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疾患・症状と医薬品
ネフローゼ症候群の症状と治療薬・漢方薬

ネフローゼ症候群は、腎臓から大量のタンパク質が尿に漏れ、血液中のアルブミンが減少することで、足や顔、全身にむくみなどが現れる病気です。治療で落ち着いても再発を繰り返す場合があります。
治療には、病気の種類に応じてステロイド薬や免疫抑制薬、むくみを和らげる利尿薬などが使われます。また、腎疾患への臨床報告がある柴苓湯や、むくみ・腹部膨満感などに用いる五苓散・分消湯・補気建中湯などの漢方薬も、症状や治療状況を踏まえた選択肢として紹介します。
ネフローゼ症候群とは
腎臓には、血液をろ過して尿をつくる「糸球体」という部分があります。ネフローゼ症候群では、この糸球体の働きが障害され、多量のタンパク質が尿に漏れ出します。血液中のアルブミンが減ることで水分の分布が乱れ、むくみが起こりやすくなります。
主な症状と特徴
- まぶた・足・すねなどがむくみ、体重が増える
- 尿が泡立ちやすい、尿の量が変化する
- 全身がだるい、疲れやすい
- むくみが強い場合には腹水や息苦しさが現れる
成人では、1日3.5g以上の尿タンパクと、血清アルブミン3.0g/dL以下が主な診断基準です。原因を調べるため、尿検査・血液検査のほか、必要に応じて腎生検を行います。
原因には、微小変化型、膜性腎症、巣状分節性糸球体硬化症などの腎疾患があります。また、糖尿病や自己免疫疾患、薬剤などが関係する場合もあり、治療方法は原因によって異なります。
ネフローゼ症候群の治療
治療の目的は、尿タンパクを減らし、むくみなどの症状を改善して、腎機能を守ることです。病型や重症度、再発の有無によって治療を選びます。
| 治療方法 | 内容 |
|---|---|
| ステロイド・免疫抑制療法 | 微小変化型などではプレドニゾロンを使用します。病型や再発状況によって免疫抑制薬やリツキシマブなどを検討します。 |
| むくみへの治療 | 塩分摂取量の調整と、必要に応じてフロセミドなどの利尿薬を用います。水分や腎機能の状態を確認しながら調整します。 |
| 尿タンパク・血圧の管理 | 病状に応じてACE阻害薬・ARBなどを使用し、血圧や尿タンパクの管理を行います。 |
| 合併症・再発への対応 | 感染症や血栓症、脂質異常などを確認します。再発時には尿タンパクと治療歴を踏まえて治療を見直します。 |
病型や再発状況に応じてプレドニゾロンや免疫抑制薬などを使います。
塩分調整や利尿薬でむくみを和らげます。
ACE阻害薬・ARBなどを病状に応じて使用します。
感染症・血栓症などを確認し、再発時には治療を調整します。
ネフローゼ症候群に使われる主な医薬品
| 薬・成分 | 特徴・位置づけ |
|---|---|
| プレドニゾロン 副腎皮質ステロイド |
免疫や炎症に関わる働きを抑え、微小変化型などの治療に使用される代表的な医薬品です。 |
| 免疫抑制薬 シクロスポリン、タクロリムスなど |
ステロイドだけでは十分な効果が得られない場合や、再発を繰り返す場合などに病型に応じて使用します。 |
| リツキシマブ | 免疫に関わるB細胞に作用する点滴薬です。日本では、小児期発症の特発性ネフローゼ症候群のうち、承認された条件に該当する難治例などに用いられます。 |
| ミコフェノール酸モフェチル セルセプトなど |
頻回再発型・ステロイド依存性などの難治性ネフローゼ症候群に、2025年に適応が追加された免疫抑制薬です。対象患者・使用条件が定められています。 |
| 利尿薬 フロセミドなど |
余分な水分・塩分の排出を促し、むくみを改善するために使用します。尿タンパクの原因を直接治療する薬ではありません。 |
微小変化型などの治療に使用する代表的なステロイド薬です。
病型や再発状況に応じて検討する免疫抑制薬です。
小児期発症の特発性ネフローゼ症候群で、承認条件を満たす難治例などに使用します。
2025年に一部の難治性ネフローゼ症候群へ適応が追加されました。
むくみを和らげるために使用します。
ステロイド薬・免疫抑制薬では感染症などの副作用への注意が必要です。利尿薬を使用する場合も腎機能や電解質を確認します。治療の中止や減量は、尿タンパクなどの経過を踏まえて判断します。
ネフローゼ症候群と漢方薬
漢方薬は、ネフローゼ症候群という病名だけでなく、むくみ、尿量の減少、腹部膨満感、胃腸の状態などを考慮して選びます。柴苓湯にはネフローゼ症候群への臨床報告があり、ほかにもむくみを正式な効能・効果に持つ一般用漢方薬があります。
柴苓湯(さいれいとう)
柴苓湯は、喉の渇きや尿量減少、むくみ、胃腸の不調などに用いられる漢方薬です。小柴胡湯と五苓散を合わせた処方で、水分代謝と身体の炎症に関わる働きに着目して用いられます。
ネフローゼ症候群では、微小変化型と膜性腎症の計2例に柴苓湯を使用し、尿タンパクの減少や寛解を認めた臨床報告があります。標準治療中に併用した例もあり、腎臓の治療経過を確認しながら検討される処方です。
柴苓湯の臨床報告について
日本東洋医学雑誌には、柴苓湯を使用したネフローゼ症候群の2症例が報告されています。こうした応用例はありますが、すべての患者に同じ結果が得られるものではなく、標準治療を置き換える目的では使用しません。
五苓散(ごれいさん)
五苓散は、喉の渇きがあり、尿量が少なく、むくみや頭痛などを伴う方に用いられる漢方薬です。沢瀉・猪苓・茯苓・朮・桂皮を組み合わせ、水分バランスの乱れによる症状に使用します。
ネフローゼ症候群そのものへの治療ではなく、むくみなどの症状から検討する場合の選択肢です。
分消湯(ぶんしょうとう)
分消湯は、尿量が少なく、むくみとともにお腹の張りや便秘傾向がある方に用いられる漢方薬です。
腹部膨満感が強く、少し食べただけでもお腹が張るなど、むくみと胃腸の症状が重なる場合に検討されます。
補気建中湯(ほきけんちゅうとう)
補気建中湯は、胃腸が弱く、疲れやすさに加えて腹部膨満感やむくみが気になる方に用いられる漢方薬です。
人参・白朮・茯苓など胃腸の働きを支える生薬と、沢瀉など水分代謝に関わる生薬を組み合わせています。ネフローゼ症候群などによるむくみへの漢方医学的な応用が紹介されることもあります。
ネフローゼ症候群では、むくみの程度だけでなく尿タンパク・血清アルブミン・腎機能も重要です。漢方薬の承認効能である「むくみ」と、ネフローゼ症候群そのものへの臨床応用は区別して考えます。
カミツレ薬局で相談・購入できる漢方薬
カミツレ薬局では、ネフローゼ症候群への臨床報告がある柴苓湯や、むくみ・腹部膨満感などに用いられる漢方薬を取り扱っています。治療中の医薬品や腎機能、症状を確認しながらご相談いただけます。
柴苓湯エキス細粒G「コタロー」
さいれいとう
喉の渇きや尿量減少を伴うむくみ、胃腸炎による下痢・吐き気などに。ネフローゼ症候群への臨床報告もある漢方処方です。
商品情報・購入ページを見る五苓散料Aエキス細粒「分包」三和生薬
ごれいさん
喉の渇きや尿量減少があり、むくみや頭痛などが気になる方に。身体の水分バランスに着目した代表的な処方です。
商品情報・購入ページを見る分消湯エキス細粒G「コタロー」
ぶんしょうとう
尿量が少なく、むくみとともに腹部膨満感や便秘傾向が気になる方に。お腹の張りを伴う水分の停滞に用いられます。
商品情報・購入ページを見る補気建中湯エキス細粒G「コタロー」
ほきけんちゅうとう
胃腸が弱く、疲れやすさに加えて、むくみやお腹の張りがある方に。体調と水分代謝の両面に着目した漢方薬です。
商品情報・購入ページを見るむくみに用いられる漢方薬を詳しく知りたい方へ
肥満・むくみに用いられる漢方薬の比較 ― むくみの現れ方や体質によって使い分ける処方を紹介しています。
腎疾患の治療中は、利尿薬との併用や電解質への影響、甘草の重複などを確認することが重要です。特に柴苓湯では、まれですが間質性肺炎、偽アルドステロン症などの重大な副作用にも注意が必要です。
ネフローゼ症候群の薬は通販・処方箋なしで購入できる?
ステロイド薬・免疫抑制薬・病状に応じた利尿薬など、ネフローゼ症候群の治療に使われる処方箋医薬品は、医療機関での診察・処方箋が必要です。
一方、柴苓湯・五苓散・分消湯・補気建中湯などには、むくみや腹部膨満感などの承認効能に基づき、処方箋なしで通販・オンライン購入できる一般用漢方薬があります。
カミツレ薬局では、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を、必要な条件を満たす場合に店舗で対面販売することもあります。医療用医薬品の通販・郵送販売は行っていません。
ネフローゼ症候群によるむくみには、腎機能や血液中の水分量の変化が関係します。自己判断で利尿薬や漢方薬を追加せず、現在の治療と検査結果を踏まえて選ぶことが大切です。急な息苦しさ、胸痛、片脚だけの急な腫れなどは、血栓症を含む緊急の病態が考えられます。
ネフローゼ症候群に伴うむくみ・漢方薬のご相談
「柴苓湯の臨床報告について知りたい」「むくみやお腹の張りに用いる漢方薬は?」「ステロイドや利尿薬と併用できる?」など、お薬についてお気軽にご相談ください。

参考文献・情報源
執筆・監修:カミツレ薬局 薬剤師 河津伸也
宮城県仙台市・東北大学病院前
本ページは、医薬品添付文書や医学・薬学資料に基づき、一般の方向けにまとめています。



