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- 人参(ニンジン)とは?補気・生津に優れる代表的な生薬の働きと薬理作用
人参(ニンジン)とは?元気を補い、体力・食欲・津液を支える生薬の働き
人参(ニンジン)は、 ウコギ科のオタネニンジン Panax ginseng の細根を除いた根、 またはこれを軽く湯通ししたものを用いる生薬です。 漢方では代表的な補気薬として知られ、 疲れやすい、食欲がない、体力が落ちている、下痢しやすい、病後で消耗している といった状態に広く用いられます。 また、体液を補う生津作用もあり、 口渇、高熱後の消耗、呼吸器や胃腸の機能低下にも重要な生薬です。
人参(ニンジン)とは
人参は、ウコギ科(Araliaceae)の オタネニンジン Panax ginseng C. A. Meyer (Panax schinseng Nees)の 細根を除いた根、またはこれを軽く湯通ししたものです。
局方規格では、 換算した生薬の乾燥物に対し、 ギンセノシド Rg1(C42H72O14:801.01)0.10%以上、 ギンセノシド Rb1(C54H92O23:1109.29)0.20%以上 を含むとされています。
主な産地は、 長野県、福島県、島根県、吉林省、黒竜江省、遼寧省、韓国、北朝鮮 などです。
別名として、 御種人参、胡鮮人参、高麗人参、白参、湯通し人参、生干人参、紅参、人浸 などがあります。
市場品には、 生干人参、湯通し人参、白参、紅参、ヒゲ人参 などがあり、調製法の違いによって性状が異なります。
良品は、芦頭が除かれており、太く、重く、充実し、空洞のないものとされます。 また、細刻品は香気成分が揮散しやすいため、 密封保存が望まれます。
- 基原
- オタネニンジン Panax ginseng の根
- 科名
- ウコギ科
- 性味
- 甘微苦、温
- 帰経
- 脾、肺
- 主な成分
- トリテルペノイドサポニン(ギンセノシド Ro、Ra〜Rh)、アセチレン誘導体(パナキシノール)など
- 配合割合
- 294処方中75処方(25.5%)
人参の分類
オタネニンジンを水洗し、細根を除いて、 外皮を剥がずにそのまま乾燥したものです。 独特の香りがあり、甘くやや苦みがあり、コクのあるものが良品とされます。
水洗し、細根を除いて、 外皮を剥がずに湯通ししてから乾燥したものです。 市場ではこれを御種人参と称することがあります。 外皮が残り、中央までアメ色で白芯のないものが良品とされます。
水洗し、細根を除いて、 外皮を剥ぎ、乾燥したものです。 外・内面ともに白いものが良品とされます。
水洗し、細根を除いて、 外皮を剥がずに圧力釜で蒸し、赤褐色になったものを乾燥したものです。 色むらがなく、芯までアメ色で白芯のないものが良品です。 局方ではコウジンとして収載されています。
細根を乾燥したものです。
漢方における人参の働き
大いに元気を補う
代表的な補気薬で、 疲労感、倦怠感、虚弱、病後の体力低下に用いられます。
脾胃を補う
胃腸機能を支え、 食欲不振、下痢、消化不良、未消化便などに用いられます。
津液を生じる
体液を補い、 口渇、高熱後の消耗、津液不足に対応します。
精神安定をはかる
虚弱や消耗に伴う 不安、驚悸、不眠、精神不安にも応用されます。
人参の主治
労働過多による虚労、体力低下、病中病後の消耗などに用いられます。
食欲不振、消化不良、すぐ吐く、下痢、未消化便など、 胃腸機能の低下に伴う症状に用いられます。
陽虚証の咳や喘咳、息切れなど、 呼吸機能の低下を伴う状態に用いられます。
糖尿病様の強い口渇、高熱後の口渇、消耗による乾きなどに用いられます。
発汗が多く、ぐったりして力が入らないような虚脱状態にも応用されます。
消耗性疾患に伴う不眠、驚悸、精神不安などにも用いられます。
人参の薬理作用
人参には、 トリテルペノイドサポニン(ギンセノシド類)、 アセチレン誘導体(パナキシノール) などが含まれています。
抽出液には、 気道分泌を亢進する作用があるとされています。
骨髄における DNA・RNA・タンパク質・脂質の合成促進、 ACTH・コルチコステロンの増加、 精神・神経系への作用、 実験的肝障害・実験潰瘍の改善、 肉芽腫形成などが報告されています。
大脳皮質刺激によるコリン作動性作用、 血圧降下、呼吸促進、高血糖改善、 インスリン作用増強、抗疲労、鎮痛、胃潰瘍抑制 などが報告されています。
現代における運用のポイント
● 補気作用
人参は補気薬として非常に重要な生薬で、 とくに胃腸系・呼吸器系を活性化する目的で欠かせません。 胃腸系に働く場合には、 下痢を止め、消化を促進し、体力をつける方向に用いられます。 呼吸器系に働く場合には、 肺機能を高め、鎮咳去痰を助け、呼吸機能を支える働きが期待されます。
● 生津作用
陽明病や温病など、 高熱によって津液が損なわれたときに用いられ、 口渇を止め、体力の回復を助けます。
人参の配合応用
2)脾胃を補い、補気して体力をつける組み合わせとして、 加味帰脾湯、千金内托散、大防風湯、扶脾生脈散などに用いられます。
※この場合、 乾姜は胃腸を温める作用、生姜は止嘔作用を強めるとされます。
人参は294処方中どのくらい使われる?
約4処方に1処方に含まれており、 人参は補気薬の中心となる極めて重要な生薬です。 とくに、 胃腸虚弱、食欲不振、病後の体力低下、慢性疲労、虚弱体質 を考えるうえで頻用されます。
当薬局で取り扱いのある代表的な人参配合処方
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人参は「胃腸の補気」に非常に重要な生薬
人参の中心となる働きは、 脾胃を補い、元気をつけることです。
食欲がない、疲れやすい、下痢しやすい、食後にだるい、 病後でなかなか力が戻らないといった状態では、 胃腸の機能低下が背景にあることが少なくありません。
人参は、こうした状態で 消化吸収を助けながら体力を補うため、 補中益気湯、四君子湯、六君子湯、人参湯などの 基本的な補気処方に数多く配合されています。
人参は「津液不足による口渇」にも用いられる
人参は補気だけでなく、 津液を生じる生津作用を持つことも重要な特徴です。
このため、 高熱後の消耗、口渇、煩渇、乾きなどにも応用されます。
白虎加人参湯、竹葉石膏湯、麦門冬湯などでは、 人参のこの働きがよく活かされています。
人参+白朮+茯苓は補気健胃の基本
人参は単独でも重要ですが、 白朮・茯苓と組み合わさることで 胃腸を補いながら水分代謝も整える力が高まります。
この基本配合が 四君子湯であり、 さらに陳皮・半夏を加えると 六君子湯になります。
食欲不振、倦怠感、胃もたれ、胃内停水などを考えるうえで、 人参を中心としたこの配合は非常に重要です。
人参の類似生薬について
江戸時代より人参の代用品として用いられてきました。 人参に比べ滋養強壮作用は劣るものの、 鎮咳去痰・健胃・解熱作用に優れるとされ、 咳嗽や心下部の痞えを目標に人参の代用として用いられることがあります。
雲南省・広西地域で民間薬として発見された生薬で、 漢方では止血、駆瘀血、止痛を主な目的として用います。 人参とは近縁ですが、働きはかなり異なります。
北アメリカ原産で、疲労回復作用はあるものの、 人参より滋陰・清熱作用に優れるとされ、 熱証患者の滋養強壮に適すると考えられています。
人参の備考
人参には、 生干人参、湯通し人参、白参、紅参、ヒゲ人参など、 調製法の違いによる分類があります。
また、 竹節人参、三七人参、西洋人参など、 名前が似ていても別の植物を基原とするものがあり、 生薬学的にも薬能の面でも区別が必要です。
近年の研究報告について
書籍では、 人参の薬理作用として多くの報告があるなかで、 学習障害の改善に関する報告が注目されると紹介されています。
また、 抑肝散加陳皮半夏に紅参末を加え、 虚証の脳血管型認知症で認知機能や ADL の改善を認めた報告 も記載されており、 人参の補気・補津液作用を背景とした臨床応用の一例として参考になります。
参考文献・情報源
・第十八改正日本薬局方「ニンジン(Ginseng Radix)」
・根本幸夫 監修『漢方294処方生薬解説 第2版』じほう
・厚生労働省「一般用漢方製剤製造販売承認基準」
・カミツレ薬局公式オンラインショップ
本ページは、生薬・漢方薬に関する専門資料、公的資料をもとに、 カミツレ薬局の薬剤師が一般の方にも分かりやすく解説しています。



