限する必要はなく、吐き気が落ち着いて食べられるようになったら徐々に再開します。脂肪の多い食事やアルコールなど、症状を悪化させるものは一時的に控えるとよいでしょう。
血便、高熱、強い腹痛、意識の変化、水分を飲めない状態、尿量の著しい減少などがある場合は速やかに医療機関へ相談してください。特に乳幼児や高齢者では脱水が進みやすく注意が必要です。また、腸管出血性大腸菌(O157など)が疑われる場合、自己判断で下痢止めや抗菌薬を使用することは避けてください。
胃腸炎と漢方薬
漢方薬は、胃腸炎による下痢・吐き気・嘔吐・腹痛などの症状に応じて選びます。特に、水様性下痢や口の渇き、尿量の減少、熱感、みぞおちのつかえなどが処方選択の手掛かりになります。
急性胃腸炎を正式な効能・効果に含む一般用漢方薬もあり、症状の改善を目的とした選択肢となります。ただし、ウイルスや細菌そのものを排除する治療とは区別して使用します。
五苓散(ごれいさん)
五苓散は、水のような下痢や吐き気・嘔吐があり、口が渇くのに尿量が少ない方に用いられる漢方薬です。
沢瀉・猪苓・茯苓・白朮・桂皮を組み合わせた処方で、身体の水分代謝に関わる症状に使用されます。
急性胃腸炎では、水様性下痢や吐き気・嘔吐などがあり、水分のバランスが乱れている場合に検討されます。小児の胃腸炎に伴う嘔吐などへの臨床応用も知られています。
三和生薬の一般用製剤では、正式な効能・効果に「水様性下痢」「急性胃腸炎」が含まれています。ただし、しぶり腹を伴う急性胃腸炎には使用しない製品です。
柴苓湯(さいれいとう)
柴苓湯は、下痢や吐き気があり、口の渇き・尿量の減少・食欲不振などを伴う方に用いられる漢方薬です。
小柴胡湯と五苓散を組み合わせた処方で、柴胡・黄芩・半夏・沢瀉・茯苓などの生薬を配合しています。
胃腸炎に伴う水様性下痢や吐き気、身体の水分代謝に関わる症状などに使用されます。
小太郎漢方製薬の一般用製剤では、正式な効能・効果に「水瀉性下痢」「急性胃腸炎」が明記されています。口の渇きや尿量の減少に加え、食欲不振などが気になる場合にも検討されます。
葛根黄連黄芩湯(かっこんおうれんおうごんとう)
葛根黄連黄芩湯は、熱感や発熱を伴う下痢、腹痛、急性胃腸炎などに用いられる漢方薬です。
葛根・黄連・黄芩・甘草の4種類の生薬からなり、身体の熱感や胃腸の炎症性の症状に着目した処方です。
かぜなどによる発熱や寒気が残っているときに、下痢や腹痛などの胃腸症状が現れる場合にも使用されます。
小太郎漢方製薬の一般用製剤では、正式な効能・効果に「急性胃腸炎」「下痢」が明記されており、熱感を伴う急な胃腸の不調に検討したい漢方薬です。
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
半夏瀉心湯は、みぞおちのつかえ、吐き気、腹鳴、下痢・軟便などを伴う方に用いられる漢方薬です。
半夏・黄芩・黄連・人参・乾姜などを組み合わせ、胃と腸の両方に現れる不調に対応する処方です。
胃のむかつきや胸やけ、げっぷ、お腹がゴロゴロ鳴るなどの症状を伴う場合にも検討されます。
三和生薬の一般用製剤では、正式な効能・効果に「急・慢性胃腸炎」「下痢・軟便」が含まれています。吐き気だけでなく、みぞおちの不快感や腹鳴などが目立つ方にも用いられます。
その他の胃腸症状に用いられる漢方薬
夏のかぜや暑さによる食欲不振・下痢・全身のだるさなどに。冷たい飲食物で胃腸の調子を崩した方などに用いられます。
胃のもたれや吐き気・嘔吐、口の渇きなどを伴う胃炎・胃腸虚弱に。胃の不快感が中心の場合に検討されます。
漢方薬は下痢や嘔吐などの症状に応じて使用するもので、脱水時の水分・電解質補給を代替するものではありません。複数の漢方薬を併用する場合には、甘草・黄芩などの重複にも注意が必要です。特に柴苓湯や半夏瀉心湯などでは、体質や併用薬、既往歴を確認して使用します。
カミツレ薬局で相談・購入できる漢方薬
カミツレ薬局では、急性胃腸炎や水様性下痢、吐き気、腹痛などに用いられる漢方薬を取り扱っています。
症状の出方や便の状態、吐き気・発熱の有無、口の渇きや尿量などを確認し、適した処方についてご相談いただけます。
五苓散料Aエキス細粒「分包」三和生薬
ごれいさん
急性胃腸炎・水様性下痢・吐き気・嘔吐に。口の渇きや尿量の減少を伴う方などに用いられる、身体の水分代謝に着目した漢方薬です。
商品情報・購入ページを見る葛根黄連黄ごん湯エキス細粒G「コタロー」
かっこんおうれんおうごんとう
急性胃腸炎・下痢・腹痛に。発熱や熱感を伴う胃腸症状などに用いられ、かぜに伴って下痢などが現れる場合にも検討される漢方薬です。
商品情報・購入ページを見る柴苓湯エキス細粒G「コタロー」
さいれいとう
急性胃腸炎・水様性下痢・吐き気に。食欲不振や口の渇き、尿量の減少などを伴う方に用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見る半夏瀉心湯Aエキス細粒「分包」三和生薬
はんげしゃしんとう
急・慢性胃腸炎、下痢・軟便、胃のむかつきに。みぞおちがつかえ、吐き気や腹鳴、胸やけなどを伴う方に用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見るその他の関連製品
かっ香正気散エキス細粒G「コタロー」 ― 夏のかぜや暑さによる下痢・食欲不振・全身倦怠感などに。
茯苓沢瀉湯エキス細粒「分包」サンワ ― 吐き気や胃のもたれ、口の渇きを伴う胃炎・胃腸虚弱に。
胃腸炎を家族にうつさないためには
感染性胃腸炎では、ウイルスや細菌が便や吐物などを介して広がることがあります。特にノロウイルスは感染力が強く、家庭内でも感染が広がる場合があります。
感染を広げないためのポイント
- トイレの後や食事前には石けんと流水で十分に手を洗う
- 吐物や便を処理する際は手袋などを使用する
- 汚染された場所は適切な塩素系消毒剤などで処理する
- 食品は十分に加熱し、調理器具を衛生的に保つ
- 症状がある間は、ほかの人の食事の調理を避ける
ノロウイルスでは、アルコールによる手指消毒だけでは不十分な場合があります。石けんと流水による手洗いを基本とし、吐物や便の処理には適切な方法を使用することが重要です。
胃腸炎の薬は通販・処方箋なしで購入できる?
胃腸炎に使用される医薬品には、処方箋なしで購入できる市販薬と、医療機関での診察・処方によって使用する医療用医薬品があります。
整腸剤や一部の止瀉薬には市販薬がありますが、感染性胃腸炎では原因によって下痢止めが適さない場合もあるため、症状に応じた選択が必要です。
また、五苓散・柴苓湯・葛根黄連黄芩湯・半夏瀉心湯などの一般用漢方薬には、急性胃腸炎や関連する下痢・吐き気などの効能・効果を持ち、処方箋なしで通販・オンライン購入できる製品があります。
一方、特定の細菌性胃腸炎に使用される抗菌薬や医療用制吐薬などは、医師の判断に基づいて使用される医薬品です。
カミツレ薬局では、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を条件に応じて店舗で対面販売する場合もありますが、医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。
急性胃腸炎では症状が短期間で変化するため、現在の状態に合った対応が大切です。乳幼児・高齢者、脱水が疑われる方、血便や強い腹痛がある方では、医薬品の購入よりも速やかな医学的評価が必要となることがあります。
胃腸炎・下痢・吐き気に用いる漢方薬のご相談
「急に下痢や吐き気が出てきた」「五苓散と柴苓湯はどう違う?」「葛根黄連黄芩湯はどんな胃腸炎に使う?」「病院の整腸剤と漢方薬を併用できる?」など、お薬についてお気軽にご相談ください。
参考文献・情報源
執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。



