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疾患・症状と医薬品
糖尿病の症状と治療薬・漢方薬

糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高くなる病気です。初期には自覚症状が少ないこともありますが、血糖値が高い状態が続くと、喉の渇き、頻尿、疲れやすさなどが現れ、目・腎臓・神経などにも影響します。
治療には、食事・運動療法に加え、メトホルミン、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、インスリンなどの医薬品が使用されます。また、足のしびれ・冷え・頻尿・口渇など、糖尿病に伴う症状や体質に応じて、牛車腎気丸・八味地黄丸・白虎加人参湯などの漢方薬も検討できます。
糖尿病とは
私たちの身体では、食事から取り込んだ糖をエネルギーとして利用するために、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンが働いています。
糖尿病では、インスリンが十分に分泌されなかったり、インスリンが効きにくくなったりすることで、血糖値が高い状態が続きます。
糖尿病でみられる主な症状
- 喉が渇き、水を飲む量が増える
- 尿の回数や量が増える、夜間に何度もトイレに行く
- 疲れやすい、身体がだるい
- 食べているのに体重が減る
- 手足のしびれや感覚の鈍さが現れる
- 目がかすむ、傷が治りにくい
ただし、血糖値が高くても症状がない方も多く、健康診断の血液検査で初めて糖尿病を指摘される場合があります。
1型糖尿病と2型糖尿病の違い
1型糖尿病は、主に自己免疫などによって膵臓のインスリンを作る細胞が障害され、インスリンの分泌が著しく低下する病気です。基本的にインスリンによる治療が必要です。
2型糖尿病は、インスリンの分泌低下や効きにくさが重なって起こる病気です。遺伝的な体質に加え、肥満、運動不足、食生活などが発症に関係します。日本の糖尿病患者では2型が大部分を占めます。
このほか、妊娠糖尿病、膵臓の病気、ホルモン異常、薬剤などによる糖尿病もあります。
糖尿病の診断基準
糖尿病の診断には、血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)などを使用します。HbA1cは、過去1〜2か月程度の血糖状態を反映する検査項目です。
| 検査項目 | 糖尿病型の基準 |
|---|---|
| 空腹時血糖値 | 126mg/dL以上 |
| 75g経口ブドウ糖負荷試験 | 2時間値200mg/dL以上 |
| 随時血糖値 | 200mg/dL以上 |
| HbA1c | 6.5%以上(NGSP値) |
126mg/dL以上が糖尿病型の基準です。
2時間値200mg/dL以上が糖尿病型の基準です。
200mg/dL以上が糖尿病型の基準です。
6.5%以上が糖尿病型の基準です。
これらの数値に加え、別の日の再検査結果や典型的な症状などを組み合わせて糖尿病と診断します。1回の検査で基準を超えただけでは、必ずしも診断が確定するわけではありません。
糖尿病で注意したい合併症
高血糖が長期間続くと、細い血管や神経が障害され、糖尿病網膜症・糖尿病関連腎臓病・糖尿病性神経障害などが起こることがあります。また、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患にも注意が必要です。
特に糖尿病性神経障害では、足先のしびれや痛み、感覚の低下などが現れることがあります。血糖管理とともに、目・腎臓・足の状態などを定期的に確認することが大切です。
糖尿病の治療
糖尿病の治療では、血糖値を適切に管理し、合併症の発症や進行を防ぐことを目指します。
2型糖尿病では食事・運動などの生活習慣の改善を基本とし、血糖値や体重、心臓・腎臓の状態などに応じて医薬品を選択します。1型糖尿病ではインスリン補充が治療の中心です。
| 治療方法 | 内容 |
|---|---|
| 食事療法 | 適切なエネルギー量や栄養バランスを考え、食事の量・内容・食べ方を調整します。 |
| 運動療法 | ウォーキングなどの有酸素運動や筋力トレーニングを行い、インスリンの働きや体重管理を改善します。 |
| 薬物療法 | 内服の血糖降下薬、GLP-1関連製剤、インスリンなどを病状に応じて使用します。 |
| 合併症の管理 | 血圧・脂質・腎機能などの管理と、網膜症・神経障害・足病変の検査を行います。 |
適切なエネルギー摂取と栄養バランス、食事内容の調整を行います。
有酸素運動や筋力トレーニングなどで血糖管理を改善します。
内服薬、GLP-1関連製剤、インスリンなどを使用します。
目・腎臓・神経・足などの状態を定期的に確認します。
糖尿病に使われる主な医薬品
| 薬・成分 | 特徴・位置づけ |
|---|---|
| ビグアナイド薬 メトホルミン(メトグルコなど) |
肝臓で糖が作られるのを抑え、インスリンの効きを改善する代表的な2型糖尿病治療薬です。 |
| SGLT2阻害薬 エンパグリフロジン、ダパグリフロジンなど |
尿とともに糖を排出することで血糖値を下げます。一部の製剤には、心不全や慢性腎臓病に対する治療効果も認められています。 |
| GLP-1受容体作動薬 セマグルチド、デュラグルチドなど |
血糖値に応じてインスリン分泌を促し、食欲や胃の動きにも作用します。注射薬のほか、経口薬もあります。 |
| GIP/GLP-1受容体作動薬 チルゼパチド(マンジャロ) |
GIPとGLP-1の2つの受容体に作用し、血糖値の改善と体重減少に効果を示す2型糖尿病治療薬です。 |
| DPP-4阻害薬 シタグリプチン、リナグリプチンなど |
血糖値に応じたインスリン分泌を助ける薬です。単独では低血糖を起こしにくい特徴があります。 |
| その他の内服薬 グリメピリド、ピオグリタゾン、ボグリボースなど |
インスリン分泌の促進、インスリン抵抗性の改善、糖の吸収抑制など、それぞれ異なる仕組みで血糖値を改善します。 |
| インスリン製剤 インスリン アスパルト、インスリン グラルギンなど |
不足するインスリンを補う注射薬です。1型糖尿病では基本となり、2型糖尿病でも必要に応じて使用します。 |
肝臓での糖の産生を抑え、インスリンの働きを改善します。
エンパグリフロジン、ダパグリフロジンなど。尿から糖を排出して血糖値を下げます。
セマグルチド、デュラグルチドなど。血糖管理や体重管理に役立つ薬です。
チルゼパチド(マンジャロ)。血糖値の改善と体重減少に作用します。
シタグリプチン、リナグリプチンなど。インスリン分泌を助けます。
グリメピリド、ピオグリタゾン、ボグリボースなどがあります。
不足するインスリンを補う注射薬です。
2型糖尿病の治療では、HbA1cだけでなく、低血糖の危険性、肥満、心血管疾患、腎機能なども考慮して薬を選びます。
合併症予防のためのHbA1cの一般的な目標は7.0%未満ですが、年齢や健康状態、低血糖の危険性などによって個別に設定します。
インスリンや一部の血糖降下薬では低血糖が起こる場合があります。また、SGLT2阻害薬では脱水、尿路・性器感染症、血糖値が著しく高くなくても起こるケトアシドーシスなどに注意が必要です。
糖尿病性神経障害の治療
糖尿病では、足先のジンジンする痛み、ピリピリしたしびれ、感覚の低下などが起こることがあります。
治療の基本は血糖管理ですが、痛みが強い場合には、デュロキセチンやプレガバリンなどの神経障害性疼痛に用いられる医薬品が使用されます。また、エパルレスタット(キネダックなど)は、糖尿病性末梢神経障害に伴う自覚症状などの改善に用いられます。
このような手足の症状に対しては、漢方薬の牛車腎気丸についても臨床研究や応用例が報告されています。
糖尿病と漢方薬
漢方薬は、血糖値だけでなく、喉の渇き、頻尿、冷え、ほてり、手足のしびれ、疲れやすさなどの症状や体質を考慮して選びます。
医療用漢方薬の中には、正式な効能・効果に「糖尿病」が記載されている製剤もあります。また、糖尿病に伴う神経障害や身体の不調に対して研究・臨床応用されている処方もあります。
八味地黄丸(はちみじおうがん)
八味地黄丸は、疲れやすく、足腰が冷え、頻尿・夜間尿・口渇などを伴う方に用いられる漢方薬です。
地黄・山茱萸・山薬などの生薬に、身体を温める桂皮・附子を組み合わせた処方です。中高年以降の足腰の冷えや痛み、排尿の不調などに幅広く使用されます。
特に注目したいのが、医療用の「ツムラ八味地黄丸エキス顆粒(医療用)」では、正式な効能・効果に「糖尿病」が記載されていることです。
ただし、糖尿病という病名だけで使用するものではなく、疲労・倦怠感、尿量の異常、口渇、手足の冷感と熱感など、添付文書に示された症状や体質を考慮して選択します。
また、一般用の八味地黄丸と医療用の八味地黄丸では、効能・効果の記載や製剤の規格が異なります。一般用製剤を血糖値を直接下げる治療薬として使用するものではありません。
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
牛車腎気丸は、足のしびれや痛み、冷え、腰痛、頻尿、むくみなどが気になる方に用いられる漢方薬です。
八味地黄丸に牛膝(ゴシツ)と車前子(シャゼンシ)を加えた処方で、下半身の痛みやしびれ、排尿症状などに使用されます。
糖尿病性神経障害に伴うしびれや痛みに対しても、牛車腎気丸を使用した臨床研究が報告されており、血糖管理を行いながら、神経障害による症状に対する補助的な治療として検討されることがあります。
特に、足の冷えやしびれ、むくみなどが重なっている方では、八味地黄丸との違いを考えながら選択できる処方です。
白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
白虎加人参湯は、喉の渇きが強く、身体のほてりや熱感、皮膚のかゆみなどを伴う方に用いられる漢方薬です。
石膏・知母・人参・甘草・粳米を組み合わせた処方で、身体の熱感や強い口渇、皮膚症状などの改善を目的に使用します。
糖尿病では血糖値が高いことによって口渇が起こる場合がありますが、白虎加人参湯は血糖を下げる標準治療薬ではありません。血糖状態を確認したうえで、口渇やほてりなどの症状に応じて検討します。
六味丸(ろくみがん)
六味丸は、冷えよりも手足のほてりや口の渇きが目立ち、頻尿・残尿感などを伴う方に用いられる漢方薬です。
八味地黄丸から桂皮と附子を除いた処方で、身体を温める八味地黄丸とは異なり、ほてりや乾燥感を伴う体質に用いられます。
頻尿に加えて口渇や皮膚の乾燥が気になる場合などに、体質に合わせて検討できる処方です。
そのほかの関連症状に用いられる漢方薬
顔や手足のほてり、口の渇き、頻尿などが気になる方に。
胃腸が弱く、疲れやすさや口渇、頻尿、残尿感などを伴う方に。
腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな肥満体質の方に。
食欲不振や疲労倦怠感、体力低下が目立つ方に。
このほか、虚弱体質で手足のしびれや筋力低下を伴う場合には、補陽還五湯などが症状に応じて検討されることもあります。
糖尿病でみられる口渇・頻尿・疲労などは、血糖値が高いことによって起こる場合があります。漢方薬は症状や体質に合わせて検討するものであり、血糖を下げる治療の代わりにはなりません。腎機能が低下している方や複数の薬を使用している方では、配合生薬や飲み合わせの確認も重要です。
カミツレ薬局で相談・購入できる医薬品・漢方薬
カミツレ薬局では、糖尿病に伴う手足のしびれ・冷え・頻尿・口渇・疲労などの症状や体質に応じて検討できる漢方薬を取り扱っています。
血糖値やHbA1c、現在の治療薬、腎機能などを確認しながら、適した漢方薬についてご相談いただけます。
牛車腎気丸エキス細粒G「コタロー」
ごしゃじんきがん
足のしびれ・冷え・頻尿・腰痛に。下半身のしびれや痛み、むくみなどに用いられる漢方薬です。糖尿病性神経障害の症状に対する臨床研究も報告されています。
商品情報・購入ページを見る八味地黄丸料エキス細粒G「コタロー」
はちみじおうがん
足腰の冷え・頻尿・夜間尿・むくみに。中高年以降の体力低下や、冷えを伴う排尿症状に用いられる代表的な漢方薬です。
商品情報・購入ページを見るサンワ白虎加人参湯エキス細粒「分包」
びゃっこかにんじんとう
強い喉の渇き・ほてり・皮膚のかゆみに。身体の熱感や口渇が強く、皮膚の乾燥やかゆみなどを伴う方に用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見る六味丸エキス細粒G「コタロー」
ろくみがん
口の渇き・手足のほてり・頻尿に。冷えよりもほてりや乾燥感が目立ち、排尿の不調や疲れやすさが気になる方に用いられる漢方薬です。
商品情報・購入ページを見るその他の関連する漢方薬
知柏地黄丸エキス細粒G「コタロー」 ― 顔や手足のほてり、口渇を伴う頻尿などに。
清心蓮子飲エキス細粒G「コタロー」 ― 胃腸が弱く、疲れや口渇、頻尿・残尿感などを伴う方に。
防風通聖散エキス細粒G「コタロー」 ― 皮下脂肪が多い肥満体質、便秘などに。
補中益気湯エキス細粒G「コタロー」 ― 疲労倦怠感、食欲不振、体力低下などに。
医療用八味地黄丸は店舗で処方箋なしで購入できます
ツムラ7 八味地黄丸エキス顆粒(医療用)
ツムラの医療用八味地黄丸は、効能・効果に「糖尿病」が正式に記載されている漢方製剤です。
疲労・倦怠感が強く、尿量の異常や口渇、手足の冷感と熱感などを伴う方を対象として使用されます。
カミツレ薬局では、処方箋医薬品以外の医療用医薬品として、薬剤師による対面確認後、条件を満たす場合に処方箋なしで購入いただけます。
医療用医薬品のため、通販・郵送販売は行っていません。
医療用八味地黄丸の効能・効果に「糖尿病」の記載があっても、インスリンや血糖降下薬と同じ血糖管理効果が確認されているという意味ではありません。現在の糖尿病治療を継続しながら、症状や体質に合うかを判断します。
糖尿病の薬は通販・処方箋なしで購入できる?
メトホルミン、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、インスリンなど、糖尿病の血糖管理に用いる処方箋医薬品は、医療機関での診察・処方箋が必要です。
一方、糖尿病に伴う冷え、頻尿、手足のしびれ、口渇などの関連症状に対しては、八味地黄丸・牛車腎気丸・白虎加人参湯などの一般用漢方薬が、症状や体質に応じて検討されることがあります。
これらの一般用医薬品には、処方箋なしで通販・オンライン購入できる製品があります。ただし、糖尿病そのものの血糖管理に代わるものではありません。
また、カミツレ薬局では、ツムラ7八味地黄丸など一部の医療用漢方薬を、必要な条件を満たした場合に店舗で対面販売しています。医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。
強い口渇や頻尿に加え、急激な体重減少、強い倦怠感、吐き気、腹痛、意識の異常などがある場合は、著しい高血糖やケトアシドーシスなどの可能性があります。速やかな医療機関での評価が必要です。
糖尿病に伴う症状・漢方薬のご相談
「糖尿病で足のしびれや冷えが気になる」「牛車腎気丸と八味地黄丸はどう違う?」「喉の渇きや頻尿に使える漢方薬は?」「病院で処方されている糖尿病薬と併用できる?」など、お薬についてお気軽にご相談ください。

参考文献・情報源
執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。



