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脱毛・薄毛・抜け毛と漢方薬|原因と発毛剤・体質別の漢方を薬剤師が解説
脱毛・薄毛・抜け毛にはさまざまな原因があります
髪の毛が細くなった、抜け毛が増えた、以前よりボリュームが減ったなど、髪の変化が気になる方は少なくありません。
ただし、「抜け毛」「薄毛」といっても原因は一つではなく、年齢や遺伝、ホルモン、栄養状態、ストレス、病気、薬剤、出産など、さまざまな要因が関係します。
代表的な脱毛症には、次のようなものがあります。
- 男性型脱毛症(AGA):生え際や頭頂部を中心に徐々に薄くなる
- 女性型脱毛症(FPHL):頭頂部を中心に髪の密度が低下する
- 円形脱毛症:円形・楕円形の脱毛斑が突然現れる
- 休止期脱毛:ストレス、発熱、出産、栄養状態などをきっかけに全体的な抜け毛が増える
- 甲状腺疾患や鉄欠乏など全身状態に伴う脱毛
- 頭皮の炎症や皮膚疾患に伴う脱毛
そのため、薄毛が気になるからといって、すべての方に同じ発毛剤や漢方薬が適しているわけではありません。
髪には「ヘアサイクル」があります
髪の毛は、一度生えたものがずっと伸び続けるわけではありません。
髪が成長する「成長期」、成長が止まる「退行期」、毛が抜けて次の髪へ入れ替わる「休止期」という周期を繰り返しています。
男性型脱毛症や女性型脱毛症では、このヘアサイクルのうち成長期が短くなり、太く長く育つ前に髪が細く短くなっていくことが特徴です。
一方、休止期脱毛では、通常より多くの毛髪が一度に休止期へ移行することで、ある時期から急に抜け毛が増えることがあります。
急に抜け毛が増えた場合には原因の確認も大切です
AGAや女性型脱毛症は一般的に徐々に進行します。
一方、短期間で急激に抜け毛が増えた場合には、AGA以外の原因も考える必要があります。
たとえば、次のようなものが抜け毛に関係することがあります。
- 強い精神的・身体的ストレス
- 高熱を伴う感染症や大きな病気
- 出産後
- 過度な食事制限や栄養不足
- 鉄欠乏・貧血
- 甲状腺機能異常
- 一部の薬剤
円形にまとまって抜ける、急速に脱毛範囲が広がる、頭皮に強い炎症がある、眉毛やまつ毛まで抜けるなどの場合には、一般的な壮年性脱毛症とは異なる可能性があります。
西洋医学では薄毛・脱毛をどのように治療する?
西洋医学では、まず脱毛症の種類を確認し、その原因に応じて治療します。
男性型脱毛症と女性型脱毛症ではミノキシジル外用が代表的な治療で、男性型脱毛症では、男性ホルモンからDHT(ジヒドロテストステロン)がつくられる過程を抑えるフィナステリド(プロペシアなど)やデュタステリド(ザガーロなど)の内服薬も使用されます。
これらは医療用医薬品であり、女性の薄毛に同じように使用する薬ではありません。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」では、ミノキシジル外用は男性型脱毛症・女性型脱毛症とも推奨度Aとされ、男性では5%、女性では1%ミノキシジル外用が強く推奨されています。
市販で購入できる発毛剤|ミノキシジル
市販薬として医学的な発毛効果が認められている代表的な成分がミノキシジルです。
ミノキシジルは毛包に直接作用し、毛髪の成長を促すことで、壮年性脱毛症における発毛・育毛・脱毛の進行予防に使用されます。
ミノキシジル配合の発毛剤は第1類医薬品のため、購入時には薬剤師による確認・情報提供が必要です。インターネット通販でも購入できますが、使用者の年齢や性別、脱毛の状態、既往歴などを確認したうえで販売されます。
男性の壮年性脱毛症|リアップX5シリーズ
男性のAGA・壮年性脱毛症に使用される代表的な市販薬が、リアップX5シリーズです。
現在販売されているリアップX5チャージにはミノキシジル5%が配合されており、成人男性(20歳以上)が1日2回、1回1mLを脱毛している頭皮に使用します。
日本皮膚科学会でも男性型脱毛症に対する5%ミノキシジル外用を強く推奨しています。
ミノキシジル5%製剤の臨床試験では、1%製剤より毛髪数などの増加が大きかったことも確認されています。
ただし、円形脱毛症のように突然一部分だけ抜けた場合や、短期間で急激に髪が抜けた場合などは、リアップシリーズの対象となる壮年性脱毛症とは異なる可能性があります。
女性の壮年性脱毛症|リアップリジェンヌ
女性用のミノキシジル製剤がリアップリジェンヌです。
リアップリジェンヌにはミノキシジル1%が配合されており、成人女性(20歳以上)の壮年性脱毛症における発毛・育毛・抜け毛の進行予防に使用されます。
日本では女性に対する5%ミノキシジル製剤の一般用医薬品としての臨床試験が行われていないため、女性用として市販されているのは1%製剤です。
女性の抜け毛は、出産、鉄欠乏、甲状腺機能、急激なダイエットなど、壮年性脱毛症以外の原因も比較的多いため、使用前に脱毛パターンを確認することが特に重要です。
男性用1%ミノキシジル|リアップEXジェット
リアップEXジェットは、ミノキシジルを配合した男性用の第1類医薬品です。
エアゾールタイプで頭皮へ噴射して使用でき、壮年性脱毛症における発毛、育毛および脱毛の進行予防に使用されます。
液剤タイプとは使用感や容器の形状が異なるため、使用方法や好みに応じて選択肢となります。
リアップは「抜け毛なら何でも使える薬」ではありません
リアップシリーズの効能は壮年性脱毛症に対するものです。
そのため、次のような場合には、単純にミノキシジルを使用するのではなく、まず原因を確認することが重要です。
- 円形・楕円形に突然髪が抜けた
- 短期間で急激に大量の髪が抜けた
- 頭皮に発赤、湿疹、強いかゆみがある
- 出産後などをきっかけに抜け毛が急増した
- 甲状腺疾患や貧血などが疑われる
円形脱毛症はAGAとは治療が異なります
円形脱毛症は、AGAとは異なり、免疫反応によって毛包が攻撃される自己免疫性の脱毛症と考えられています。
治療では、脱毛範囲や進行速度などに応じて、ステロイド外用・局所注射、局所免疫療法などが使用されます。
さらに重症の円形脱毛症では、現在はバリシチニブやリトレシチニブなどのJAK阻害薬が使用される場合もあります。
そのため、「円形に抜けたからリアップを塗る」という使い方ではなく、脱毛症の種類を見分けることが大切です。
眉毛・ヒゲ・体毛の薄さには|ミクロゲン・パスタ
頭髪ではなく、眉毛・ヒゲ・胸毛など体毛の発毛を希望する場合には、ミノキシジルとは別の第1類医薬品があります。
ミクロゲン・パスタは、メチルテストステロンとプロピオン酸テストステロンという2種類の男性ホルモンを配合した外用薬です。
効能・効果は、男女両性の無毛症・貧毛症(顔面、胸部、四肢、腋窩、恥部の発毛促進と育毛)です。
- 眉毛を濃くしたい
- ヒゲの生え方が薄い
- 胸毛や腋毛などの体毛が少ない
といった場合に使用されます。
重要なのは、ミクロゲン・パスタは頭髪には使用できないことです。
まつ毛にも使用できません。頭髪の薄毛に使用するリアップシリーズとは、対象部位も作用する成分も異なる医薬品です。
漢方医学では脱毛・薄毛をどのように考える?
漢方医学では、髪を単独の組織として考えるだけではなく、全身の栄養状態や加齢、胃腸の働き、ストレス、血の状態などとの関係を重視します。
古くから髪は「血余(けつよ)」と表現され、身体を十分に養った「血」の余りが髪を養うという考え方があります。
また「腎の華は髪にある」とも考えられ、加齢や生殖・成長に関係する「腎」と髪との関係も重視します。
脱毛・薄毛で考えられる代表的な証には、次のようなものがあります。
- 加齢や慢性的な消耗が目立つ「腎虚」
- 髪や皮膚を養う血が不足した「血虚」
- 胃腸が弱く栄養を十分取り込めない「脾気虚」
- 強いストレスによって気の巡りが滞る「肝鬱気滞」
- 頭皮の炎症や脂っぽさなどを伴う「湿熱」
- 皮膚や毛髪を養う働きが低下した「肺気虚」
加齢・腰のだるさ・冷えなどを伴う場合|腎虚(じんきょ)
年齢とともに髪が細くなった、髪のボリュームが減ったことに加えて、腰や下半身のだるさ、冷え、疲れやすさなどがみられる場合、漢方医学では「腎虚」を考えることがあります。
漢方でいう「腎」は、西洋医学の腎臓だけではなく、成長、発育、加齢、生殖などを支える基礎的な働きを表す概念です。
冷えが強い腎陽虚では八味地黄丸(はちみじおうがん)、ほてりや口の乾きなどを伴う腎陰虚では六味丸(ろくみがん)など、体質によって補腎薬を使い分けます。
髪が細い・乾燥する・顔色がすぐれない場合|血虚(けっきょ)
髪が細くなった、艶がなくなった、抜け毛が増えたことに加えて、顔色がすぐれない、めまい、月経量の減少、皮膚の乾燥などがある場合には、漢方医学では「血虚」を考えることがあります。
血虚とは、身体や髪を養う「血」が不足した状態を表します。
- 髪が細く、艶がない
- 皮膚が乾燥しやすい
- 顔色がすぐれない
- めまいや立ちくらみがある
- 月経量が少ない
代表的な処方としては、血を補う四物湯(しもつとう)などがあります。
血虚に加えて疲れやすい、食欲がないなど「気」の不足もある場合には、四物湯と四君子湯の働きを合わせた八珍湯(はっちんとう)などを検討することもあります。
胃腸が弱く、疲れやすい場合|脾気虚(ひききょ)
食欲が少ない、胃腸が弱い、疲れやすい、軟便になりやすいなどがあり、髪にも十分な栄養が届いていないと考えられる場合には、漢方医学では「脾気虚」を考えることがあります。
漢方の「脾」は、食事から身体に必要な気や血をつくる働きと関係します。
代表的な処方としては、四君子湯(しくんしとう)などがあります。
胃もたれ、吐き気、痰などを伴う場合には、体質によって六君子湯(りっくんしとう)などが検討されることもあります。
強いストレスをきっかけに抜け毛が増えた場合|肝鬱気滞
仕事や人間関係など強いストレスが続いた後から抜け毛が増えた場合、漢方医学では「肝鬱気滞(かんうつきたい)」を考えることがあります。
漢方でいう「肝」は、気の巡りや精神的な緊張などと深く関係する概念です。
強いストレスによって気の流れが滞り、それが全身状態や血の巡りにも影響していると考えます。
- ストレスが強い
- イライラしやすい
- 寝つきが悪い
- 胸やみぞおちが張る
- ストレスをきっかけに抜け毛が増えた
代表的な処方には四逆散(しぎゃくさん)などがあります。
不安や動悸、不眠、のぼせなどを強く伴う場合には、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)などが検討されることもあります。
頭皮が脂っぽい・赤みやかゆみを伴う場合|湿熱(しつねつ)
頭皮が脂っぽい、べたつく、赤みやかゆみがあるといった場合には、漢方医学では余分な「湿」と「熱」が頭皮に停滞した「湿熱」として考えることがあります。
脂っこい食事、刺激物、過度な飲酒などが続いている方にみられることがあります。
ただし、頭皮の発赤・かゆみ・フケなどが強い場合には、脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患が関係していることもあるため、単に漢方だけで考えないことが大切です。
皮膚が乾燥し、風邪をひきやすい場合|肺気虚(はいききょ)
漢方医学では「肺」は呼吸だけでなく、皮膚や体表の状態とも関係すると考えます。
皮膚が乾燥しやすい、汗をかきやすい、風邪をひきやすいなどの症状とともに髪の状態が悪くなっている場合には、「肺気虚」が関係していると考えることがあります。
ただし、脱毛・薄毛では腎虚、血虚、脾気虚、肝鬱気滞などを中心に考えることが多く、肺気虚だけで処方を決めるわけではありません。
漢方薬は「薄毛ならこれ一つ」ではありません
脱毛や薄毛は、男性型脱毛症、女性型脱毛症、円形脱毛症、休止期脱毛など原因が異なります。
漢方医学でも、加齢が中心の腎虚、栄養や血の不足が目立つ血虚、胃腸の弱い脾気虚、ストレスの影響が強い肝鬱気滞など、その方の状態によって使用する処方が異なります。
そのため、まず「どのような抜け方をしているのか」を確認したうえで、必要に応じて西洋医学的な治療と漢方薬を使い分けることが重要です。
発毛剤・薄毛に伴う漢方薬の通販はカミツレ薬局へご相談ください
カミツレ薬局では、男性の壮年性脱毛症に使用されるリアップX5シリーズ・リアップEXジェット、女性用のリアップリジェンヌなど、ミノキシジルを配合した第1類医薬品の発毛剤を取り扱っています。
眉毛・ヒゲ・体毛の発毛促進には、頭髪用とは異なる第1類医薬品ミクロゲン・パスタも選択肢となります。
さらに、冷え、疲労、胃腸虚弱、ストレスなどを伴う場合には、体質に応じて漢方薬を検討することもできます。
第1類医薬品は、薬剤師が使用者の年齢、性別、症状、既往歴などを確認したうえで販売します。
当薬局では一般用医薬品・漢方薬の通販にも対応しており、全国へ配送しております。
参考・出典
- 公益社団法人 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
- 公益社団法人 日本皮膚科学会「円形脱毛症診療ガイドライン2024」
- 大正製薬「リアップ」公式製品情報
- 大正製薬「リアップリジェンヌ」公式製品情報
- 啓芳堂製薬「ミクロゲン・パスタ」製品情報・添付文書
- 漢方治療指針「頭部の症状・疾患−脱毛・薄毛・抜け毛」
※本記事は、脱毛・薄毛・抜け毛および漢方薬・一般用医薬品についての一般的な情報提供を目的としています。
短期間で急激に脱毛した場合、円形・楕円形に抜けた場合、頭皮に強い炎症がある場合などは、壮年性脱毛症以外の原因が考えられます。必要に応じて皮膚科等で原因を確認してください。
リアップシリーズなどのミノキシジル製剤およびミクロゲン・パスタは第1類医薬品です。使用前に薬剤師による確認を受け、添付文書に従って使用してください。



