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五味子(ゴミシ)とは?酸味・薬理作用・配合処方を解説

五味子(ゴミシ)の特徴

五味子(ゴミシ)は、強い酸味が特徴的な果実を用いる生薬です。 漢方では、咳を鎮める目的や、汗などで失われた「津液(しんえき)」を補う目的などで配合されます。 名前の通り「五つの味」を持つとされ、韓国では五味子茶(オミジャ茶)としても親しまれています。

五味子(ゴミシ)とは

五味子は、マツブサ科のチョウセンゴミシ(Schisandra chinensis Baillon)の果実を用いる生薬です。 日本薬局方にも「ゴミシ(五味子)」として収載されています。

生薬としては、乾燥状態が良く、果皮が赤紫色で、肉厚で潤いと光沢があり、 甘味を伴いながら酸味が強いものが良品とされています。

また、五味子の表面に白い粉が見られることがあります。 これは通常はカビではなく、果実に含まれるクエン酸が表面に析出したものとされ、 良質な五味子でもみられる特徴です。

基原
チョウセンゴミシの果実
科名
マツブサ科
性味
酸・温
帰経
肺・腎
主な成分
リグナン類、有機酸、精油、脂肪油など
配合割合
294処方中16処方(5.4%)

五味子の「五つの味」と五味子茶

五味子の味は、一般的には酸味が特に強いのが特徴です。 一方で、皮には甘味、果肉には酸味、種子には辛味と苦味があり、 全体に塩味があるともいわれています。

そのため、その名の通り 「酸(すっぱい)・苦(にがい)・甘(あまい)・辛(からい)・鹹(しおからい)」 という五つの味を持つ生薬とされています。

五味子茶(オミジャ茶)でいわれる味と体調

韓国伝統茶である「五味子茶(オミジャ茶)」では、 その時の体調によって強く感じる味が異なり、 次のように体調を見ることがあるといわれています。

  • 苦味:心臓の機能低下、貧血気味
  • 甘味:脾臓の機能低下、老廃物蓄積
  • 酸味:ストレス
  • 塩味:下半身の冷え
  • 辛味:気管支の弱り、エネルギー不足

※五味子茶で伝えられている、味の感じ方と体調についての伝統的な見方です。

実際の五味子は酸味が強いため、五味子を配合した漢方薬を服用すると 「酸っぱい」と感じることがあります。 この独特の酸味も、五味子が配合されていることを感じやすい特徴のひとつです。

漢方における五味子の働き

鎮咳作用

漢方では「肺」を収斂する生薬として、 咳や喘鳴などを鎮める目的で用いられます。

生津・止汗作用

体に必要な水分である「津液」を補いながら、 自汗や寝汗など、過度な発汗を収める方向に用いられます。

補腎作用

漢方でいう「腎」の働きを補い、 遺精や慢性の下痢など、体から必要なものが失われやすい状態にも応用されます。

五味子の薬理作用

五味子には、シザンドリン(schisandrin)やゴミシン類などの リグナン類をはじめ、精油、有機酸、脂肪油などが含まれています。

鎮静・鎮痛・鎮咳に関する作用

シザンドリンやゴミシン類について、中枢神経系への作用、 鎮痛作用、鎮咳作用などが研究されています。

抗ストレス・抗疲労に関する作用

五味子抽出物について、ストレスに対する抵抗性や 疲労に関連した作用が報告されています。

抗酸化・抗炎症・肝保護に関する作用

現代の研究では、五味子に含まれるリグナン類を中心に、 抗酸化作用、抗炎症作用、肝保護作用なども研究されています。

これらの薬理作用には、抽出物や成分を用いた基礎研究・動物研究も含まれます。 漢方薬では五味子単独ではなく、他の生薬との組み合わせによって処方全体の働きが構成されています。

現代における運用のポイント

● 咳・喘鳴
肺気虚などによる咳や喘息様の症状に用い、 「収斂する」性質を利用して咳を鎮める方向に働きます。

● 自汗・寝汗
津液を補いながら汗を収める目的で、 疲労や消耗に伴う自汗・寝汗などに応用されます。

● 腎の働きが低下した状態
漢方でいう腎の働きを補い、 遺精や水様性の慢性下痢などにも用いられます。

五味子の配合応用

漢方では、五味子を他の生薬と組み合わせることで、 補う・潤す・咳を鎮める・汗を収めるなど、処方の方向性を調整します。 代表的な組み合わせを見てみましょう。

五味子 + 黄耆 気を補いながら汗を収める組み合わせ。 暑さや疲労などによる消耗と発汗を伴う場合に応用され、 清暑益気湯 などにみられます。
五味子 + 桂皮 気の上衝を整えながら咳を鎮める方向の組み合わせで、 苓桂味甘湯 などに用いられます。
五味子 + 細辛・半夏 冷えと体内の水分の偏りによって生じる 水っぽい痰や咳を整える組み合わせで、 小青竜湯 などにみられます。
五味子 + 人参・麦門冬 気を補いながら津液を補い、 発汗や疲労による消耗を支える代表的な組み合わせです。 生脈散 が代表処方です。
五味子 + 山茱萸 肺や腎の陰を補いながら、体液などが過度に失われるのを防ぐ方向に働く組み合わせで、 味麦地黄丸 などにみられます。

五味子は294処方中どのくらい使われる?

16 処方
厚生労働省の「一般用漢方製剤製造販売承認基準」に収載される 294処方のうち、五味子が配合される、または代替生薬として使用できる処方は16処方(5.4%)です。

当薬局で取り扱いのある配合処方

※商品名をクリックすると、カミツレ薬局公式オンラインショップの商品ページをご覧いただけます。

五味子を配合する16処方を見る
加味温胆湯(玄参の代替として)、 加味四物湯、 杏蘇散、 小青竜湯小青竜湯加杏仁石膏(小青竜湯合麻杏甘石湯)、 小青竜湯加石膏、 清暑益気湯、 清熱補気湯、 清熱補血湯、 清肺湯、 人参養栄湯、 扶脾生脈散、 補肺湯、 味麦地黄丸、 苓甘姜味辛夏仁湯、 苓桂味甘湯
参考文献・情報源

・厚生労働省「一般用漢方製剤製造販売承認基準」

・日本薬局方「ゴミシ(Schisandrae Fructus)」

・根本幸夫 監修『漢方294処方生薬解説 第2版』じほう

・Ehambarampillai D, Wan MLY. Chin Med. 2025;20:47. PMID: 40205412.

・Zhou Y, et al. Eur J Pharmacol. 2021;892:173796. PMID: 33345853.

本ページは、生薬・漢方薬に関する専門資料および薬理学的研究をもとに、 カミツレ薬局の薬剤師が一般の方にも分かりやすい表現で解説しています。

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