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症状・病名から探す漢方薬
肥満・肥満症とは?
肥満と肥満症は、同じ意味ではありません。 BMIの目安や主な原因、生活習慣の改善方法、体質に応じて使用される漢方薬をご紹介します。
肥満と肥満症の違い
肥満とは、体に脂肪が過剰に蓄積した状態です。 日本では、体重と身長から計算するBMIが25以上の場合に「肥満」と判定されます。
一方、肥満症とは、BMIが25以上の肥満に加えて、高血圧、糖尿病、脂質異常症、 睡眠時無呼吸症候群、関節の病気など、肥満に関連する健康障害がある場合や、 健康障害につながりやすい内臓脂肪の蓄積がある場合をいいます。
BMIの計算方法
BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)
例:体重70kg、身長1.65mの場合
70÷1.65÷1.65=約25.7
- 18.5未満:低体重
- 18.5以上25未満:普通体重
- 25以上:肥満
- 35以上:高度肥満
※BMIだけでは筋肉量や脂肪のつき方まで判断できません。 肥満症に該当するかどうかは、腹囲、血圧、血糖値、脂質、持病なども含めて医師が診断します。
肥満が起こる主な原因
- 食事からとるエネルギーが、日常生活や運動で使うエネルギーを上回っている
- 運動量や日常生活で体を動かす機会が少ない
- 間食、夜遅い食事、糖分を含む飲料、アルコールなどの摂取が多い
- 睡眠不足や不規則な生活が続いている
- ストレスなどによって食事量が増えている
- 遺伝的な体質や、年齢に伴う筋肉量・基礎代謝の低下
- 病気や使用している医薬品の影響
※肥満は、食事や運動だけでなく、遺伝的な体質、生活環境、睡眠、ストレス、 病気や医薬品など、複数の要因が関係して起こります。 単純に本人の意思や努力だけの問題とは限りません。
肥満改善の基本
- 食事量や間食、甘い飲料、アルコールの量を見直す
- 主食・主菜・副菜を組み合わせ、極端な食事制限を避ける
- 歩行など、無理なく続けられる運動や日常活動を増やす
- 体重や腹囲を定期的に測り、変化を記録する
- 睡眠時間を確保し、できるだけ規則正しい生活を心がける
※漢方薬や一般用医薬品を使用する場合も、食事・運動などの生活習慣改善が基本です。 短期間で急激に体重を減らすのではなく、継続できる方法で取り組むことが大切です。
BMIが25以上で、高血圧、血糖値やコレステロール・中性脂肪の異常、 脂肪肝、痛風などを指摘されている場合は、肥満症に該当する可能性があります。
大きないびきや睡眠中の無呼吸、日中の強い眠気、膝や腰の痛み、 月経異常などがある場合も、肥満に関連する健康障害が隠れていることがあります。
BMIが35以上の場合、短期間で急激に体重が増えた場合、 むくみや息苦しさを伴う場合は、自己判断で市販薬だけを使用せず、 内科などの医療機関へご相談ください。
肥満症に使用される代表的な漢方薬
肥満症に使用される漢方薬は、体力、食事量、便秘の有無、汗のかき方、 むくみ、筋肉のつき方、お腹の張りなどを確認して選択します。
大きく分けると、食べ過ぎや便秘を伴う「実証寄りの脂肪太り」と、 疲れやすさやむくみを伴う「水太りタイプ」があります。
実証寄りの肥満|脂肪太り・過食・便秘タイプ
比較的体力があり、食欲が旺盛で、腹部に脂肪が多く、便秘やのぼせ、 お腹の張りなどを伴う方に選択される処方です。
防風通聖散
医療用漢方製剤ではツムラ62番としても知られる処方です。
※リンク先の商品はコタローの一般用医薬品です。
体力が充実し、腹部に皮下脂肪が多く、便秘しやすい脂肪太りの方に使用されます。 のぼせ、肩こり、むくみなどを伴う場合にも選択される代表的な肥満症の処方です。
※一般用医薬品の効能・効果に「肥満症」が記載されています。 大黄・芒硝を含むため、ほかの下剤との併用はできません。 麻黄と甘草も含むため、高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺機能障害などのある方は、 服用前に医師・薬剤師または登録販売者へご相談ください。
大柴胡湯
医療用漢方製剤ではツムラ8番としても知られる処方です。
※リンク先の商品は三和生薬の一般用医薬品です。
体力が充実し、食べ過ぎやストレスによるみぞおち・脇腹の張りがあり、 便秘しやすい方の肥満症に使用されます。 イライラ、肩こり、頭痛などを伴う場合にも選択されます。
※一般用医薬品の効能・効果に「肥満症」が記載されています。 大黄を含むため、ほかの下剤との併用はできません。 胃腸が弱く下痢しやすい方、妊娠中の方は、服用前にご相談ください。 授乳中の方は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けてください。
通導散
医療用漢方製剤ではツムラ105番としても知られる処方です。
※リンク先の商品はコタローの一般用医薬品です。
体力が比較的あり、食欲が旺盛で便秘しやすく、 血行不良による冷え・肩こり・下腹部の張りなどを伴う肥満に応用されます。 特に、瘀血の症状が目立つ方に選択される処方です。
※一般用医薬品の効能・効果に「肥満症」の直接の記載はありません。 効能・効果は、月経不順、月経痛、更年期障害、打撲、腰痛、便秘、 高血圧に伴う頭痛・めまい・肩こりなどです。 大黄・芒硝を含むため、ほかの下剤との併用はできません。
桃核承気湯
医療用漢方製剤ではツムラ61番としても知られる処方です。
※リンク先の商品は三和生薬の一般用医薬品です。
体力が比較的あり、のぼせ、イライラ、便秘があり、 血行不良による下腹部の張りや月経トラブルなどを伴う肥満に応用されます。 特に、熱がこもりやすく瘀血の症状がある方に選択されます。
※一般用医薬品の効能・効果に「肥満症」の直接の記載はありません。 効能・効果は、月経不順、月経痛、月経時や産後の精神不安、 腰痛、便秘、高血圧の随伴症状、痔疾、打撲症などです。 大黄・芒硝を含むため、ほかの下剤との併用はできません。 妊娠中の方は、服用前にご相談ください。 授乳中の方は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けてください。
水太り・むくみを伴う肥満タイプ
脂肪だけでなく、体内の水分バランスの乱れによるむくみ、 体の重だるさ、疲れやすさなどを伴う方に選択される処方です。
防已黄耆湯
医療用漢方製剤ではツムラ20番としても知られる処方です。
※リンク先の商品はコタローの一般用医薬品です。
体力が中等度以下で、疲れやすく汗をかきやすい方で、 筋肉にしまりがなく、むくみを伴う水太りタイプの肥満症に使用されます。 いわゆる虚証寄りの肥満に使用される代表的な処方です。
※一般用医薬品の効能・効果に 「肥満症(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)」が記載されています。 甘草を含むため、ほかの甘草配合製剤を使用している方や、 心臓病、腎臓病、高血圧、むくみのある方は、服用前にご相談ください。
九味檳榔湯
医療用漢方製剤ではコタロー製剤のある処方です。
※リンク先の商品はコタローの一般用医薬品です。
体力が中等度以上で、全身の疲労感に加えて、 特に下半身のだるさ・むくみ・重さが目立つ水太りに応用されます。 食べ過ぎていないのに体が重く、下半身に水分がたまりやすい方に選択される処方です。
※九味檳榔湯は典型的な虚証向けの処方ではなく、 一般用医薬品では「体力中等度以上」が使用の目安です。 効能・効果に「肥満症」の直接の記載はなく、 疲労倦怠感、むくみ、関節の腫れや痛み、動悸、息切れなどに使用されます。 大黄を含むため、ほかの下剤との併用はできません。
※本ページには、一般用・医療用医薬品の効能・効果に記載された使用方法だけでなく、 体質や併発症状を確認して用いられる漢方医学上の応用例も含みます。 通導散、桃核承気湯、九味檳榔湯は、一般用医薬品の効能・効果に 「肥満症」の直接の記載はありません。
漢方以外の一般用医薬品
アライ
有効成分:オルリスタット
要指導医薬品の内臓脂肪減少薬です。
食事に含まれる脂肪を分解する酵素「リパーゼ」の働きを抑え、 食事由来の脂肪の一部を吸収されにくくして、便とともに排出します。
食事・運動などの生活習慣改善に取り組んでいる腹部が太めの方を対象として、 内臓脂肪と腹囲を減少させる目的で使用されます。
- 18歳以上である
- 腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上である
- 服用前から3か月以上、食事・運動の改善に取り組んでいる
- 直近1か月の体重・腹囲・食事・運動の記録を提示できる
- 使用する本人が薬局へ来店し、薬剤師の確認を受ける
※アライは要指導医薬品のため、インターネットや郵送では購入できません。 販売研修を修了した薬剤師のいる薬局で、対面による確認と説明を受ける必要があります。
※油を伴う便、急な便意、油を伴う放屁、便や油の漏れなどが現れることがあります。 持病がある方、医療機関で治療中の方、健康診断で再検査を指摘されている方、 ほかの医薬品を使用している方は、購入前に医師または薬剤師へご相談ください。
※アライは、肥満症と診断された方すべてに使用する治療薬ではありません。 肥満に関連する病気がある方は、市販薬だけで対応せず、 医療機関での治療を優先してください。
漢方薬や市販薬を選ぶ際の注意点
肥満症に使用する漢方薬は、体重や体型だけでなく、体力、便通、発汗、 むくみ、お腹の張り、持病、服用中の医薬品などを確認して選択します。
防風通聖散、大柴胡湯、九味檳榔湯などには大黄が含まれており、 下痢や腹痛が現れることがあります。 複数の肥満症用漢方薬や下剤を自己判断で併用しないでください。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群などで治療中の方、 妊娠中の方、ほかの医薬品を服用している方は、 購入前に医師・薬剤師または登録販売者へご相談ください。 なお、大黄を含む防風通聖散、大柴胡湯、通導散、桃核承気湯、九味檳榔湯は、 授乳中は服用しないか、服用する場合は授乳を避けてください。
参考情報
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と肥満症」
- 日本肥満学会「肥満と肥満症について」
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) 「防風通聖散」一般用医薬品添付文書(製品例)
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) 「防已黄耆湯」一般用医薬品添付文書(製品例)
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) 「大柴胡湯」一般用医薬品添付文書(製品例)
- 小太郎漢方製薬株式会社「九味檳榔湯」
- 大正製薬株式会社「内臓脂肪減少薬 アライ」
- 大正製薬株式会社「アライ よくあるご質問」
- 安斎圭一『すべての臨床医が知っておきたい漢方薬の使い方』 羊土社、2023年
※本ページは、上記の公的機関、学術団体、製薬会社の公開情報および専門書を参考に、 一般の方にもわかりやすい表現へ整理しています。 漢方薬には、一般用・医療用医薬品の効能・効果に直接記載されている使用方法のほか、 体質や併発症状を確認して用いられる応用例も含まれます。
情報確認日:2026年7月30日



