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疾患・症状と医薬品

慢性下痢の原因・症状と治療薬・漢方薬

慢性下痢の原因・治療薬・漢方薬

慢性下痢は、軟らかい便や水のような便が長期間続いたり、繰り返し起こったりする状態です。「毎朝下痢をする」「食後すぐトイレに行きたくなる」「何年もお腹が弱い」といった悩みを抱える方も少なくありません。

治療には、ロペラミドなどの止瀉薬や整腸剤、原因に応じた医薬品が用いられます。また、慢性的な胃腸虚弱や食欲不振、冷え、腹痛などに対して、参苓白朮散料・人参湯・真武湯・桂枝加芍薬湯・半夏瀉心湯などの漢方薬も症状や体質に応じて検討できます。

慢性下痢とは

日本消化管学会の「便通異常症診療ガイドライン2023」では、慢性下痢症を4週間以上持続または反復する下痢によって、日常生活に支障をきたす状態と定義しています。

急性の下痢ではウイルスや細菌による胃腸炎などが主な原因となりますが、慢性下痢では胃腸の働きの異常、薬の影響、消化吸収の問題、腸の炎症など、さまざまな原因が考えられます。

慢性下痢でよくみられる症状

  • 軟便や水様便が何週間も続いている
  • 毎朝、下痢や軟便を繰り返す
  • 食事をするとすぐに便意を感じる
  • 急にトイレへ行きたくなり、外出が不安になる
  • お腹の張りや腹痛を伴うことがある
  • 食欲不振や疲れやすさを伴うことがある

慢性下痢と過敏性腸症候群(IBS)の違い

過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛と便通異常を繰り返す病気です。下痢型IBSでは、腹痛を伴いながら下痢や便意切迫感が現れます。

一方、慢性下痢では、必ずしも腹痛を伴うとは限りません。腹痛が目立たず、軟便や水様便が長く続く場合には、機能性下痢症なども考えられます。

ただし、慢性下痢にはIBS以外の病気が隠れていることもあるため、症状の経過や検査結果を踏まえて原因を確認します。

慢性下痢の主な原因

慢性下痢の原因は一つではありません。胃腸の働きや食事の影響だけでなく、薬剤、腸の炎症、消化吸収の異常、全身の病気などが関係することがあります。

主な原因 特徴
機能性下痢症・IBS 腸の運動や感覚の異常などが関係します。IBSでは腹痛を伴うことが特徴です。
薬剤性下痢 抗菌薬、糖尿病治療薬、マグネシウム製剤、下剤などが原因になることがあります。
食事・吸収不良 乳糖不耐症、糖アルコールの摂取、消化吸収障害などによって下痢が続くことがあります。
炎症性腸疾患など 潰瘍性大腸炎、クローン病、顕微鏡的大腸炎などで慢性の下痢がみられます。
胆汁酸性下痢 胆汁酸の吸収異常などが関係し、胆嚢摘出後や腸の手術後などにみられることがあります。
その他の病気 甲状腺機能亢進症、慢性的な感染症、大腸の腫瘍などが原因となる場合もあります。
機能性下痢症・IBS

腸の運動や感覚の異常などが関係します。IBSでは腹痛を伴うことが特徴です。

薬剤性下痢

抗菌薬、糖尿病治療薬、マグネシウム製剤、下剤などが原因となることがあります。

食事・吸収不良

乳糖不耐症や糖アルコール、消化吸収障害などが関係します。

炎症性腸疾患など

潰瘍性大腸炎、クローン病、顕微鏡的大腸炎などがあります。

胆汁酸性下痢

胆汁酸の吸収異常などにより、慢性的な水様便が起こります。

その他の病気

甲状腺機能亢進症、慢性的な感染症、大腸の腫瘍なども原因になります。

検査では、便の状態、排便回数、食事や薬の使用状況などを確認し、必要に応じて血液検査、便検査、大腸内視鏡検査などを行います。

血便、原因不明の体重減少、夜間も続く下痢、発熱、強い腹痛、脱水などがある場合には、原因となる病気の確認が特に重要です。4週間以上続く下痢も、自己判断で下痢止めを長期間使用する前に、消化器内科などで原因を調べることが推奨されます。

慢性下痢の治療方法

慢性下痢の治療では、原因となる病気がある場合にはその治療を優先します。機能性下痢症などでは、食生活の調整や止瀉薬、整腸剤などを組み合わせ、便の状態や排便回数の改善を目指します。

治療方法 内容
原因疾患の治療 炎症性腸疾患、薬剤性下痢、吸収不良など、それぞれの原因に応じた治療を行います。
止瀉薬 腸の過剰な運動を抑え、便の水分量や排便回数を調整します。
整腸剤 乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌などを含む製剤が使用されることがあります。
食事・生活習慣の調整 下痢を誘発する食品や飲料を確認し、食事内容や生活習慣を調整します。
原因疾患の治療

炎症性腸疾患、薬剤性下痢、吸収不良など、原因に応じた治療を行います。

止瀉薬

腸の過剰な運動を抑え、排便回数や便の状態を整えます。

整腸剤

乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌などの製剤が使用されることがあります。

食事・生活習慣の調整

症状を悪化させる食事や飲料、生活習慣などを確認します。

慢性下痢に使われる主な医薬品

薬・成分 特徴・位置づけ
ロペラミド
ロペミンなど
腸の過剰な運動を抑え、便の水分吸収を促す止瀉薬です。慢性下痢の症状緩和に用いられる代表的な医薬品です。
プロバイオティクス製剤
乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸菌など
腸内細菌のバランスに働きかける製剤です。整腸や便通の改善を目的に使用されます。
ラモセトロン
イリボーなど
セロトニン5-HT3受容体に作用し、下痢や腹部症状を改善します。主に下痢型過敏性腸症候群に用いられる薬です。
ポリカルボフィルカルシウム
ポリフルなど
腸内で水分を保持して便の硬さを調整する薬です。過敏性腸症候群の便通異常に使用されます。
ロペラミド(ロペミンなど)

腸の過剰な運動を抑え、下痢症状を和らげる代表的な止瀉薬です。

乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸菌製剤など

腸内細菌のバランスに働きかけ、整腸や便通改善を目的に用いられます。

ラモセトロン(イリボーなど)

下痢型過敏性腸症候群の下痢や腹部症状に使用されます。

ポリカルボフィルカルシウム(ポリフルなど)

腸内で水分を保持し、過敏性腸症候群の便通異常を改善する薬です。

日本の診療ガイドラインでは、ロペラミドは慢性下痢の症状緩和に用いられる代表的な薬として紹介されています。一方、プロバイオティクスについては有効な場合があるものの、最適な菌種や使用量などは明確になっていません。

ラモセトロンやポリカルボフィルカルシウムは、主に過敏性腸症候群に使用される薬であり、慢性下痢のすべてに同じように使用するものではありません。

食事については、乳製品、脂肪の多い食品、アルコール、カフェイン、糖アルコールなどが症状を悪化させる場合があります。何を食べたときに下痢が起こりやすいかを確認し、必要に応じて調整します。

慢性下痢と漢方薬

漢方薬は、下痢の回数だけでなく、食欲の有無、お腹や手足の冷え、腹痛、お腹の張り、疲れやすさなどを考慮して選びます。

特に長く続く軟便・下痢に加えて胃腸虚弱や食欲不振、冷え、体力低下などがある場合には、それぞれの症状に応じた漢方薬が検討できます。

参苓白朮散料(じんりょうびゃくじゅつさんりょう)

参苓白朮散料は、食欲がなく、下痢や軟便が長く続き、疲れやすい方に用いられる漢方薬です。

食後にお腹が張り、脂っこい食事をすると下痢をする、胃腸が弱くて太れない、顔色が悪く疲れやすいといった方に適した処方です。

人参・白朮・茯苓・山薬・蓮肉など、胃腸の働きや消化吸収を支える生薬を組み合わせています。

小太郎漢方製薬の一般用製剤では、正式な効能・効果に「慢性下痢」が明記されています。今回のように長引く下痢と食欲不振、胃腸虚弱が中心となる場合に、特に検討したい処方です。

人参湯(にんじんとう)

人参湯は、胃腸が弱く、手足やお腹が冷えやすく、下痢を繰り返す方に用いられる漢方薬です。

冷たい飲み物や食べ物を摂るとお腹を壊しやすい、寒い時期に下痢が増える、食欲がなく腹痛を伴うといった方に検討されます。

人参・白朮・乾姜・甘草の4種類の生薬からなり、胃腸を温めながらその働きを整える処方です。

参苓白朮散料が食欲不振や体力低下を伴う慢性下痢に特徴的なのに対し、人参湯は冷えによって悪化する胃腸症状が目立つ場合に適しています。

真武湯(しんぶとう)

真武湯は、身体の冷えや疲労感が強く、体力が低下した方の下痢・胃腸虚弱に用いられる漢方薬です。

冷えを伴う下痢や腹痛、身体のだるさ、めまい、むくみなどがある方に検討されます。

茯苓・蒼朮・芍薬・生姜・附子を組み合わせた処方で、身体を温めながら水分代謝にも働きかけます。

特に、慢性的な胃腸の不調に加えて冷えや全身の衰弱感が強い方では、人参湯とともに検討される漢方薬です。

桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)

桂枝加芍薬湯は、お腹の張りや腹痛を伴い、下痢・軟便を繰り返す方に用いられる漢方薬です。

腸の過剰な動きに伴う腹痛、排便後も便が残っているような感覚、下痢と便秘を繰り返す症状などに使用されます。

桂枝湯の芍薬を増量した処方で、腸の緊張や腹痛などに着目した漢方薬です。

日本消化管学会の「便通異常症診療ガイドライン2023」でも桂枝加芍薬湯に関する研究が紹介されており、下痢型過敏性腸症候群を対象とした比較試験や、腸管運動への作用などが報告されています。

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

半夏瀉心湯は、みぞおちのつかえ、胃のむかつき、お腹のゴロゴロ音、軟便・下痢などを伴う方に用いられる漢方薬です。

食欲不振や胃もたれ、げっぷ、胸やけなど、胃と腸の両方に不調がある場合に検討されます。

半夏・黄芩・黄連・乾姜・人参などを組み合わせた処方で、胃腸の働きを整えながら下痢や軟便などに対応します。

半夏瀉心湯についても、腸内の水分吸収や腸管運動への作用が研究されており、下痢型過敏性腸症候群に対する臨床報告があります。

そのほかの胃腸虚弱に用いられる漢方薬

香砂六君子湯

胃腸が弱く、食欲不振、胃もたれ、吐き気、疲れやすさなどが続く方に。慢性下痢に胃の不調を伴う場合、関連症状に応じて検討されます。

五苓散

口渇や尿量減少など、水分代謝の乱れを伴う水様性の下痢に用いられることがあります。慢性下痢では症状や原因を確認して選びます。

漢方薬の選択では、原因疾患の有無と、実際の症状・体質を確認することが重要です。複数の処方を併用する場合には甘草などの重複に注意し、附子を含む真武湯では動悸や口唇・舌のしびれなどにも注意が必要です。

カミツレ薬局で相談・購入できる漢方薬

カミツレ薬局では、慢性下痢や胃腸虚弱、腹痛、冷えなどに用いられる漢方薬を取り扱っています。

下痢が続いている期間や便の状態、食欲の有無、冷えや疲れやすさなどを確認し、それぞれの症状に合った漢方薬をご案内しています。

第2類医薬品・オンライン購入可能

参苓白朮散料エキス細粒G「コタロー」

じんりょうびゃくじゅつさんりょう

長引く下痢・食欲不振・疲れやすさに。やせて顔色が悪く、胃腸が弱くて下痢や軟便が続く方に。正式な効能・効果に「慢性下痢」を含む漢方薬です。

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第2類医薬品・オンライン購入可能

人参湯エキス細粒G「コタロー」

にんじんとう

冷えを伴う下痢・胃腸虚弱に。手足やお腹が冷えやすく、冷たい飲食物で下痢をしたり、腹痛を繰り返したりする方に用いられる漢方薬です。

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第2類医薬品・オンライン購入可能

真武湯(サンワロンS顆粒)

しんぶとう

冷えや疲労感が強い方の下痢・胃腸虚弱に。体力が低下し、腹痛やめまい、むくみなどを伴う場合に用いられる漢方薬です。

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第2類医薬品・オンライン購入可能

桂枝加芍薬湯エキス細粒「分包」三和生薬

けいしかしゃくやくとう

お腹の張り・腹痛を伴う下痢や便秘に。しぶり腹など、腸の緊張や便通異常が気になる方に用いられる漢方薬です。

商品情報・購入ページを見る

その他の関連製品

半夏瀉心湯Aエキス細粒「分包」三和生薬 ― みぞおちのつかえ、腹鳴、軟便・下痢、胸やけなどに。

香砂六君子湯エキス細粒G「コタロー」 ― 胃腸虚弱、食欲不振、胃もたれなどが気になる方に。

慢性下痢の薬は通販・処方箋なしで購入できる?

下痢に用いられる医薬品には、処方箋なしで購入できる市販薬と、医療機関での診断・処方に基づいて使用する医療用医薬品があります。

ロペラミドなどを含む市販の下痢止めには、急な下痢や一時的な下痢症状に使用する製品があります。ただし、長期間続く下痢では、原因を確認せずに下痢止めを繰り返し使用することは適切ではありません。

一方、参苓白朮散料・人参湯・真武湯・桂枝加芍薬湯・半夏瀉心湯などの一般用漢方薬には、承認された効能・効果に応じて処方箋なしで通販・オンライン購入できる製品があります。

カミツレ薬局では、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を、条件に応じて店舗で対面販売する場合もありますが、医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。

長年の胃腸虚弱や繰り返す軟便・下痢についても、これまでの検査や治療内容、現在の症状を確認したうえで、適した医薬品についてご相談いただけます。

慢性下痢・胃腸虚弱に用いる漢方薬のご相談

「長年、軟便や下痢が続いている」「冷たいものですぐお腹を壊す」「参苓白朮散料と人参湯はどう違う?」「病院の整腸剤と漢方薬を併用できる?」など、お薬についてお気軽にご相談ください。

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参考文献・情報源

執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。